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島村 東世子
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究は,効果的な科学技術英語プレゼンテーションの指導法の構築のために,何をどのように指導することが学習者の上達につながるかを解明することを目的とする.本稿では,著者が行うA大学での「科学技術英語プレゼンテーション」の授業を通して得た受講生の自己評価データの分析結果を用いて,科学技術英語プレゼンテーション指導を行う際の教育的示唆を考察する.
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-教職を目指す大学生を対象に-
仲井 勝巳
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究は,2021年度前期,コロナ禍における大学で理科教育の授業方略を事例的に研究したものである.対象は主に教職を目指す大学生である.初回授業時のアンケートから対象学生の半数程は,理科に対し興味関心を持っている.しかし,学生は理科に対し得意ではなく,苦手意識を持つ傾向が一定数いることがわかった.アルコール除菌,マスク着用,理科室に衝立の設置など,環境設定を行った.授業方略の工夫として可能な限り実験器具は個々に用意し,班で扱う実験においてはソーシャルディスタンスをとるように意識させた.また,ICT機器やOPPシートを活用し,主体的・対話的な学びを目指した.今後,最終授業時のアンケートや授業15回分のOPPシートを取得した上で,より良い授業方略に関して検討していくことが必要である.
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髙橋 あおい, 山口 悦司, 稲垣 成哲
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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博物館の展示について,その来館者への学習支援について検討するには,展示手法だけに着目するのではなく,その展示がどのような理念に基づいて開発・運営されているのかを明らかにする必要がある.しかしながら,我が国において,幼児向け展示室がどのような理念に基づいて開発されたのかの詳細を明らかにした研究はほとんどない.本研究では,国立科学博物館の展示室「親と子のたんけんひろばコンパス」について,コンパス開発者への面接調査を通じて,当該展示室の理念が展示にどのように反映されたのかを明らかにすることを試みる.本稿では,「ワークショップスペース」に着目して,理念が展示にどのように反映されたのかを明らかにする.面接調査の結果,ワークショップスペースは,コンパスの3つの理念のうち,特に「博物館での親子のコミュニケーション促進」の「協同」を具現化するために開発されたことが明らかになった.
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-教職大学院の教科横断科目「STEM授業内容研究」と「STEM教材開発演習」において連関した実践を事例に-
田代 佑夏, 片原 範子, 三崎 隆, 茅野 公穗, 村松 浩幸, 谷塚 光典
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究では,本研究科高度教職実践専攻における教科横断科目として開設したSTEM授業内容研究およびSTEM教材開発演習の授業を構築し,小学校低学年のかがく領域と連関して試みた教育実践並びに教育効果について報告する.小学校低学年のかがく領域の実践における児童の学びをSTEMの授業と連関して価値づけることによって,児童に対して自分たちの身の回りにある実生活の課題の解決に向かう科学的な資質・能力の獲得を促すことができることが明らかとなった.両者を位置づけることによって有効に機能するものと考えられる.
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高藤 清美, 堀越 眞理子
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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2020年から全面実施された小学校学習指導要領では、小学校でのプログラミング教育では、実体験を通してプログラミング的思考を育成することや、コンピュータの動作への気付きや仕組みを理解することが主な目的とされている。本研究では、入手が容易である小型人型ロボットを活用したプログラミング教育の可能性を研究する一環として、通常のプログラミングと小型人型ロボットのプログラミングの関連付けをおこない、小型人型ロボットを用いたプログラミング教育の可能性について検討した。この結果より、小型人型ロボットによる実体験を通したプログラミング教育の実施が可能であることが明らかになった。本研究で取り上げた小型人型ロボットは、拡張性を有し多様なセンサやアクチュエータを増設できる。この特徴により、発展的な学習や中学校、高等学校、大学等での活用も可能である、またコンピュータの動作への気づきや仕組みの理解も進むと期待できる。
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尾関 俊浩, 堀尾 沙希, 渡會 航平, 蟹谷 亮介, 柚木 朋也
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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中高生の理科の知識で理解できるような,表層雪崩の発生機構を説明する演示実験用の教材を作成した.雪崩事故に多い表層雪崩は滑り面が積雪内部にあり,積雪構造は比較的よく結合した層の間に滑り面となる弱層が挟まれている.そこで中高生が「積雪内部で起こる破壊現象」を理解できることを雪崩ユース教育用の弱層モデルの目的とした.磁石で弱層を表現したモデル,雪崩の破断面をイメージさせるモデル,弱層の破壊をイメージさせるモデルを作成し,上載荷重が増えたときに雪崩が発生するか否か検証し,良好な結果を得た.
