近年,ポリオ経験者に生じるポストポリオ症候群(post-polio syndrome ; PPS)が問題となっている.PPS診断基準に疼痛が挙げられ,訴えも多い.歩行自立したポリオ経験者70名を対象に,疼痛の実態を調査した.疼痛部位,特に良好側・不良側,下肢装具使用の有無に着目して分析を行った.対象のうち,52名(74.3%)に疼痛を認めた.疼痛発症率は,上下肢で比較すると下肢で,不良側と比較すると良好側で有意に高かった(
p<0.05).良好側では特に膝関節,下腿で有意に高かった(
p<0.05).装具使用者では,不良側(装具使用側)の膝関節,下腿で疼痛発症率が低かった.結論として,疼痛は良好側の膝関節より遠位に多かった.下肢装具使用により不良側遠位で疼痛発症率が低く,装具を含めて包括的に負担の軽減を図る必要性が示唆された.
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