関西医科大学雑誌
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69 巻
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  • 中竹 利知, 奥山 哲矢, 海堀 昌樹, 奥村 忠芳, 西澤 幹雄
    2018 年 69 巻 p. 1-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    【背景・目的】肝臓では炎症時に,様々な炎症性サイトカインの産生とともに,誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)遺伝子の発現誘導を介して,一酸化窒素(NO)の産生が促進する.過剰産生されたNOは肝障害因子の一つと考えられ,iNOS誘導を抑制することが肝障害の軽減に重要である.当科では,初代培養ラット肝細胞や急性肝障害ラットモデルを用いて,iNOSを炎症性マーカーの指標として,様々な物質の抗炎症効果を追求している.肝細胞癌に対する手術は侵襲が強い.そして,切除不能肝細胞癌に対する化学療法の副作用も強いため,肝細胞癌に対する治療は困難な場合が多い.新規に得られた抗炎症効果を持つ物質を治療に用いることにより,手術侵襲や抗癌剤の副作用を軽減したいと考えている.以前,我々はiNOS mRNAと同じ配列の短いDNA(センスオリゴヌクレオチド)を培養肝細胞に添加すると,特異的にiNOS mRNAレベルを抑制しNO産生を軽減すること(in vitro)を報告した.本研究では,肝障害敗血症ラットモデル(in vivo)におけるiNOSセンスオリゴの効果を検討した.

    【方法】初代培養ラット肝細胞を用いて,iNOSセンスオリゴ(SO1)とその誘導体のiNOS mRNA発現への影響を比較した.ガラクトサミンとリポ多糖を投与して作製したラット肝障害敗血症モデル(GalN/LPS)に,iNOSセンスオリゴを投与し,ラットの生存率(72 h),肝臓のサイトカイン発現解析ならびに組織病理学的解析を検討した.

    【結果】培養肝細胞の実験より,作製したiNOSセンスオリゴ誘導体の中で,センスオリゴSO1が一番強いiNOS mRNA発現抑制を示した.敗血症ラットはGalN/LPS投与後の72 hまでに全滅したが,センスオリゴSO1を同時投与した(GalN/LPS+SO1)群では,生存率は有意に改善された(58%).また,GalN/LPS+SO1群では,肝臓においてiNOSならびにtumor necrosis factor (TNF)-αのmRNA発現の抑制が認められ,組織学的検討ではアポトーシスの抑制を示した.

    【まとめ】iNOSセンスオリゴはiNOSやTNF-αの誘導を抑制し,肝病理所見を改善することで,肝保護効果を示したものと考える.肝障害敗血症に対して有効である可能性が示唆された.

  • 光山 俊行, 内田 一茂, 住本 貴美, 福井 由里, 池浦 司, 福井 寿朗, 西尾 彰功, 四方 伸明, 植村 芳子, 里井 壮平, 水 ...
    2018 年 69 巻 p. 7-18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    【背景】自己免疫性膵炎(Autoimmune pancreatitis; AIP)はわが国から提唱された疾患概念である.2011年に国際コンセンサス診断基準が作成されIgG4の関与するものを1型自己免疫性膵炎,好中球病変が主体とするものを2型自己免疫性膵炎と分類することとなった.2型自己免疫性膵炎の組織像として,好中球が膵管内腔や上皮に集簇し,管腔の破壊や閉塞をきたすことが特徴的である.2型自己免疫性膵炎は好中球が重要な役割を果たしていると言われているが,好中球が遊走されるメカニズムや自然免疫の関与については解明されておらず,1型自己免疫性膵炎との免疫学的相違は全く不明である.そこで今回我々は好中球遊走に関わるケモカインなどの差異について検討した.

    【研究方法】1型自己免疫性膵炎10例と2型自己免疫性膵炎12例の膵切除標本を用いて,小葉間膵管と小葉内膵管にわけて免疫組織学的検討を行った.2型自己免疫性膵炎は好中球が重要な役割を果たしていることから,好中球遊走作用因子と言われているCXCケモカインのGCP-2,IL-8と,その受容体であるCXCR1/2を免疫染色した.

