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CODAPを用いたインフォーマルな推測
小口 祐一
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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平成30年告示高等学校学習指導要領では,数学Ⅰにおいて「仮説検定の考え方」を扱うことが示された.指導上の課題は,確率や確率分布の概念を未修の状況で「仮説検定の考え方」をどこまでどのように指導するかという点である.本稿の目的は「シミュレーションに基づく仮説検定の考え方の教材を開発すること」である.さいころの公平性の問題を取り上げ,指導目標,発問系列とシミュレーションの方法について検討した.結論として,CODAPを用いたインフォーマルな推測による仮説検定の考え方の教材を開発した.開発された教材には,次の特徴があると考えられた.第1に,シミュレーションでは,前提とする確率を変えて,重要目標達成指標KGIが確率変数であることなどを探究できる.第2に,シミュレーションには,暫定的な仮説の客観的な検証方法としての機能があり,標本の大きさを変えて,KGIの分布が二項分布に従うことなどを探究できる.
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服部 裕一郎, 上ヶ谷 友佑, 石橋 一昴
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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With the spread of the novel coronavirus disease, there is a need for mathematics education to deal with social issues that cannot be solved by scientific knowledge alone (trans-scientific issues).Therefore, this project focuses on socio-critical modeling, which aims to critically examine the role of mathematical modeling in students' daily and societal situations and the possibility of its implementation in mathematics classes. In critical mathematics education, which is the theoretical perspective of socio-critical modeling, both the everyday and the social are required simultaneously in the task context. However, it is difficult to create teaching materials for mathematics in children's daily and societal situations, which is neither only daily nor only societal. This project will examine this point from various perspectives such as a case study of students'research activity on the definition of recycling rate, risk communication, and socially open-ended problems.
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上ヶ谷 友佑, 石橋 一昴, 服部 裕一郎
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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The purpose of this paper is to determine practical implications for the effective implementation of a socio-critical modeling approach in mathematics lessons. We analyzed an activity undertaken by tenth-grade students from a school of educational research in Japan. In this activity, the students inquired about recycling efforts in their cities. They found differences in the definitions of "recycling rate" between the cities and asked the city officers about the different definitions. Until they realized there were multiple definitions, they uncritically accepted a definition. This episode, thus, implies the possibility that an intellectual need for critical consideration supports the effective implementation of a socio-critical modeling approach. However, the students uncritically accepted the officers' reply that the definitions in cities have the same meaning. Future research needs to further investigate how a socio-political perspective supports students' intellectual need.
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石橋 一昴, 上ヶ谷 友佑, 服部 裕一郎
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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The purpose of this study is to explore teaching materials on socio-critical modeling for developing students' ability of critical consideration based on mathematical modeling to understand daily and societal situations. To this end, we focused on risk communication, which has reported difficulties in conveying risk information from experts to general citizens. As a result, it is suggested that the societal topics of "conveying relative risk (risk ratio) or odds ratio without baseline risk" or "mismatched framing" are suitable for teaching materials on socio-critical modeling. We found related societal topics in Japanese newspapers. Risk communication is effective in exploring socio-critical modeling teaching materials. In addition, because some of the risks increase with age, students can and should learn not only about their current positions in society but also about their future positions through lessons oriented toward socio-critical modeling.
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服部 裕一郎, 上ヶ谷 友佑, 石橋 一昴
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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This study proposes a new problem context using students'daily and societal situations as teaching material for implementing socio-critical modeling in mathematics classes. We reviewed the practice of a thematic approach based on critical mathematics education-a theoretical perspective of socio-critical modeling-and reconsidered the framework of socially open-ended problems that emphasize students'daily and societal situations. Based on our research outcome, we propose a quasi-society, as the problem context. School based extracurricular activities such as election of the student body president can correspond to real-world elections. We see it as a quasi-society. This study critically examines the role of mathematics in addressing problems that are inherent in a quasi-society for effectively teaching socio-critical modeling. We used Taiwan's quadratic voting system as the teaching material.
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川上 貴
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本稿の目的は,数学的モデリング研究のローカルな理論の1つである規範的モデリングの観点から,社会指向のデータモデリングの特徴を明らかにすることである.そのために,COVID-19感染対策に関する社会的意思決定を行ったある大学生のデータモデリングの様相の一部を分析した.その結果,以下の2つの特徴が事例的に明らかとなった.(1)ドットプロット,箱ひげ図,散布図といったグラフモデルの役割が,四分位数などの指標モデルを伴うことで,データの傾向を描写する「記述手段」から,データに基づく社会的意思決定そのものを形成し示す「行為遂行的な手段」へと移行していく.(2)モデルの構成,改訂を通して,両者の役割が交互に現れ,よりよい社会的意思決定が生まれてくる.こうした特徴をもつ社会指向のデータモデリングの活動は,社会におけるデータやモデルの役割を振り返る契機になりうる.