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小林 久美, 中和 渚
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本稿の目的は就学前教育における食育と図形の視点から,その教材開発と実践を実施し,幼児の導かれた遊びの様子を検証することである.理論的枠組みとしてSTEMの統合の度合いのアプローチのうちThematicアプローチに注目した.このアプローチにより導かれた遊び,身体的コミュニケーション,言語による表現に注目して教材開発と実施を行い,弁当箱に料理を詰めていく遊びにおける幼児の発話と行動を分析した.その結果,食育の視点からは保育者の誘導がなければ,主食・主菜という用語と料理が結びつかないことが明らかになった.図形に関しては発話による説明より身体的コミュニケーションによって図形を実際にはめ込み隙間なくはめ込み,図形の特徴を操作して経験していた.また「半分」についての発話では,同じ発話・身体的コミュニケーションにおいて,食育と図形の2つの視点から総合的な学びに対す多面的な評価を行うことができた.
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2014年までに発行された教科書の調査結果との比較を通して
土井 徹
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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現在,生活科において学習後のアメリカザリガニはどのように扱われているのかを明らかにするために2020年に発行された(2019年検定済みの)全ての生活科教科書(8社,16冊;上下各1冊)について,飼育後のアメリカザリガニの扱いに関する記載を調査した.その結果,アメリカザリガニを飼育対象としていた3社全てが飼育継続を推奨していることがわかった.加えて,記載の変遷を明らかにするために今回の結果を,1992~2017年の間に発行された(1991~2014年検定済みの)生活科教科書の調査結果(土井,2020)と比較した.その結果,生活科教科書における学習後のアメリカザリガニの扱いに関する記載は,約30年の間に記載なし,野外放逐の推奨,野外放逐・飼育継続の選択が消失し,飼育対象とする場合には飼育継続の推奨のみと変遷したことがわかった.
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加納 安彦
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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健康に関する疑似科学的な言説が広がり,一般市民だけではなく医療従事者にも少なからず影響していた.本研究では,医療従事者をめざす学生を対象にして,疑似科学的言説がどの程度浸透しているかを調査するとともに,教育によって学生に意識が変化していくかを,同一学年を入学時から卒業時まで追跡して比較・検討した.疑似科学的な宣伝は多くの学生のなかに深く浸透し,全体としては専門教育を受けない市民とかわらない面も多くあった.その一方で,基礎医学科目で学ぶ内容にかかわって,ある程度の教育効果を確認できる重要な知見も得られた.
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松田 稔樹
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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最新学習指導要領では,深い学びを実現するために,教科の見方・考え方の活用が重要だとしている.しかし,文部科学省が示した見方・考え方は,過去の教科教育学の成果を反映したものではなく,明示的な指導も考慮されていない曖昧なものである.本稿では,各教科の学習成果は,SDGsなどの問題解決に向けて,「総合的な学習の時間」の探究的活動で統合的に活用されるべきとの立場に立つ.そして,そのような学習活動の設計を支援する新・逆向き設計の手法(松田2020)に基づき,学習過程に必要とされる見方・考え方を想定しながら,特に,理科教育で指導すべき科学的な見方・考え方やその明示的指導法について考察する.その過程で,過去の科学的な見方・考え方や,他教科の見方・考え方の研究成果を参照し,教科横断的な見方・考え方と教科固有の見方・考え方との関係についても考察して,その体系化を図る.
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満たすべき要件に関する現システムの達成と課題
宮崎 樹夫, 村松 浩幸, 藤田 太郎, 岩永 恭雄
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究は,「証明の構造の理解レベル」と「証明の構造に即した学習支援システム」に着目し,学習支援システムが満たすべき要件として次の2つを特定した:全称命題の適用と系列化に基づく証明の構成,証明の構造の理解レベルに即した認知能力,非認知能力,両者の相互作用に対するフィードバックの実装.これらの要件からすると,開発中の現システムは,全称命題の選択・削除,連結,再選択が可能であり,証明の構造の理解レベルに即した認知能力に対するフィードバックが実装されている.一方,全称命題の系列化に基づく証明の構成に関する自由度は十分ではなく,非認知能力,両者の相互作用に対するフィードバックは実装されていない.
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-RLAとSRPに基づいた数学探究モデル-
松本 昌也, 清水 克彦
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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2022年から施行される高等学校学習指導要領において,理数探究基礎・理数探究が新設される.これらでは,知的探究心や自ら課題を求め発見し未知のものに挑戦する態度の育成が重要視されている.先行研究から研究者を模した活動モデルとしてRLAやSRPが,RLAは問題の発見が難しいこと,SPRは教師が生徒の活動を予見できないことが明らかになっている.そのためこのモデルを理数探究基礎に活用するのは難しいことを同定した. さらに数学研究の方法として実験数学があり, Eilers(2017)は純粋数学への実験的アプローチは、数学研究者の仕事の仕方に革命をもたらしたと指摘しており,数学研究の方法として重視している.この実験数学では発見の推論が働いている.本研究では,このような知見をもとに理数探究基礎に合わせた実験数学による研究方法とGoogle Colabratoryを用いる実験数学教材の開発の方針を示した.
