土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
69 巻, 2 号
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和文論文
  • 高部 祐剛, 津野 洋, 西村 文武, 丸野 紘史, 谷井 信夫, 八十島 誠, 鶴川 正寛, 松村 千里
    2013 年 69 巻 2 号 p. 46-54
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/19
    ジャーナル フリー
     日本において,OCPs(Organochlorine pesticides: 有機塩素系農薬)濃度が低い(高い)水域に生息するシジミをOCPs濃度が高い(低い)水域に移植・飼育し,シジミ中濃度の経時変化を測定した.濃度が上昇する系,減少する系において,シジミ中濃度変化が顕著に見られた物質について,平衡に達するまでに6日から10日程度要することが明らかとなり,シジミ中濃度は,この期間の水中濃度を反映していることが分かった.また,シジミの平衡後の濃度は,移植の影響を受けず,新たな環境での水中濃度を反映することが明らかとなった.さらに,日本と浮遊物質濃度が有意に異なる中国の珠江デルタにおいて同様の実験を行うことで,浮遊物質濃度が異なっていても,シジミを移植し,生息する水中対象物質濃度が増加することで,シジミ中濃度は増加することが明らかとなった.
  • 中村 謙吾, 米田 稔
    2013 年 69 巻 2 号 p. 55-66
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/20
    ジャーナル フリー
     循環資源の環境利用は,循環型社会形成には必要不可欠である.循環資源と土壌は区別するものとされるが,環境利用には土壌汚染対策法と同じ基準値が採用されている.土壌を区別する以上,循環資源に適したリスク評価方法を行うべきである.製鋼スラグ中のフッ素の環境利用におけるリスク評価方法として,クリアランスレベルのシナリオの適用を検討した.検討の結果,土壌汚染対策法の基準値では,製鋼スラグの環境利用に関して過剰なリスク評価となっている.周辺住民の環境資材からのフッ素の摂取量は,クリアランスレベルのシナリオ適用時には,1/10~1/100となる.シナリオの選択から,人へのフッ素の摂取経路のパラメータより,循環資源に土壌汚染対策法基準値の10倍の値としても,人の健康リスクを脅かすものではないと考えられる.
  • 三宅 洋, 荻原 啓司, 金澤 康史
    2013 年 69 巻 2 号 p. 74-83
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,土地利用による栄養塩濃度の増加と河畔林消失に伴う光量の増加が河川性底生動物の刈取食者に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.愛媛県石手川上流域に位置する土地利用密度が異なる2支流の河畔林現存区および消失区にて調査を実施した.この結果,河畔林消失区では,開空度と付着藻類の生産性が上昇し,刈取食者の量および分類群数が増加することが示唆された.一方,土地利用による栄養塩濃度の上昇が刈取食者に及ぼす影響は見られなかった.対象河川では全体的に河川に到達する光量が少なく,付着藻類生産が光量により強く制限されていたことがこの原因と考えられた.複数の人間活動要因に注目してそれらの影響を把握する本研究の手法は,多様化する人間活動が河川生態系に及ぼす影響を理解する上で有効であると考えられた.
  • 高畑 陽, 伊藤 雅子, 増岡 健太郎, 廣野 祐平, 今村 聡
    2013 年 69 巻 2 号 p. 84-96
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/20
    ジャーナル フリー
     農耕地での硝酸性窒素による地下水汚染防止対策として,作土層下部に生物学的脱窒反応を促進させる水平透過性浄化壁(浄化層)を設置して,土壌浸透水に含まれる硝酸性窒素を除去する技術の適用性を評価した.茶畑で半年間実施した実証試験では,地表下1mの砂礫土にビーズ状の工業用ステアリン酸を重量比で2%混合し,土壌含水率が20%になるように散水後,埋め戻し土の上載荷重に相当する15kN/m2で締固めた0.1m厚の浄化層を2段設置した.浄化層は原地盤より含水率が約5%上昇し,土壌浸透水を一時的に保持したため,硝酸性窒素(平均値で約40mg/L)が98%除去された.工業用ステアリン酸から土壌浸透水に供給される溶存有機炭素濃度は5mg/L以下で推移し,地下水の二次的汚染の可能性は低いと判断した.
和文報告
  • 白石 祐彰, 高松 進
    2013 年 69 巻 2 号 p. 67-73
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/20
    ジャーナル フリー
     変電所緑地に繁茂したイネ科多年草(チガヤとメリケンカルカヤ)をノシバの生育に影響を与えずに除草剤によって防除するために,温室での薬害発現試験およびワグネルポットによる殺草効果試験を実施し,アシュラムとトリフロキシスルフロンナトリウム塩の混合液がイネ科多年草を地上部から地下茎まで枯死に至らせることが確認できた.変電所緑地(ノシバ)の中でチガヤが繁茂している箇所に圃場を設け,アシュラムとトリフロキシスルフロンナトリウム塩の混合液を撒布した.1回の散布では除草剤成分がチガヤの体内を移行できなかったため生き残った地下茎からチガヤが萌芽し生育したが,年に2回撒布すると翌年のチガヤの発生はほとんど抑えられた.高い防除効果を発現した2種類の除草剤混用の除草剤間に働く相互作用の機構について推論した.
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