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山崎 美穂, 上ヶ谷 友佑
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究では,社会批判的モデリングと数学的価値との関わりについて明らかにすることを目的とする.そのために,数学的価値の3観点から,社会批判的モデリングに取り組む学生・生徒の実態を紹介する先行研究データを分析し,社会批判的モデリングの際に現れる数学的価値について捉えた.その結果,合理主義の数学的価値が,既に用いられている非合理的な数学的モデルを合理的な数学的モデルへと改めることを可能にし,進歩感の数学的価値が,社会批判的モデリングのために数学的モデルを使うことを可能にし,神秘性の数学的価値が,社会批判的モデリングにおける数学的モデルの使用の有無に影響を与えることを捉えることができた.また,数学的価値が異なるもとでは,社会批判的モデリングの結論は全く異なることを想定できることから,数学的価値は,社会批判的モデリングにおいて重要な役割を果たしていることが分かった.
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福田 博人
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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今日の社会は複雑性を更に複雑化させたような特徴を有する時代である.こうした時代においても,現実世界に生きる我々は,解決すべき問題が発生した際には,その問題が確定的な解決を有していないとしても,最終的には何らかの意思決定を下さなければならない.それ故に,本稿ではこのような絶対的に正しい一意解が存在しない問題に対する探究プロセスを含めた意思決定に着目する.その際,意思決定者による自身のモデリングプロセスの反省が作用する社会批判的モデリングを参照し,統計教育の今後の展望を示すことを目的とした.そのために,先行研究による二つの統計実践(栄養と肥満に関する実践と地球温暖化に関する実践)を対象とし,社会批判的モデリングの視点から分析を行った.その結果,次の二点の展望を示した:技術的知識と反省的知識の両知識への着目,解答に具体的な行動を伴う真正な問いの設定.
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数学教育研究の立場から
太刀川 祥平, 森田 大輔, 久保 良宏
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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「理科と数学の『共通の文脈』を有する『場面性』を設定するには,教師の専門性を涵養することが重要である」という課題意識に鑑みて,本稿では,理科と数学を関連させる教師の専門性を明らかにするとともに,これまで本課題研究発表で提案してきた題材がその専門性を高めうるかを検証することを目的とする.まず,理数教育の充実を担う教師の専門性として「理数教育に関する知識・理数教育に関する信念・教師が達成しようとする理数教育上の目標」という3つ組の枠組みを暫定的に措定した.それを踏まえ,マラルディの角と単振り子の等時性という2つの教材に焦点を当て,それらの教材を教師教育へ援用した際にどのような知識や信念を獲得しうるのかについて検討を行った.その結果,それぞれの教材で指導内容や指導方法に関する知識,理科と数学の接続の重要性や生徒の学習状況に関する信念を獲得しうることを明らかにした.
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小学5年算数科「単位量あたりの大きさ」と中学1年理科「密度」の学習に着目して
橋本 美彦
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究は,小学校算数科と中学校理科の教科間連携の必要性を明らかにするために行った.小学5年算数科「単位量あたりの大きさ」の復習として,M小学校6年児童に中学校理科で用いる単位表記を使って授業を行った.その児童が中学に進学し,中学1年理科「密度」を学習した.その後,他の2校から進学した生徒と共に確認テストを実施した.その結果,M小学校出身生徒は,他2校出身生徒より理科で使用する単位表記を多く用いて解答していた(5%~0.1%水準有意差有).しかし,多くの中学1年生は小学校算数科で学んだ単位表記で答えていた.小学校算数科で学習する単位表記と中学校以降の理科で学習する単位表記の違いによって,子ども達は理科で用いる単位表記の理解に支障をきたしていると考えられる.小学校算数科と中学校理科の教科・教師間の連携により,子ども達の理科で用いる単位表記に関する苦手意識を解決する必要がある.
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TIMSS2019小学校4年生調査の二次分析から
高阪 将人, 渡邊 耕二
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究では,TIMSS2019小学校4年生の公開データを用いて,日本の小学生が有する算数と理科に対する情意面の特徴を捉える.分析対象は,TIMSS2019に参加した小学校4年生4196名のうち,48項目の算数と理科の質問紙調査に完全回答を持つ3453名である.分析の結果,算数・理科やそれらの勉強について,算数よりも理科に肯定的である子どもが多いことが分かった.また,授業中の教師との関わりについて,理科よりも算数に肯定的であることも分かった.算数においては,しばしば情意面の低さに注目される.理科との対比を踏まえると,算数の面白さ,楽しさ,難しさの再検討が鍵となる取り組みと示唆された.その際,両教科の固有性および学習内容の関連性に着目する必要性が示唆された.また,情意面と学力の関連を考えると,算数は楽しいや面白いというよりも,算数に対する難しさや苦手さの緩和に視点を置く取り組みが示唆された.