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板橋 克美
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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自然現象における「原因と事象」はプログラミングにおける「入力と出力」に1対1対応させることができ,正しい順序でプログラムを組むことは,自然現象を論理的に説明することに相当すると考えることができる.この考えを基に,本研究では,プログラミング教育のねらいの2つを達成することを目的として,中学校理科の「気象とその変化―霧や雲の発生―」の単元を題材に,プログラミング教育を実施する.その研究の第一段階としてデジタル教材を,Pythonを用いて開発した.開発した教材を本学学生に試してもらい,その感想から教材の改良を行った.加えて,本教材の有用性についても議論する.
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各教科等の「見方・考え方」に注目して
高阪 将人, 松原 憲治
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本稿では資質・能力の育成を見据えた教科等横断的な学びとしてのSTEM/STEAM教育について,各教科等の「見方・考え方」に着目し考察した.まず,STEM教育における教科・領域数及び統合の度合いに関するこれまでの研究から,2つ以上の教科・領域を扱うものを教科等横断的な学びと定めるとともに,教科等横断的な学びを連続的に捉えることにした.次に,STEM統合における3つのアプローチ,特に育成される資質・能力,各教科等の「見方・考え方」を働かせる文脈及び対象との対応関係を示した.その後,STEM/STEAM分野における教科等横断的な学びを概括し,資質・能力の育成を重視する教科等横断的な学びとしての位置づけを示した.
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中西 裕也, 磯﨑 哲夫, 林 武広
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究では,資源教育や防災教育において,意思決定を行うために,倫理的側面に関わる態度の育成を位置づけることを目指し,その必要性について検討することを目的とした.その結果,資源教育や防災教育における倫理的側面に関わる態度の育成の必要性として,次の3点があげられる.(1)資源や防災に関する問題には必然的に倫理的側面を含み,一人ひとりが意思決定を行う上で重要であること,(2)科学的リテラシーの育成やNOSの理解と,倫理的側面に関わる態度の育成は相互に良い影響があること,(3)意思決定を行う際に,倫理的側面を含む社会的合理性を考慮する必要があること,である.資源や防災など自然と人間の関わりのある内容については,倫理的側面に関わる態度の育成を意図した検討,議論や理由づけを行うことが,個人の意思決定において重要である.
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木村 百合子
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本稿の目的は,Glasser and Smith (2008)およびDamarin and Erchick (2010)をもとにセックス/ジェンダー概念の意味と立場,数学教育のアプローチを整理・検討し,日本の数学教育におけるジェンダー研究への示唆を得ることである.その結果,①日本ではセックス/ジェンダー概念の意味や立場を明示した研究はみられないが,一方で,Glasser and Smith (2008)およびDamarin and Erchick (2010)に類似したアプローチがあること,②「ポストモダンモデル」を意図したアプローチは見られないが,新たに戦前・戦中の教科書を再評価するアプローチがみられたことの2点から,今後の発展の可能性があることを示した.
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東原 貴志, 水野 頌之助
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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SDGsを意識した製品開発の例として,間伐材の新たな活用方法を見出した木のストローを取り上げ,中学3年生を対象として,その製作を体験させる授業実践を行った.市販の製作キットを用いて一人5本製作させた結果,のりの付け方や鉋屑の巻き方について試行錯誤がみられたが,繰り返し製作することで上達し,およそ30分で完成させていた.生徒はプラスチックごみを減らす取り組みとして評価しており,SDGsの目標との関連では「14海の豊かさを守ろう」を挙げる者が最も多かった.木のストローは間伐材の利用促進の側面から使い捨ての製品として位置付けられているが,使用後のポイ捨てについて懸念する意見がみられた.今回の授業実践では「15陸の豊かさも守ろう」に関連した森林保全の問題や,「9産業と技術革新の基盤をつくろう」につながる間伐材の活用方法を見出した製品開発についての指導内容の改善が課題として残された.
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棚橋 沙由理, 山本 桃子, 白岩 志康
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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科学系博物館ならびに科学館は将来の理工系人材の育成のため,科学的思考および芸術的感性を涵養する場として期待が高まっている.STEM教育に創造性の要素を付加したSTEAM教育は近年,学校教育から社会教育あるいは初等教育から高等教育に至るあらゆる学びにおいて注目を集めている.大学博物館は,分野横断的な知を育むことのできる学術拠点ないし文化コモンズとしての機能を有しており,従前の博物学的な学問分野だけでなく学際的なコンテンツを発展させることが重要である.本研究では,オブジェクト介在型学習が分野横断型学習を促進することができるかどうかを模索した.結果として,多様な視座からの学び合いだけでなく円滑なコミュニケーションのためにオブジェクト介在型学習が有効であることが明らかになった.これにより,大学博物館の資源を活用したSTEAM教育として文理芸融合型オブジェクト介在型学習が有用であることが示唆された.
