写真を用いた空間把握に関する2つの判別テストとMCTに対して項目反応理論を適用し問題項目のパラメタ値を推定するとともに, 図的表現法の影響を考察し, 互いの関連性を評価する.本研究では, 3パラメタロジスティックモデルを採用しパラメタの推定を行い以下の結論を得た.
1) テスト項目の精錬を行ったPITとMCTとの相関係数に顕著な変化は見られないことから, 除外された設問項目の影響はほとんどなかったと考えられる.2) PITにおいて1層の内部空間の判別を扱う設問は外部空間の判別及び2層以上の吹き抜け等を持つ空間の判別を扱う設問に比べて困難度パラメタの値が低く, 当該被験者集団に対しては極端に難易度の低い問題である.3) PITにおいて平面図をミリタリ図的配置で提示した設問の識別力パラメタの値は向上する.このことは平面図をミリタリ図的配置にすることで, ある程度以上能力値を有している被験者は, 高い確率で正解に至るようになることを意味している.4) IMTにおいて被験者の能力値の平均も平均得点の経過状況と同様に約18ヶ月で定常化し, それ以上時間が経過しても格段に飛躍することはない.5) 18ヶ月を経過した被験者のPITの能力値 (x) とIMTの能力値 (z) との間でz=0.1646x+0.3502という関係数式が得られた.
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