基本的に正準変換の考え方に基づき,Wilksのサンプルスキャタsample scatterを基準統計量として,一般的な判別モデルを導く.一般の正準変換の場合よりはるかに簡単な制約条件をおいて判別空間を確定する.また伝統的な正準変換の理論を援用することによって,判別空間の次元を決定するための統計量が容易に得られる.とくに2判別のために工夫されたFisherのモデルや線型確率関数は,この一般モデルの特別の場合と考えることができる.
応用例として,耕地の区画整理後の換地処分において中心的な役割を果す土地評価の問題にこのモデルを応用してみたので,それをとりあげた.評価委員の直観的判定を,このモデルを通じて,説明要因のパタンと対応させる手続きを繰返していわゆるnoiseを除き,安定した評価モデルを得た.この考え方自体はDelphi法のそれと同じである.
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