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阿部 暢史
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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世界が抱える諸問題をよりよく解決し持続可能な社会を構築していくためには,最適解を導き出そうとする姿勢が大切であり, SDGsの17項目はトレードオフの視点となりうるものである.「持続可能な社会」というキーワードは現行の中学校指導要領の総説にも位置付けられ,SDGsは教育活動全体の基盤となりうるものである.本実践では,SDGsを中核に据えた教育活動を展開することにより,生徒が生活や社会の問題に関心を高め,多角的に考察しながら最適解を求めていくための資質・能力をよりよく育むことを目指した.その実践の成果と課題を報告する.総合的な学習の時間を中心として展開し,生徒の問題意識や関心の変容を調べた.実践を通して,生徒の生活や社会の諸問題への関心や解決に向けて行動を起こそうとする意欲の向上に一定の成果が得られた.一方で,生徒の関心には大きな偏りがあり,技術の発展に向けた視点を育むことに課題が残った.
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小泉 健輔
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究の目的は,算数・数学科の授業におけるメタファー思考を促進する授業展開が,どのようにして算数・数学の理解の深まりをもたらし得るかについて考察することである.「既知の事柄を別の既知の事柄で喩える」行為と理解の深まりとの関係に着目し,同じ性質に着目した複数のメタファー表現及びその解釈,異なる性質に着目した複数のメタファー表現及びその解釈とに区別しながら考察を行った.前者については,表現の多様性に支えられて,個人個人の趣向や,より馴染みのある背景に対応するような,理解しやすいベースが見つかる可能性があること,後者については,「ターゲットにおいて明示的でない,顕著でない意味に改めて注目させるという,ターゲットの意味特徴の強調」の働きにより,それまでは必ずしも明示的でなかった意味についても含みこみながら,数学的概念の多面的な意味を整理する契機となり得ることを示した.
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― 一人一人が作成・操作できる教材開発をめざして―
松本 榮次, 安部 洋一郎
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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「月の満ち欠け」を科学的に理解するには地球視点と宇宙視点を交互に視点移動させる能力が必要であり,その指導は容易ではない。この理解を深めるために児童が容易に作成し操作できる教材として「月の満ち欠けしらべ盤」の簡易版を開発し,大学生を対象としてその効果を検証した。その結果この教材を利用することで,月の満ち欠け理解を深めることができる可能性が示唆された。
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松浦 遼, 網本 貴一
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究では,化学実験におけるICT機器の教材活用の可能性に着目し,Arduinoを用いた圧力・温度同時測定装置を作製した.ピエゾ型圧力センサとサーミスタ温度センサから出力される電圧変化をArduinoのAnalog入力ポートでそれぞれ読み取り,センサの電圧・抵抗特性をPC上で解析することによって,圧力と温度の同時測定を実現した.こうして作製された圧力・温度同時測定装置の教材活用の一例として,液体の蒸気圧の測定と解析を含む物質の状態変化に関する学習プログラムを構成した.
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薮 哲郎
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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Scratchは非常に優れたブロックプログラミング環境である。Scratchは初心者がゲームを作成するのに使われることが多いが、物理シミュレーションを作成する用途にも使える。非常に容易に物理シミュレーションを作ることができる。本稿ではScratchを用いて物理シミュレーションを作成する方法を述べる。最初に物理シミュレーションの方法について述べる。次にいくつかの物理現象について、シミュレートするための数式を導出する。次にScratchの世界で計算するときの注意点について述べる。最後に実際のコードを提示する。
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渡辺 快, 高阪 将人, 小林 久美, 中和 渚
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本稿の目的は教科等横断的視点による家庭科教育と数学教育を統合したカリキュラム開発のための枠組みを提案し,具体的な授業案を一例として示すことである.カリキュラム開発のための枠組みとして,まず,STEM教育における4つの統合の度合いによるアプローチを枠組みとして示し,各教科の本質・特徴を把握した.次に,4つの各アプローチにおいて想定しうる統合可能な学習内容や方法について既存研究も含めて整理し,提案した.家庭科は広い分野に渡り,学習内容の文脈・方法が統合不可能な性質を有しているため,数学教育の視点を参考として,社会文化的アプローチの幾つかの視点から各アプローチにおいて両者の統合を図った.最終的には具体的な教材開発の例として, Interdisciplinaryアプローチを用いて,家庭科の三原組織を教材として民族数学的視点とICTの利用等を含め,両教科の統合について授業構想案を示した.
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竹中 真希子, 辻 宏子
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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本研究では,生活科に着目し,数理・科学的な視点からの位置付けを行うことを最終的な目標に,先ずは学術研究として提出された小学校生活科の論文がどのような観点で書かれているかを明らかにした.観点は,「背景研究」「理論研究」「実践研究」「教育方法」で,それぞれ下位に科学的・数理的要素を含んでいるかどうかを分類した.2010年から2020年に学術雑誌に掲載された論文51編を対象に調査した結果,科学的要素を含んでいたのは14編であったが,数理的要素は0編であった.今後, これからの教育を考える上で重要なキーフレームとしてのSTEAMと親和性のある生活科について科学的・数理的側面から新たな位置づけを見出していくことで,生活科の新たな学びとカリキュラムの先導的役割を見出すことに繋がると考えられる.