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高須 雄一
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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医学部1年生に対する「オンラインに特化したオンライン実習」の実践を報告する.紹介する実習題目は「コロナ禍」の長期化に備え,オンラインで実施するように再設計されたものである.物理学の手法と数学的処理を利用して医学に関する題材を理解することを指針とした.本実習を確実に実現させるためにはオンライン環境が必須であり,適切に運用するためにはある種の「仕掛け」が必要であった.提出されたレポートなどから,受講生は,医学的な題材に興味をもって取り組み,物理学の手法を通して実習題目を理解していることが見て取れた.数学的作業に関しては想定外の捉え方をしていることが示唆された.これらの実践を通して数学的作業のもつ意味や意義を明確に教授できる課題が見出せれば,本実習は適切な理数教育実習になる可能性がある.
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教科書のデータから化学反応速度を微分方程式としてとらえる学習
金児 正史, 早藤 幸隆, 後藤 顕一
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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2021年度から高等学校で始まる教科「理数」では,科学的に探究する過程を踏まえて自ら見出した課題を解決し,考えを伝達する活動を求めている。こうした学習にたけていない高校生の状況も踏まえ,筆者らは,理科と数学科の融合に焦点化した課題を教師が提供し,その課題を解決する過程を通して,理科や数学科に関連する既習事項の科学的背景をより深く学ぶとともに,科学的・数学的な課題解決の過程も学べる授業の開発を行った。本稿では,理科と数学科を総合する課題として,化学反応速度に着目した。化学の教科書のデータを活用して,時間の変化とともにモル濃度の減少速度が,変化しないで残っている溶質のモル濃度に
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縣 秀彦, 松本 直記
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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日本本学術会議提言「これからの高校理科教育のあり方」を始点として,2030年代の学習指導要領に実装可能な中等教育カリキュラムを多角的に検討する.高等学校理科4領域すべてが,相互に関連しながら現代社会に密接に関連していることを重視し,科学教育の意義・目的と現代社会における役割を再考し,生徒の課題解決能力の育成を主眼とした総合的でかつ基礎的な必修理科科目設置に向けての課題を抽出する.
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今井 章人, 篠原 秀雄, 勝田 仁之
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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高校理科の基礎科目は現在物化生地および科学と人間生活の5科目中3科目を選択必修としており,物理を学ばずに高校を卒業してしまう生徒がいる.その生徒は,学校が科目を設定していない場合,選択する余地がなく学ぶ機会すら与えられない.物化生地4分野を全て履修するため,4分野が統合した高校理科必修科目を設置することが考えられる.その場合に高校物理で何を学ばせたいのかを再検討したところ,定量化・モデル化・数値化・一貫性を大切にしていることを再確認した.その上で,運動方程式・エネルギー・波動・熱などの具体的な内容に関して検討した.また,総合理科や基礎理科など具体的な高校理科必修科目を設置した場合,物理教員の視点でのメリット・デメリットを検討した.さらに,STEAM教育の観点からみた物理についても報告する.
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都築 功, 佐野 寛子, 宇田川 麻由
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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現在の高等学校の生物教育は,ヒトや日常生活と乖離しているという課題がある.また,現在直面している諸課題の解決のためには4分野を統合し,他教科,領域とも連携することが必要である.これらのことから,人間生活に関わりの深い,統合的な必修の理科の科目が必要であると考える.これまで学習指導要領の改定ごとに統合的な理科の科目が設置されてきたが,選択の科目は履修率が低く,必修の「理科Ⅰ」も定着しなかった.今回,「あるテーマについて4つの分野で多角的に考察・学習することでコンピテンシーを育てる統合的な理科の科目」を提案する.理科4分野を統合した科目を考えるにあたっては,基礎的な事項を重視するか日常生活や社会との関わりを重視するかということや,コンピテンシーをどう育てるかということなど,今後の課題である.
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今井 泉, 宮本 一弘, 高見 聡
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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中等化学教育,とりわけ学問体系の視点から我が国の過去の総合的な理科の科目について俯瞰すると,学習指導要領1977-1978年(昭和52〜53 年)改訂で登場した高等学校「理科I」の評価は高いと言える.具体的には,物理・化学・生物・地学の4領域の基礎として「エネルギー」の内容が全員必修の科目として存在したからだ.後期中等教育における必修理科科目を構築するためには学問体系の視点に加えて,日常生活との関連を重視した視点が欠かせない.そのためには,4領域を繋ぐ資質・能力育成を志向する文脈を基盤としたカリキュラムが必要となる.