    【結果】HE染色では,小葉間膵管周囲の好中球数は2型が1型と比較し有意に高値であった.一方で小葉内膵管周囲の好中球数は1型と2型に有意差を認めなかった.免疫組織学的検討では,小葉間膵管上皮のGCP-2スコアは2型が1型と比較し有意に高値であったが,小葉間膵管上皮のIL-8スコアは1型と2型で有意差を認めなかった.一方で小葉内膵管上皮のGCP-2スコアとIL-8スコアは共に1型と2型で有意差を認めなかった.CXCR1陽性好中球数の比率は小葉間膵管周囲,小葉内膵管周囲共に1型と2型で有意差を認めなかった.CXCR2陽性好中球は1型と2型共に認めなかった.

    【結論】小葉間膵管周囲の好中球浸潤に関わる重要な因子は,好中球の免疫組織学的な相違によるものでなく,膵管上皮から分泌されるGCP-2の相違であることが示唆された.

  • ―骨形成タンパク質を用いた骨再生―
    原 朋也, 覚道 奈津子, 森本 尚樹, 楠本 健司
    2018 年 69 巻 p. 19-22
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    顎顔面領域での骨欠損に対して骨移植術が行われているが,採骨量,侵襲などの制限がある.その問題を解決するために様々な生体材料が移植骨として利用されている.それらの生体材料のなかで骨誘導能を有する骨形成タンパク質(BMP)は有用なタンパク質として注目されている.高齢化に伴い生体材料を高齢者に用いることが必要になってきている.そのため我々はBMP骨形成能の研究,またBMP骨形成能と加齢との関係について研究を行っている.

  • 池側 均, 鍬方 安行, 室谷 卓, 梶野 健太郎, 櫻本 和人, 高橋 弘毅, 中嶋 麻里, 中村 文子
    2018 年 69 巻 p. 23-29
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー

    関西医科大学附属病院高度救命救急センターでは,枚方市の施策に協力する形で平成29年4月1日から枚方寝屋川消防本部とともにワークステーション方式のドクターカー運用を開始した.平成30年3月31日までの1年間の運用を検証する.当院のドクターカー活動は,運行時間は平日午前9時から午後5時まで,予め定めた基準に基づき枚方寝屋川消防本部指令室からの出動要請によって,救急医1名が救急隊とともに出動するシステムである.出動範囲は,枚方寝屋川消防本部および交野市消防本部管内の枚方市,寝屋川市,交野市である.運用日数は244日,403件の出動要請に対して,途中引揚が140件あり,実働件数は263件であり,診療した傷病者数は283人だった.内因性疾患が204人を占めており,内因性院外心肺停止65人,脳血管障害75人などであった.現場では199人に輸液路確保,113人に超音波検査を実施した.薬剤投与は105人に行われ,アドレナリンキット投与が69人を占めた.要請から平均5分で出動し,10.8分で現場に到着し,現場活動は8.8分,現場から病院到着は9.6分だった.283人中199人を当院で受け入れた.ドクターカー搭乗医師はスマートフォンを携帯し,ビデオ通信アプリを用いてドクターカー内と初療室をつなぐことによって,診断から治療が遅滞なく行えるように工夫している.引き続き症例を集積し,解析を行い,地域貢献に役立つものに成長させていきたい.

  • ―double moist roll technique―
    北出 浩章, 柳田 英佐, 肱川 健, 山田 正法, 徳原 克治, 吉岡 和彦
    2018 年 69 巻 p. 31-35
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー
    電子付録

    【背景】腹腔鏡下手術においてはセプラフィルム®の腹腔内への挿入,貼付が困難とされている.我々の行っている手技(double moist roll technique)を使えば12-mmポートからでさえ困難とされている挿入,貼付が特殊な道具を使用せずに5-mmポートからできるため,その手技について報告する.

    【方法】①セプラフィルム®クォーターパックを直角三角形に2分割する.②湿ったガーゼ上で各々を適度に湿らせる.③この2枚を重ね,鋭角を腸鉗子で把持し,鉗子に巻き付ける.④トロッカーの水分をよく拭き,挿入する.

    【結果】セプラフィルム®は復元力で自動的に展開するので,貼付したいところに運び貼付することが可能であった.

  • 2018 年 69 巻 p. 37-38
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 69 巻 p. 39-48
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 69 巻 p. 49-218
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー
  • 2018 年 69 巻 p. 219-263
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー
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