応用統計学
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23 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 矢島 美寛
    1994 年 23 巻 1 号 p. 1-19
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    長期記憶モデルは系列相関の強い定常時系列データを解析する目的で,Mandelbrot and Van Ness, Granger and Joyeux, Hosking等によって提案された.
    従来のポピュラーなモデル,自己回帰移動平均モデルを,補完,代替するモデルとして注目を浴び,1980年代以降理論,実証両側面に於て盛んに研究されている.本稿では長期記憶モデルの由来,現在までに得られている理論的結果,実際データへの応用を概説するとともに,今後の課題について議論する.
  • 佐藤 俊哉
    1994 年 23 巻 1 号 p. 21-34
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    Intent-to-treat解析に関してはさまざまな議論がある.多くの生物統計家がランダム化臨床試験では必須の解析であるとしているものの,ランダムに割り付けられた治療の効果が正しく評価可能であった対象だけを解析すべき,または両者を併用すべき,などの方針も容認されている.これは,intent-to-treat解析は治療が臨床に導入された後に起こり得る状況をも考慮した実践的な解析で,プロトコルを遵守した治療効果評価可能例のみの解析は生物学的な効果を調べるための研究的な解析である,という認識にもとづいている.
    本論文では,intent-to-treat解析による治療効果の検定と治療効果の推定について因果推論の立場から議論し,治療効果の検定に関してはintent-to-treat解析は正しく因果帰無仮説の検定を行っていること,一般に「実践的」と考えられているのはintent-to-treat解析による治療効果の推定であることを明らかにする.さらに,プロトコルを遵守した治療効果評価可能例のみの解析でも因果パラメータを正しく推定できないことを示し,ランダム化にもとづいたintent-to-treat解析で因果パラメータを推定する方法を提案する.この方法は因果パラメータに強い生物学的な仮定を必要とするが,ランダム化にもとづいたノンパラメトリックな治療効果の推定を実施できるという利点を持っている.
  • 栗林 和彦, 山本 成志, 後藤 昌司
    1994 年 23 巻 1 号 p. 35-46
    発行日: 1994/09/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    ロジスティック・モデルのあてはめには,通常,最尤法が用いられるが,小標本での解析結果の信憑性が問われていた.この場合の代替法として正確推測法があり,最近のコンピュータならびに計算アルゴリズムの発展によって実行可能性の問題に解消の兆しが見えてきた.
    本稿では,多変量シフト・アルゴリズムに基づく正確推測法の手続きを明らかにして,そのプログラムを開発し,正確推測法の適用可能性を吟味した.その結果,正確推測法は,小標本で説明変数がカテゴリー個数の少ないカテゴリー変数(2値変数も含む)である場合の最尤法の対照あるいは代替として利用できることを明らかにした.
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