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隅田 学
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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幼児期特有の自発的で統合的な遊びは,科学・技術・工学・数学(STEM)教育のカリキュラム開発や実践と親和性が高い.また,身近な環境や自然,生活をテーマとした幼児の遊びは,持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)と関連する形で発展できる可能性も十分にある.本研究では,日本の幼稚園における一般的な遊びをベースとして,STEAM(Science, Technology, Engineering, Art and Mathematics)の観点を取り入れて,いくつかの遊びをつなげた事例を紹介するとともに,SDGsの観点からもその活動の意義を考える.
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大貫 麻美
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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STEM/STEAM 教育は近年国内外で大きく注目されている.一方で日本の幼児教育における実践的研究はまだ少ない.本発表においては,日本の幼児教育の特性である「遊び」を通しての総合的な指導に着目し,既報の事例研究を基に,幼児がクラフト紙を用いて遊ぶ過程で多様なプログラミング的思考の萌芽が見られること,モンテッソーリ教育園において園児が自ら選んだ生命科学に関する活動を行う過程で,算数・数学の基礎的概念や,表現活動につながる学びがあること,親や保育者との関係の中で自発的な活動に進展が見られたり,科学的思考の萌芽が精緻化されたりすること等を示した。これらをふまえ,日本における幼児向けSTEM/STEAM 教育の在り方について検討し,(1)幼児が充実感や満足感を得られる「遊び」としての活動の設定, (2)幼児が主体的に遊ぶ過程で科学的な気づきが得られうる環境構成, (3)幼児の発見に寄り添い発展を支援する保育者・教育者,を重要な要素として示した.
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TUNNICLIFFE Sue Dale, KENNEDY Teresa J.
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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This presentation provides an overview of the foundation of science, technology, engineering, and mathematics (STEM) experiences during a child’s learning journey and addresses the adult’s role within the development of play.
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ラッシラ エルッキ
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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This paper examines the Finnish early childhood education (ECE) from the perspective of teaching and learning in STEM (Science, Technology, Engineering and Mathematics).
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岡田 大爾, 竹野 英敏, 松浦 拓也
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
フリー
本研究は,東アジアの小中学生,教員,研究者対象の調査で科学技術人材育成の現状と課題を明らかにし,科学技術教育の再構築を目的とする.浙江では科学の免許の教員が中学校科学1科目を教え,北京・上海では物理・化学・生物の3科目をそれぞれ物理・化学・生物の免許の教員が教え,地学は地理で教える.日本では地学分野を理系教員が教えるのに対して,北京や上海ではこれらを地理教員が担当するため,教科書においても空間的に思考させる内容が少ない.また,技術は高校で教える.一方,台湾では科学と技術を最近まで小・中学校とも1科目で教え,ほぼ科学の教員が担当した.現在,このような様々な科学技術カリキュラムのもとで学習した北京・上海・浙江・台湾と日本で,科学技術者を育成するために重要な要素である空間能力に焦点をあて,保護者を含めた科学技術的な体験や科学技術への興味,教科固有空間能力と汎用空間能力等の調査を進めている.
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松浦 拓也, 岡田 大爾, 竹野 英敏
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究の目的は,日本,北京,上海,浙江,台北において第3学年から第9学年までの児童・生徒を対象として実施している調査のうち,主に月の満ち欠け(ボールを用いたモデル実験)課題と空間認知(SPTとMRT)課題の関連について,日本の公立中学校3年生(第9学年)253名のデータを用いて分析を実施し,先行研究と類似の傾向が認められるか予備的に検討することである.分析の結果,月の満ち欠け課題とSPTでは男女差は認められなかったものの,MRTでは男子の得点が女子の得点より高いという結果であった。また,相関係数を算出したところ,月の満ち欠けとSPTの値はr = .628,月の満ち欠けとMRTの値はr = .320,SPTとMRTの値はr = .376であり,男女別では男子の方がやや高い傾向を示した.これらのことから,本研究における調査課題は類似の先行研究と概ね同様の傾向を示すものと考える.
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竹野 英敏, 岡田 大爾, 松浦 拓也
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究では,中学3年生を対象にMRT,ものづくり学習に対する好意度や有用感等の調査を行い,MRTの結果が,ものづくり学習の好意度や有用感等に与える影響について検討した.その結果,①空間認識能力を高める授業をすること.②ものづくり文化を維持・興隆するカリキュラムを作成すること.③より具体的な視覚・体感覚に訴える具体物を用いた授業展開をすること.④再生可能な社会を見据え,修理・修繕・日常的な手入れの内容を取り入れること.⑤空間認識力を必要としなくても製品の設計を経験できたり,製品との付き合い方を解決(実現)できたりするようなカリキュラム開発の必要性が示唆された.