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奥本 素子
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究は,アートを科学教育に取り入れる意義の一つとして,アートの初期段階の創作プロセスを経ることにより外部情報と主観情報といったマルチモーダルな情報を組み立てながら,概念解釈を行うことを促進することと仮定した.そこでアーティストの創造過程の初期に行われている情報収集,整理の手法を学ぶことを通して,外部情報と自分自身の主観的感覚的視点をマルチモーダルに取り込みながら情報を統合するSTEAMワークショップを試行し,その中での学生の解釈の視点の拡張を調査した.その結果,短期間のワークショップで,参加者が視点を複数用いながら科学概念を理解していくという過程が観察された.
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柗元 新一郎
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究の目的は,リスク社会における数学教育の貢献のあり方について検討することである.このために,リスクの概念の多義性について概観するとともに,児童・生徒がリスクに対して積極的に関わることの重要性と焦点を絞った授業計画の必要の必要性を指摘した.また,数学教育におけるリスクの先行研究を整理し,小中高の算数・数学のすべての領域において,数学教育がリスク社会においてどのように貢献し得るのかを検討することの重要性を指摘した.教材例を「リスクの分類」「リスクの特定」「リスクの評価」に基づいて提示した.
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渡辺 信, 青木 孝子
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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Technologyの発展は目覚ましい。情報化社会はコンピュータと共に始まり、データサイエンス、AI(人工知能)へと発展している。複雑な計算は即座に行い、この機能は移動平均のグラフを見ることができる。複雑なデータを保管してくれる。また図形の問題は動きを見ることは教科書の静画からの動画への数学の拡張がみられる。このような変化の中での数学教育の変化が表れてもおかしくはない。どのように変化するかを見るとともに、図を見ることによって、予想・仮説を作ることができる。またいろいろな新しい問題を発見し不思議な数学の世界に入ることが可能になった。
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野口 祥太, 小倉 康
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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日本では,中学校段階での理科のカリキュラムとプログラミング教育との間に関連性がない. そこで,中学校段階の理科系カリキュラムにプログラミング教育を導入するため,パラレルストーリー型カリキュラムを開発した.このカリキュラムに従い,中学3年生において「電流と磁気」11時間,「溶液とイオン」8時間の授業を行った結果,プログラミングをしないで理科を学習するよりも,授業中に理科の学習を行いながらプログラミングを学習することで,理科の学習内容の理解が向上することがわかった.また,生徒のプログラミング能力を伸ばすことができることもわかった.そして,パラレルストーリー型カリキュラムは,理科教育とプログラミング教育に相乗効果をもたらすことが明らかとなった.
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青木 良太, 稲垣 成哲, 溝口 博, 武田 義明, 楠 房子
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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近年,生物多様性の保全に関する国際的な取り組みが進められている.筆者らは,生物多様性の減少要因の一つである「人間の自然に対する働きかけの縮小」を題材とした学習ゲーム「里山管理ゲーム」を開発してきた.その中で,里山内日射量に関する表現が不足していることが課題として指摘されていた.本研究では,「里山管理ゲーム」に新たに日射量の表現を実装し,その評価を行った.日射量の表現を実装した「里山管理ゲーム」を大学生48名に体験させ,質問紙調査による評価を行った結果,日射量の表現に対する肯定的な回答と否定・中立的な回答には有意差が認められなかった.また,事前・事後の知識の変容に関しても,有意差はみとめられなかった.今回実装した日光量の表現には,まだ課題があることが分かった.今後,より適切な日光量の表現方法を開発し,実装する必要性がある.
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川村 教一, 森永 速男
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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兵庫県神戸市南部に位置するA高等学校の1,2年生を対象に,水害と地震災害に関するリスクの認知状況,誘因と素因などに関するアンケート調査を実施した.生徒は地震や津波災害を脅威として感じていた.震災の誘因の科学的な認識はほとんど見られない.また,洪水の誘因については大雨と関連付けられる生徒も見られるが,その割合は低い.素因については河川の堤防の高さとの観点からしか認識しておらず,自然素因についての知識は低い.今後は高等学校「科学と人間生活」における学習状況と自然災害現象の学習の関係を明らかにすることが本研究の課題である.
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花岡 愛子, 松尾 七重
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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本研究の目的は、就学前幼児向けの図形教育プログラムの効果を明らかにすることである。そのために、 先行研究や各種テストを参考に、幼児のもつ資質、能力に鑑みた幼小接続の観点から、未就学児向けに図形能力 を測る図形認識力テストを作成し、その結果を改善するための、幼児の持つ資質・能力に適合した図形教育プロ グラムを開発した。5 歳、6 歳の 13 名の園児に対し、約 2 ヶ月間定期的に株式会社プレイシップが開発したさん かく積み木(HEMPS)を活用した図形教育プログラムを実施し、その事前、事後で図形認識力テストを通して、 園児の認識の変容を分析した。その結果、特に図形構成力の改善が見られた。
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中島 康, ファイクハムタ チャトリー
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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This Study investigated the descriptions related to the "practices" of NGSS(Next generation science standard for the USA) in the Thai lower-secondary science textbook edited by the Institute for the promotion of teaching science and technology (STT) and compared the descriptions with those in five science textbooks in Japan (STJs). STT has the first Unit "How to learn science" which include descriptions of scientific process related to the "practices." Although STJs do not have the unit related to the "practices," they have some descriptions about the scientific process at the beginning or end of the volumes. While the descriptions of the scientific process in STJs are practical and concrete, those in STT are explicit and informed.
