本研究では,湿式の化学的方法による鉄(VI)酸カリウム(K
2FeO
4)の生成を試み,その生成物を用いて水試料および下水汚泥試料中のノニルフェノール(NP)を分解除去できた.次に,鉄(VI)酸カリウムによるNPの無機化の程度と分解生成物の生分解性について,放射性同位体炭素
14Cから構成されたNPを用いたトレーサー実験により検討した.生分解性の評価には活性汚泥微生物を用いた.
14Cの減少率が低いことからFe(VI)の酸化反応によるNPの無機化はほとんど確認されなかった.活性汚泥のみの添加により
14C量は徐々に減少し,微生物による生分解が確認された.K
2FeO
4による分解生成物の生分解性は元のNPよりわずかに高くなったことから,より生分解性のある生成物に変化したと示唆される.
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