応用統計学
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41 巻, 3 号
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研究論文
  • 水関 裕人, 黒木 学
    原稿種別: 研究論文
    2012 年 41 巻 3 号 p. 129-152
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,「採取されたデータが二因子モデルによって生成されている」という仮説に対して統計的根拠を与えることができるかどうか,すなわち,二因子モデルの探索問題を考える.誤差相関のない一因子モデルの探索基準については,1904年にSpearmanによって等式制約条件“Vanishing Tetrad Difference”が提案され,数多くの議論を経たのち,Bekker and de Leeuw (1987)によって精緻化されている.一方,二因子モデルの探索基準についてはKenny (1935)によって等式制約条件Pentad Constraintが,Drton et al. (2007)によって等式制約条件MinorsConstraintが提案されたものの,詳細な議論が行われているわけではない.そこで,本論文では,誤差相関も因子間相関もない確認的二因子モデル(誤差相関のない確認的直交二因子モデル)を取り上げる.このとき,Pentad Constraint,MinorsConstraintおよびそれらの組み合わせでは採取されたデータが二因子モデルから生成されているという仮説に統計的な根拠を与えることは難しく,Vanishing TetradDifferenceや不等号制約条件も考慮すべきであることを示す.その上で,2つのタイプの誤差相関も因子間相関もない二因子モデルを取り上げ,これらの二因子モデルの探索基準を提案する.また,仮想的な数値例をとおして提案方法の有用性を検討する.さらに,豊田(2003)によって与えられたデータ解析事例をとおして,本論文で与えた不等式制約条件と無相関性をチェックするだけでも十分にあてはまりのよい二因子モデルを探索できることを示す.
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