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藤井 良宜, 開地 和代, 遠藤 宏美
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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これから迎えるSociety 5.0 の時代には,データに基づいて判断したり,問題解決したりすることができる人材が求められている.そのため,学習指導要領の改訂において,小学校算数科および中学校数学科において「データの活用」領域が新設され,統計教育に力が入れられている.その中でも統計的な問題解決のプロセスが重要視されているが,現実的な問題の設定や授業時数の確保など様々な問題点が指摘されている.本研究では,小学校における算数と他教科との関連に焦点を当てて,統計教育を充実するためのカリキュラム・マネジメントを行い,実際に第3学年において,算数と理科の連携を図った授業実践を実施した.その結果,教員同士が情報を共有し,お互いに連携し合いながら教育活動を行っていくことの必要性や6年間を見通したカリキュラム・マネジメントの重要性が示された.
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滋野 哲秀
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究は、筆者が担当する大学での理科教育法及び地学に関する教養の授業を学ぶ学生のデータに基づいたミスコンセプション研究から生まれた問いのデザインが、義務教育から高等学校の地学分野の教育、さらに一般市民の気象防災にどのような効果をもたらすのかについて、大学の授業における試行をもとに分析したものである。その際、まず中学校の教科書の記述や模式図がどのようなミスコンセプションを生起させているのかについて分析し、特に、大雨などの気象災害を学ぶことができるような内容になっているのかを検討した。その結果、前線についての説明や模式図、気象災害の中心となる積乱雲についての記述、降水域を記した模式図は、近年多発する大雨などの降水域とはあまり整合しておらず、気象防災知識を学ぶには不十分なのではないかとの結論を得た。この状況を改善するためにミスコンセプションから開発した問いのデザインの効果について報告する。
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平等 正基, 熊倉 啓之
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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[要約]本研究は,小6の「比」の単元に焦点を当て,割合の理解を深めることをねらいとする教材を開発して授業実践を行い,そこでの児童の反応等から,体系的な割合指導における示唆を得ることを目的とする.まず,比の活用場面において百分率で割合が示された第3用法の問題を開発し,次に小6を対象に授業実践を行った.児童の反応として,数直線図以外の図表現を用いることや割合の第3用法の公式を活用できないこと,比による解決が有効だと感じた児童が多いこと,多様な解決方法を用いることが観察された.以上の結果を踏まえて,割合の理解を深めるための体系的な指導への示唆として,(a)数直線図以外の図も扱う,(b)第3用法の公式の指導に注力しない,(c) 割合を小6でも体系的に指導する,の3つを得た.
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森重 比奈, 野村 裕美子, 西澤 輝, 加藤 徹也
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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我が国の理科教育では,科学の知識だけでなく,探究の過程に焦点を当てた教育が行われている.しかし,それを指導する立場にある教員自身の探究活動を行った経験は,大学時代の研究活動において得るのが一般的であり,探究活動とは何であるかを体験する全体的な取り組みはほぼ存在しない.探究活動における過程を体験することのできる活動として,オランダで開発されたExpeditionMunduがある.ここでは,科学の探究活動に必要な要素がなんであるかを科学者のロールプレイングゲームと言語活動を通して学ぶことができる.本研究では,オランダで開発されたムンドスを日本語に翻訳し,教員を志望する大学1年生を対象に,この活動が参加者の探究に関する考え方にどのような影響を与えるのかについてアンケートを用いて調査した.その結果,ムンドスは参加者の探究の過程における様々なプロセスについての想像力を向上させることがわかった.
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江草 遼平, 青木 良太, 楠 房子, 稲垣 成哲
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究の目的は,マンガ表現解説法におけるキャラクター及び吹き出しの導入が来館者に与える解説読み取り支援効果について検討を行うことである.本稿では,その先行的な分析として,小学生を参加者とした調査事例の1つを紹介する.分析においては,アイトラッカー(Tobii Pro Nano)を用いて,ディスプレイ上で表示されたマンガ表現解説鑑賞時における参加者の視線移動を測定する.キャラクター及び吹き出しの有無による視線移動の変化を分析したところ,キャラクター及び吹き出しが有るマンガ表現解説において,キャラクターと吹き出し間で視線が頻繁に移動する傾向,イラスト及び吹き出しにおける固視滞留時間が増加する傾向が見られた.