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黄 暁, 銭 晨璇, 呂 向東
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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新中国は,分離形式の科学課程モデルを導入したが,20世紀末の国際的な総合科学の波の中で,我が国も一部で総合形式の科学課程の実験と調査を開始した.1988年,旧国家教育委員会が発した義務教育段階の課程改革試行課題を機に,義務教育の目標と課題に基づき,浙江省は,省の特色を取り入れたカリキュラムと教育計画を策定した.中でも中学校段階における従来の分離科目(物理,化学,生物,地理など)から総合科学への移行は,注目すべき改革内容となっている.今に至る,浙江省における30年間の科学課程改革の過程で,最初のパイロット事業と改革に始まり,全国教育課程との統合,そして深化発展に至るまで,改革プロセスに紆余曲折があっても粘り強く挑戦し,同時に重要な成果と多くの貴重な経験の蓄積してきた.それらは我が国の科学課程改革にとって大いに参考となる.浙江省における中学校の科学課程改革の過程は大きく4つの段階に分けられる.
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張 俊彦, 簡 郁璇, 鄭 秉漢
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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台湾は,教育のグローバル化・国際化の進展に伴い,学校教育は多くの課題に直面している.2019年,台湾は正式に「12年国民基本教育」時代に入り,全人的教育を「総精神」とし,自発性,相互作用,共同利益を理念とし,「能力」指向から「素養」指向へと目指し,教育段階間の垂直的一貫性と様々な領域・科目間の水平統合が図られている.本研究は,台湾で2004年から実施された9年一貫課程と,2019年から実施された12年国民基本教育課程を比較し,それぞれの各段階の課程綱要の総綱および自然科学領域綱要の内容を分析し,グローバルな教育改革の流れにおける台湾の教育理念の変化を概観し,将来の教育の発展への対応を考察する.
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高 益民, 李 宗宸, 三好 大樹
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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2001年から基礎教育課程改革が始まって以来,中国大陸は、小学校の「科学」は総合課程,中学校の「科学」は分科課程になっている(浙江省を除く).「科学」課程の目標は「科学素養」(科学的リテラシー)を育成することであり,それによって,市民の生活品質の改善,社会経済成長の促進,持続可能な発展が図られる.「核心素養」(コアコンピテンシー)の提出は従来の「科学素養」と合致しているが,教科の教員にとって困惑するところも少なくない.
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段 玉山, 于 雷
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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中国における地理科カリキュラム改革は,20年近くの時を経て,理論・実践の面でともに多くの成果をあげてきた.カリキュラムの理念が広く伝わり,授業実践にも大きな変化をもたらすとともに,多くの教員と生徒の肯定と支持を得て,広い社会的影響を生み出した.本稿では,20年にわたる中国での地理科カリキュラム改革で得た成果を整理することで,カリキュラム改革の成果を確固たるものとし,今後の改革動向を明らかにするとともに,地理教育の持続的発展を促すことを目的とする.
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外延の見直しによる説明力の違い
吉岡 亮衛, 寺田 光宏
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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本研究は,中等教育化学のカリキュラムを考える上で中心となる基本概念について、5つの概念の外延に着目して教科書を分析した結果を報告する。具体的には、外延に当たる語を差し替えることで、教科書の大区分単位で基本概念が扱われる文章量の変化を見る。それにより教科書の内容が大区分されている説明力として有効な概念の外延のセットを探索した。得られた結果グラフにて視覚的に提示する。
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遠藤 優介, 寺田 光宏
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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本課題研究プロジェクトCHiRにおいて育成すべき資質・能力のスタンダード開発に向け,考慮すべき視点や方法を吟味した.そして,それらに基づきながら,基本概念「供与体―受容体」の資質・能力マップをもとにスタンダードを試作し,さらに検討を要する課題について指摘した.
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後藤 顕一, 今井 泉, 寺田 光宏
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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2022(令和4)年度から始まる新学習指導要領では,高校化学における熱化学に関する扱いが,これまでとは大きく変化する。熱化学は,化学領域にとどまらず,多くの学問領域での基盤となる概念であり,高校化学での位置づけは重要である。そこで,我が国の高校での熱化学を「変化―エネルギー」と概念と捉え,これにおける概念理解と獲得を目指したカリキュラム編成について考察する。考察に当たっては,日本学術会議に提出された「化学分野の参照基準」と新学習指導要領,ドイツのカリキュラム編成の考え方等を基に考察する。特に資質・能力の育成,国際標準,系統性の視点から,エンタルピー変化の扱い方,エントロピー変化についての動向の把握と具体的な方略について検討する。
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野村 祐子, 寺田 光宏
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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火災の「犠牲者にならない」「加害者にならない」ために必要な資質・能力の育成は,生命に関わる極めて重要な課題である.理科においては,火災を含む様々な災害の仕組みを統合的に理解できるようにするため,多様な災害に共通する基本概念である「エネルギー」を「時間的・空間的」な視点で捉える思考の枠組みに沿ったカリキュラムを開発する必要がある.そこで,多様な学習者との個人的・社会的・職業的関係性を併せ持つ「消防」を文脈として,科学的根拠に基づき火災危険を説明する力と科学的根拠に基づく火災時の行動選択力の育成を学習目標に設定し,目標達成に必要な学習課題を選定した.これらの学習課題を構造化し,初等中等理科におけるエネルギー概念の形成を志向する消防を文脈としたカリキュラムを提案した.
