水環境学会誌
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38 巻, 3 号
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研究論文
  • 中井 喬彦, 小坂 浩司, 浅見 真理, 秋葉 道宏
    原稿種別: 研究論文
    2015 年 38 巻 3 号 p. 67-73
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/10
    ジャーナル フリー
    ハロベンゾキノン類(HBQs)は,新規の消毒副生成物として関心が高まっている物質群である。本研究は日本の水道におけるHBQsの実態把握を目的として,HBQsのうち2,6-ジクロロ-1,4-ベンゾキノン(DCBQ)について,固相抽出とLC-MS/MSを組み合わせた測定法を検討した。DCBQの定量は,固相抽出後の窒素吹付による濃縮前の標準添加が適していた。本法の定量下限値を8 ng·L-1と設定した。夏季と冬季に全国12箇所の浄水場系統の水道水中のDCBQ濃度を測定した結果,DCBQは24試料中21試料に存在し,その濃度範囲は8~51 ng·L-1であった。1浄水場を除き,全ての浄水場系統の水道水からDCBQの存在が確認され,国内の水道水に広く存在することがわかった。水道水中のDCBQ濃度とクロロホルム濃度との関連性をスピアマンの順位相関係数を用いて評価した結果,両者に関連性が認められた。
調査論文
  • 小森田 智大, 梅原 亮, 田井 明, 高橋 徹, 折田 亮, 堤 裕昭
    原稿種別: 調査論文
    2015 年 38 巻 3 号 p. 75-80
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/05/10
    ジャーナル フリー
    有明海奥部海域に位置する諫早湾潮受け堤防からの排水がNH4-Nの挙動に与える影響を評価するために,諫早湾内に9定点を設け,2012年9月18日から19日にかけて合計6回の高頻度観測を実施した。2012年9月18日16時頃に諫早湾潮受け堤防北部排水門の近傍において排水が確認された。排水直後には懸濁態窒素濃度が最大で100 μmol·L-1に達した。一方,NH4-N濃度については,排水時に大きな変化はないものの,潮位とともに変動し,9月19日の7時に最高値となる9.3 μmol·L-1に達した。諫早湾奥部の排水門近傍における水柱積算NH4-N量の時間変化をもとに,排水後のNH4-Nの増加速度を見積もったところ,NH4-N量の増加速度は平均1.8 mmol·m-2·h-1となった。これらの結果から,排水門近傍においては,有機物分解に伴うNH4-Nの再生産が局所的に卓越することで,赤潮を支える栄養塩の供給源の1つとなる可能性が示された。
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