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川上 紳一, 神崎 大哉, 武藤 正典, 石橋 信弘, 勝田 長貴
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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平成30年度に発行された学習指導要領では,中学校理科単元「大地のつくりと変化」における火山の学習において,火山噴出物をマグマの性質で関係づけて学習することが求められている.これを受けて,中学校理科の教科書では,火山灰を実体顕微鏡で観察する実験が取り入れられている.火山灰中の鉱物の同定には経験的なスキルが必要であり,筆者らは,火山灰中の鉱物を種類ごとに分離した7種類の造岩鉱物からなる鉱物標本セットを作り,岐阜県内の中学校に配布した.これらの鉱物と桜島の最近の活動で噴出した火山灰と2000年の有珠山の火山灰中の鉱物について,電子顕微鏡(SEM-EDS)を用いて観察した.火山灰中の鉱物の観察をマグマの性質と結びつけることは困難であり,火山学習において鉱物セットは造岩鉱物の観察に用いて鉱物について理解を深めたあと,火成岩,火山灰の観察をするほうが合理的である.
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遠藤 拓洋, 下田 彰子, 山田 博之, 齊藤 有里加, 小川 義和
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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国立科学博物館自然教育園において実施されている植生管理を動画教材として可視化し、 大学生、ボランティア、 学校教員に対して試験運用とアンケートによる評価を行った。 自然教育園は全域が天然記念物および史跡に指定されており、動画教材は天然記念物である自然とそれに密接に関わる植生管理への理解促進を促す目的で製作されたものである。 成果としては,、アンケートの動画視聴前後の印象についての結果から、教材として一定の効果が見込めたほか、 オンライン教材としての有用性が見出された。
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早川 貞幸, 垣見 さつき, 芳賀 高洋, 川上 紳一
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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児童生徒の理科嫌い・理科離れが言われる中で,ミクロの世界の不思議さや美しさを体験し,理科への興味関心を持ち続けるための方策の一つとして,電子顕微鏡による観察体験は有意義である.観察対象には,身近な花粉をサンプルとすることもある.観察した花粉が,その花のものであるとして観察し,スケッチや写真にすることが多い.観察結果を花粉図鑑や写真集と比較参照することもあるが,出版物では花粉を溶液処理して観察した写真を掲載していることが多く,風乾花粉の観察とは形が異なっている.さらに,花粉を見慣れていない観察者が,採取したサンプルの中に混ざりこんだ,他の花の花粉,砂やほこりなどを,その花の花粉とみなしてしまうこともある.これらのことから,本研究では教育現場での観察に対応した風乾花粉について,電子顕微鏡で観察した花粉画像を蓄積した.さらに,インターネット上で簡単に比較参照できるデータベースの構築を進めている.
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田中 元, 鈴木 哲也
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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大学にて小学校の理科に関するイメージをアンケート形式で調査し、小学校理科の教科書から得たコーパスを土台としてその分析を行った。調査対象となった大学生たちが小学校の理科に対して抱くイメージは、まず水・水溶液を加熱する実験作業、次に虫眼鏡で光を曲げる・日光を集めてものを燃やすという体験に由来する。以下には顕微鏡、リトマス紙、ミョウバンがそれぞれ続くが、これらは互いに独立したトピックスとして捉えられていると言える。器具・試薬を用いた実験が何を導くのかという点が調査結果にはほとんど現れず、器具・試薬を用いた体験自体が小学校理科の「らしさ」であると大学生が認識している可能性がうかがわれる。
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戦後中等理科教育の変遷及び進化論・優生学に関する時代思潮より
名倉 昌巳
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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平成20年告示の中学校学習指導要領において,「進化」と「遺伝(の規則性)」が復活し,平成29年改訂では「進化」が第2学年から第3学年に移行し,「遺伝」の学習後に扱われるようになった.「進化」と「遺伝」は「細胞説」と並び生物学上の重要な概念である.しかしながら,過去の学習指導要領においては,「進化」と「遺伝」は削減と復活を繰り返してきた学習内容である。本研究では,このように重要な科学的概念がなぜ学習内容から消え去る時期があるのかを究明することを目的とした.この点に鑑み,戦後8回にわたる学習指導要領・その解説・教科書などの記述を調査し,さらに当時風靡した言説・進化論争・優生学など社会的歴史的背景を論じた文献を調査した。その結果,優生保護法・遺伝決定論・反ダーウィニズムの台頭などの共通項が浮かび上がってきた.一時の要請に左右されない科学的進化理論・遺伝理論を中心置いた生命教育が望まれる.
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亀山 晃和, 原田 勇希, 畠中 俊暉
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究の目的は理科教育における対話的な学びに関連する実践研究で得られている知見を統合し,平均効果量の算出を行い,これまでの知見の成果と課題を導出することである.結果より,平均効果量は前後比較においてg = 0.48,条件比較においてg = 0.35であり,中程度の効果量であることが明らかになった.また,前後比較において研究間の効果量のばらつきが認められ,対象者の学校種と育成を目指す資質・能力による違いが認められた.加えて,前後比較と条件比較の平均効果量の違いから,前後比較によって算出された対話的な学びの効果には0.13程度他の学習による効果が含まれる可能性が示唆された.今後前後比較による結果の解釈には慎重になる必要がある.