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今井 泉, 寺田 光宏
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究では,Chemistry in Relevance (CHiR) の基本概念において4領域のコンピテンシーが示されたマップを活用し, 「藍染め」を授業の文脈として「基本概念と(授業)文脈の関係」及び「授業の活動と資質・能力の関係」の作成過程を検討した. また, 我が国における資質・能力育成を志向する文脈を基盤とした授業デザインの利点と問題点を整理した.
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寺田 光宏
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究は中等教育化学におけるCompetency(以下:資質・能力)育成を志向しContext(以下:文脈)とConcept(以下:概念)の駆動によるカリキュラム開発と評価を目的とする.Chemistry in Relevanceの概略を示しつつ,研究の方向性を明らかにした.著者らが明らかにした中等教育化学における基本概念の意味づけを改め獲得すべき資質・能力の学習指導要領との整合性及びスタンダード化を検討した.また,資質・能力を埋め込む文脈について,興味・関心や真正性もつことに加え学習者とその学習対象との関係性を明確にする個人的・社会的・職業的次元を軸としたRelevanceのあり方を検討し多様性を持ちつつ関係を明らかにする必要性を確認した.資質・能力育成を志向し文脈に基づき多様な学習者に適した多様な授業デザインを中等教育教員と共生的実践方略をとり,カリキュラムとして開発し評価していく.
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加納 圭, 後藤 崇志, 塩瀬 隆之
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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全国学力・学習状況調査の教科横断的分析によると,小学校理科の問題(平成30年度)には理科の学力を国語の学力で補完できてしまう問題が過半数を占めていることが明らかになっており,このことは「理科の学力が高いにもかかわらず国語の学力が低いがために理科の正答率が低くなってしまっている児童」の存在を示唆している.この先行研究を踏まえ,本研究では,「国語の学力」に過度に依存せず,「理科の学力」を調査する手法の1つとして実写動画を提案するとともに,動画制作過程を報告する.動画を用いることで「国語の学力」に過度に依存せず「理科の学力」を測ることができるかの検証は今後の課題である.
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塩瀬 隆之, 後藤 崇志, 加納 圭
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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様々な学力評価の基盤として読解力を要することは疑いないが,過度に問題設定が難解である場合には評価したい教科学力を発揮する前に状況理解に失敗してしまうなど,正確に当該学力を推し測ることができない.本研究では,「理科の学力」の評価において,問題状況の理解の差を出題方法で解消し,より正確に「理科の学力」を評価するためにアニメーションや実写など複数の出題方式を模索している.本稿では,理科の出題内容の理解とアニメーション制作過程の困難度との関係を整理し,特に実写による出題方法と比較した点について報告する.
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後藤 崇志, 後藤 大樹, 田切 佳穂
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究では「絵を描く」方略に注目した小学生向け算数学習教材「あとび」を開発し,「あとび」利用者を含む小学生40名の動機づけや問題解決能力の変化について分析し,その有効性について検討を行った.「あとび」を利用することは,必ずしも問題を解く際に自発的に「絵を描く」方略を使用するようになることにはつながらなかった.しかし,「あとび」を使う際に,問題文中の数量を視覚的に表現したり,数量の関係を抽象化させたりしていた学習者では,文章題の誤読や数量概念の誤理解に起因するような誤答が少なくなっていた.また,あとびを利用した学習者は学年を通じて自己効力が低下しにくくなっていた.以上より,「あとび」を通じて「絵を描く」方略を習慣的に行うことが,算数・数学の問題解決を促す可能性が示唆された.
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長沼 祥太郎
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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全国学力・学習状況調査「理科」はどのような能力を評価しているのか,という問いは理科教育において重要である.そこで本研究では,全国学力・学習状況調査「理科」の問題文の読解レベルを知ることを目的とした.この目的のため,全国学力・学習状況調査の問題文(選択肢含む)を日本語テキストの難易度判定ツール『帯』にかけて分析し,平成24年,27年,30年の経年比較を含めて傾向を分析した.その結果,小学6年生を対象とした調査では28%程度,中学3年生を対象とした調査では22%以上(平成24年の調査を除く)の問題文が,対象学年以上の読解レベルであることが明らかになった.今後,こうした問題文の使用が理科の学力を評価する上で必須かどうかについて,より議論を深めることが求められる.
