関西医科大学雑誌
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選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 方 軻, 村上 由希, 神田 靖士, 下埜 敬紀, Dang Tuan Anh, 大野 充昭, 西山 利正
    2023 年 74 巻 p. 1-5
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/10
    ジャーナル フリー

    骨粗鬆症は特に閉経後の女性に多い骨の疾患である.これまで骨粗鬆症の治療薬は骨量の増加効果に主眼をおいて開発されているが,治療のエンドポイントである骨折リスクの軽減には骨量と骨質を改善し,骨代謝バランスを正常にする有効性の高い治療薬の開発が重要である.近年,様々な漢方製剤の骨維持の有効性が臨床では示されているが,その作用機序については明らかにされていない.本研究では,閉経後の更年期障害の治療で汎用される漢方製剤の中で,温経湯(UKT)に着目し,破骨細胞分化誘導因子であるRANKL刺激による破骨細胞分化への影響を調べ,UKTの作用メカニズムについて明らかにした.我々がスクリーニングした様々な漢方製剤の中で,UKTが最も強い破骨細胞分化阻害効果を示した.UKTは破骨細胞の初期分化に不可欠な転写因子NFATc1を阻害した.またNFATc1の上流シグナルであるNF-κBの核移行を阻害した一方で,NFATc1を阻害するBlimp1-Bcl6シグナルを活性化し,破骨細胞の分化成熟を抑制することを明らかにした.さらに我々は活性型Caspase-3によって,UKTが単核破骨細胞のアポトーシスを誘導することを示した.本研究はUKTがBlimp1-Bcl6およびNF-κBシグナル伝達経路を介して,RANKL誘導による破骨細胞分化を抑制し,単核破骨細胞の細胞死を誘導することを初めて明らかにした研究であり,UKTが閉経後骨粗鬆症の効果的な治療薬となりうる可能性を示した.本稿では,我々の研究成果について概説する.

  • 横江 巧也, 北 正人, 大高 時文, 藤澤 順一, 久松 洋司, 岡田 英孝
    2023 年 74 巻 p. 7-12
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/10
    ジャーナル フリー

    多くの外科医は電気メスや超音波メス等のエネルギーデバイスを使用する.これらの機器が生体組織を熱分解することで発生する煤煙はサージカルスモークと呼ばれ,この中には発癌性物質,患者由来の細菌・悪性細胞・ウイルスなどの有害物質が含まれていることが,数多くの研究で指摘されている.2019年にパンデミックになった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では,患者の呼吸器・糞便・血清中にウイルスRNAが存在することが示されている.そして,患者から生じたサージカルスモークによってウイルスが手術スタッフへ感染する可能性が指摘されているが,そのリスクや予防方法を評価する情報は不十分であった.そこで,筆者らはモデル実験でサージカルスモーク中のヒトコロナウイルスRNAの存在と感染力を検証し,サージカルマスクでウイルス感染リスクを低減できる可能性を評価した.本モデルでは,切開対象からサージカルスモーク中にウイルスRNAの1/106~1/105が移行した.サージカルスモーク中のウイルスは培養細胞プラークアッセイでは直接の感染性は証明できなかったが,培養上清にはウイルスRNAが自然減衰以上に保持され,特に電気メスに比べ超音波メスによるサージカルスモークは感染性がより高い可能性が示唆された.また,サージカルマスクはサージカルスモーク中のウイルスRNAの量を99.80%以上減少させることができた.この研究により,コロナウイルス感染患者のサージカルスモーク中には,感染性のあるウイルスが存在し,サージカルマスクの着用は,その感染に対する予防策となる可能性が示された.

  • 山岸 満, 赤川 翔平, 辻 章志, 金子 一成
    2023 年 74 巻 p. 13-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/10
    ジャーナル フリー

    腸内細菌叢はヒトの腸管内で一定のバランスを保ちながら共生する細菌集団であり,その代謝産物はヒトの健康に影響を与える.腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)は生涯においてさまざまな疾患の発症に関与している.アレルギー疾患患者の腸内細菌叢についてもdysbiosisを呈しているとする報告は多数あるが,その特徴やアレルギー疾患の発症機序に関してコンセンサスはない.

    今回,筆者らは鶏卵アレルギーの患児において,腸内細菌叢に占める酪酸産生菌が有意に少ないこと,および末梢血の制御性T細胞(regulatory T cell: Treg)が少ないことを報告した.酪酸は短鎖脂肪酸の一つであり,主に大腸上皮細胞のエネルギー源として利用されるが,腸管免疫系においてTregを分化誘導することも知られている.したがって,酪酸産生菌の減少に特徴づけられるdysbiosisが,腸管免疫系でのTregの減少を招き,アレルギー疾患発症に関与している可能性がある.本研究成果は今後腸内細菌叢を標的としたアレルギー疾患の新たな予防や治療介入につながる可能性があると考えられる.

  • 田嶋 晴夏, 櫛田 哲史, 日原 正勝, 光井 俊人, 覚道 奈津子
    2023 年 74 巻 p. 19-22
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/28
    ジャーナル フリー

    近年,陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy;以下NPWT)を用いた植皮の有用性が報告されてきている1,2)

    一方,3MTMSnapTM陰圧閉鎖療法システムは軽量の使い捨て陰圧閉鎖療法システムであり,外来通院で使用できるという特徴をもつ.

    今回我々は3MTMSnapTM陰圧閉鎖療法システムを使用し外来通院のみで植皮の生着を得た前腕挫滅創の一例を経験したのでこれを報告する.

  • 2023 年 74 巻 p. 23-24
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 74 巻 p. 25-37
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー
  • 2023 年 74 巻 p. 39-88
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー
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