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中村 大輝, 藤原 聖輝, 川崎 弘作, 小林 和雄, 小林 優子, 三浦 広大, 雲財 寛
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究の目的は,科学の本質(Nature of Science, NOS)の理解の評価方法について,その種類や特徴,歴史的変遷,今後の研究の課題を導出することであった.Lederman et al.(2014)を参考にNOS理解の評価方法を抽出した結果,49件の評価方法が確認された.これらの評価方法には回答形式などの違いが見られ,全体として量的研究から質的研究に変遷してきたことが見て取れた.最後に,今後の研究の課題を「NOS理解として何を評価するべきか」,「どのような方法で評価するべきか」,「何のために評価するか」という3つの論点から整理した.
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栁原 みず季, 大谷 忠
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究では,PBL教育における問題解決の学習方法に焦点を当て,日本のPBL教育に関して実践されている研究内容について分析し,その分析結果に基づいて,STEAM教育や総合的な学習の時間で実践されている問題解決学習の特徴について検討した.その結果,日本のPBL教育に関する内容の殆どが大学における実践報告であり,保健の分野ではProblem-Based Learningの学習方法が多く,工学,社会科学,人文科学の分野においてはProject-Based Learningの学習方法を多く援用されていた.さらに,その学習方法に関して詳細に分析した結果,総合的な学習の時間等で行われている探究的な学習過程は,PBL教育におけるProblem-Based Learningによる問題解決学習の方法と同様の考え方に基づいていることが考察された.
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松本 朱実, 齋藤 愛子, 松山 薫, 山口 進也, 佐藤 真之
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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小学校生活科の単元「動植物の飼育栽培」において,教師と動物園職員が継続的に子どもたちの学習活動を支援する連携プログラムを実施した.学校で飼育するモルモットの生態を自分たちで調べ,観察し,工夫して関わり,継続して大切にしていくことを単元の目標に掲げた.教師が問題解決的なカリキュラムを作成し,子どもの興味や問いに応じて動物園職員が観察支援や質疑対応をした.様々な子どもの考えの表現を質的に分析した結果,子どもが自分なりに職員から得た情報などを参考にしたり,視点をもって観察したり,モルモットの視点や気持ちに立ったりした活動や考えが示された.チームでの協同的な活動の有効性も示された.教師と職員が協働で問題解決的に継続した支援をおこなうことにより,子どもにとっての科学学習の可能性が高まると考える.
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仲達 修一, 白神 陽一朗, グレニー ルシアン, 西山 ちとせ
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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岡山県立倉敷天城高等学校は,平成17年度(2005年)にスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けて以来,本年度で第Ⅳ期の2年目を迎えている.この間,理数科・普通科における課題研究を中心としたカリキュラム開発と,将来科学技術の分野で国際的に活躍しうる人材の育成を行ってきた.平成27年(2015年)には,本校が開発・作成した「理数科課題研究ガイドブック」と「真正の評価のための汎用的『ルーブリック』集」が「中央教育審議会 高等学校の数学・理科にわたる探究的科目の在り方に関する特別チーム」で資料として取り上げられ,令和4年度(2022年)から年次進行で始まる新教育課程における教科「理数」の新科目「理数探究基礎」・「理数探究」の開設に大きく寄与した.本稿では,本校で実施している普通科における課題研究に焦点を当て,この課題研究で育まれる「課題追究力」と「異分野統合力」についての考察を行う.
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紙本 裕一, 福田 博人
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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日本では,教科書とは学習指導要領の内容の展開が具現化されたものであり,その内容は児童・生徒の理解を仮定して叙述される.極端に考えれば,教科書の一字一句が児童・生徒に理解を求める内容に対応しているといってよい.本稿は,数学教科書本文でデータ化の条件をどの程度捉えることができるのかについての実態と限界性を明らかにする.分析の結果,「測る‐単位」の関連性に着目しない限り,教科書においてデータ化の条件を認知することは困難であった.数学教科書では「測定‐単位」の関連性が全く見られなかったことから,データ化の条件を認知するためには「測定-測る-単位-四捨五入」というつながりの直接な教授が必要である.
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~ 全国学力・学習状況調査問題「算数A」を用いて ~
石井 俊行, 鶴見 行雄
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究は,「単位量当たりの大きさ」を習得している児童は,中学理科の「物質の密度」を学習するための前提となる知識・技能をレディネスとして習得しているのかを明らかにすることを目的に行った.その結果,5割程度の児童が「単位量当たりの大きさ」を求める式やその式の商の意味について理解していなかった.しかし,「単位量テスト」に正答した児童の概ねの児童は,「1に当たる大きさ」の考え方及び「混み具合としの密度」の考え方を未習の「物質の密度」にも活かして正答できていた.このことから,「単位量当たりの大きさ」における知識・技能を習得している概ねの児童は,中学理科の「物質の密度」を学習するための前提となる知識・技能をレディネスとして習得していることが明らかになった.
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