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デジタル・AI・科学・技術リテラシー育成
山崎 貞登
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本セッションでは,論点1.小学校段階の「コンピューティング」教育の教科化に賛成か反対か,論点2.「AIリテラシー」の定義,小学校段階でAIリテラシー育成が必要かどうか,論点3. Society5.0を実現するために,日本発STEAM教育の一環としての「コンピューティング」教育を推進するための具体的方策の三つを共通論点として,登壇者に発表を求め,参加者との論議を深めたい.論点1.では,1) 小学校1,2年次生活科で,コンピューティング教育の目標と内容を導入することの是非と理由,2) 小学校3~6年次「総合的な学習の時間」を,教科「コンピューティング」に変更することの是非と理由,3) 小学校高学年の教科「コンピューティング」で,専科教員が担当することの是非と理由の3点を扱う.
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松田 孝
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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AI(人工知能)が,私たちの日常生活に浸透している.一方,多くの人々にとって,AIは,「人間の脳の認知や判断を,コンピュータが行う技術」で,映画作品などの影響も相まって,ある種の恐怖を抱かせる技術として受け入れられているように思える.しかし,子供たちが生きる社会はSociety5.0であり,そこはAI技術との共生社会であって,AI技術についての正しい理解に基づくAIとの共生センスを磨くことが求められてくる.ところが,初等教育段階においては,子供たちがAIについて学び,その技術と共生するためのAIリテラシー教育の授業実践は,ほぼ皆無である.本稿では,筆者が行ったRoBoHoNを活用した実践事例を紹介する.そして,その有効性と課題を踏まえ,AIリテラシー教育の必要性と,その具現化を図る小学校段階の「コンピューティング」の教科化の必然について報告する.
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磯部 征尊
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本稿では,松田ら(2021)の研究結果を踏まえ,AIリテラシー育成に着目したプログラミング教材におけるカリキュラムのデザインを研究目的とした.その結果,実践後の振り返りには,AIに対するイメージについて,「AIと協力する未来を創りたい」,「万能でもあるけど,怖いものでもある」,「人とAIが寄り添い適切に使うことが大切」等,AIリテラシー育成の一定の成果が得られた.本教材を活用した題材指導計画は,AIに深く関わる連続性を持たせたことにより,AI技術への興味・関心を高める上での効果があったと言える.
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川原田 康文
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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小学校においては,プログラミングの学習を通して,プログラミングのしくみや方法について理解することも大切であるが,これまでの実践研究から,身の回りにあるセンサ・それを使った製品についても興味を持ち,どのように使われているのか,そしてセンサが計測したデータをどのようにプログラミングで制御しているのか考えることができるようにしたい.またPepperを教材として使用することによって,近い将来,ロボットと人間が協働して製品をつくったり,一緒に生活したりすることが予想され,従来のプログラミング教育を超えた学習効果が期待できると考えている.本報告は,2017年日本産業技術教育学会誌第59巻第1号(2017)に投稿した「ヒト型ロボットPepperを使ったプログラミング教育の成果」の続報であり,ソフトバンクロボティクスが実施しているPepper社会貢献プログラムも参考にされたい.
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人見 久城
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本稿では,はじめに本課題研究グループで設定された共通の課題(問い)に対する見解を述べる.次に,日本発STEAM教育の普及や啓発を進めることに関して,STEAM教育の展開の場の一つとして理科におけるものづくり活動を挙げ,探究型ものづくりの方向性を議論する.最後に,エンジニアリング・デザインをめぐる議論を整理し,その導入における留意点などを考察する.
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熊野 善介
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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本研究では,これまでの基盤研究に継続して,アメリカの最先端STEM・STEAM教育研究と実践が展開されている複数の大学との共同研究を展開しながら,日本型のSTEAM教育改革モデルを理論と実践の両面において構築することが主たる目的である.本研究における,諸外国とはアメリカの他に,オーストラリア,タイ国,インドネシア,台湾である.そして,本研究では,研究者同士の諸外国の実態解明の情報交流・STEM教材開発とその交流のみならず,STEM教育改革を展開するための日本における教員養成大学のカリキュラム改革,すなわちSTEAM教師のためのPCKの開発,現職教員のためのFDモデル,STEAM教材開発のモデル化,実践授業モデルの開発を積極的に展開するものとする.本課題研究では、これらのいくつかが発表される.
