我が国土は, 地震, 津波, 暴風, 豪雨, 豪雪, 洪水, 地滑り, 火山噴火など, 種々の自然災害を蒙り易い自然条件のもとにある.また, 近年の社会構造の複雑化, 多様化に伴い, 人為的な要因に起因する大規模な事故等の発生する危険性がますます高まっている.このような災害・事故から住民の生命・財産等を守るため, 国, 公共機関, 地方公共団体(自治体)等は防災対策として多大な人員と費用を投入して災害発生原因の制御, 予知・予防と耐災環境の整備等を進めている.これらの防災対策を円滑かつ効果的に遂行させるために, 各種情報の収集・伝達を行うための通信網として防災通信システムがある.この防災通信システムは, 従来から「防災業務」を主な用途とした通信連絡網として構築され運営されてきたが, 昨今の高度情報化社会の発展に伴い地域情報ネットワークとしての再構築が進められている.ここでは, 近年の防災通信システムに対して要求される信頼性の確保とそのシステム運用について紹介する.なお, ここで述べた内容は防災通信システム特有の事項を中心としたものであり一般の通信システムと共通する内容は極力省略した.
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