以上のようにブリキ板とSDCO板の片持梁型衝撃せん断試験について,既報の銅圧延板を用いて行つたシヤルピ式衝撃せん断試験の結果と同様な結論を得た。すなわち
1. 材料の衝撃せん断仕事はせん断速度の増大と共に大きくなる。
2. せん断速度を同一に保つた場合,衝撃せん断仕事の極小となるクリアランスが存在する。このことは静的せん断の結論と全く一致する。
3. 材料のせん断切口形歌に関しては,せん断速度の影響は殆ど認められない。4. 以上の結果より実用加工速度を上まわるせん断速度においても速度の影響はそれ程大きくなく,定性的には静的せん断の結果と同様であるので,実用上は静的試験の結果で間に合う。
5. 附随的結果であるが,このアイゾツト式衝撃せん断試験機を用いて経済的に簡単に材料のせん断加工性の判断ができる。この試験に用いたブリキ板はSDCO板より“ductile”であるし,“方向性”もあることが分る。最後に種々御指導を賜わつた東大福井伸二教授に厚く御禮を申上げると共に,終始熱心に実験に協力して頂いた中山日田雄君に対し深く感謝する。
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