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田代 直幸
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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STEM教育にArtを加えたSTEAM教育には,「Art」をどのようにとらえるかでいくつかのタイプがある(胸組虎胤,2019).ここではSTEAM教育のねらいを科学系人材・イノベーション人材の育成という観点からとらえている.高等専門学校は,文部科学省のWebサイトには,「高等専門学校は実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関です.全国に国公私立合わせて57校あり,全体で約6万人の学生が学んでいます.」と記されている.高等専門学校ではすでに科学系人材・イノベーション人材の育成という点で,STEAM教育が実践され,その成果は示されてきたといえる.その証拠をデータ等に基づいて示していくこととする.
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齊藤 智樹
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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本研究は,STEM/STEAM教育における構成概念が,どこで統合されるのか(Where)に焦点を当てている.2000年代までの理論的先行研究により,児童生徒の内面(個人)か,そのネットワーク(社会)の中でそれは統合されると考えられる.このWhere問題について明確な答えを得ることは,実証的な研究を実施する上で必要である一方で,進展した関連研究の整理が不十分である.そこで,本稿では関連する議論や研究結果を整理し,個人と社会を超えた整合性を検討することで,今後の研究を引き出すための学習環境や研究デザインを提案することを目的とした.
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山本 高広
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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静岡大学では,「静岡STEMアカデミー」というプロジェクトが行われており,4年目となる.静岡STEMアカデミーは,静岡県内の小学生,中学生を受講生として選抜し,受講生の研究遂行能力を向上させることを目的としている.本研究の目的は,これまでの静岡STEMアカデミーの実績を基に,調査対象国であるタイ国への調査内容を検討することである.本研究では,これまで刊行された静岡STEMアカデミーの実施報告書(3年分)と,STEM教育に関わるタイ国の情勢についての報告から,タイ国への調査内容を検討した.その結果,次の項目を挙げることができた.①STEM教育のための教材の特徴,ICT機器類の普及の程度,②STEM教育を中心した,大学・学校・地域とのつながり,市民に向けたSTEM教育の実現,③STEM教育のための指導者養成の実態,④STEM教育推進のための組織づくり,⑤子どもの自由研究指導.
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山下 修一, 初田 啓輔
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
会議録・要旨集
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オーストラリアカリキュラム評価報告機構のSTEM Connections project reportに含まれるConnections workbook・Dimensions critiquing checklist,Years 9 and 10の5校の実践例を分析し,オーストラリアのSTEMの特徴を明らかにしながら,日本のSTEM 教育への示唆を得ることを目指した.その結果,オーストラリアのSTEM教育のフレームは,科目内容とのつながりを重視しているので日本にも受け入れられやすいこと,Connections workbookは綿密な計画を求めており,活動を振り返って将来への教訓を引き出すことまで目指していること,5校のSTEM教育の実践例からは,数学・女子の活躍への言及が多く,マーケティングやプログラミングなどをうまく取り入れ,女子も活躍できるようにしていることなどが明らかになった.
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黒田 友貴
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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本研究では,STEM人材の養成の特徴的な教育事例から,ポリシー策定やプログラムにより目指すべき方向性に関する考察を行なうことを目的としている.事例のクイーンズランド工科大学の教学マネジメントの特徴は,University-wide STEM strategyが,6項目にまとめられており,初中等教育を含むSTEM教育全体に積極的に関与すること,社会にどのような貢献をSTEM分野で行なうのかを明記していることが挙げられる.また,STIMulateプログラムが提供されており,専門分野の文脈を踏まえた移行支援プログラムの展開がされており,大規模大学であっても在学生を活用したピアエデュケーションが多用されていることが明らかになった.今後の課題として,学生に対するインタビュー調査やアンケート調査などを実施し,教学マネジメントによるプログラム運用による教育効果を検討することが挙げられる.
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興 直孝
セッションID: 1
発行日: 2021年
公開日: 2021/12/20
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欧米をはじめ主要国のSTEM教育改革に対する取組は,我が国の教育界に大きな動きをもたらせてきた.教育コミュニティは,社会的要請を受け止め,有意な人材の輩出に向けての取組を確実に実践することが,必要である.こうした中,STEM教育の理論と実践に長く関わってきた熊野が中心となって,日本型STEM教育改革の理論と実践に関する実証研究に取組んできた.今回は,我が国のSTEM教育のフロンティアの高等専門学校の取組からアジア・オセアニア諸国にあって,国家としての取組を行っている,タイ国の中等教育機関の取組,オーストラリアの中等及び高等教育機関の取組の調査計画と内容,作業状況を紹介し,ご意見を頂き,それらを踏まえ,現地調を実施し,我が国のSTEM教育についての制度確立に向けての貴重な知見を提示することを目指していくことが予定されている.
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