1993年に国際標準化機構(ISO)は技術委員会TC 207を設置し, 同年から環境マネジメント規格の作成を開始した.このTC 207が作成する規格がISO 14000シリーズと呼ばれる環境マネジメント規格である.これら14000規格シリーズを構成するのは, 第1に企業等の組織の環境管理(マネジメント)に適用する環境マネジメントシステム, 環境監査, 環境パフォーマンス評価等の規格であり, 第2に企業等の活動結果としての製品, サービスの環境調和性を促進するのに適用する環境ラベル, ライフサイクルアセスメント等の規格である.前者の規格は1996年から1999年にかけて発行され, 遅れていた後者の方も2000年3月までに発行された.ISO 14000規格シリーズが我が国企業の環境マネジメントに与えた影響は極めて大きい.1990年代始めに温暖化を中心とする地球環境問題が浮上したこととも相俟って, 環境マネジメント規格は, 企業の環境対策を公害防止というエンドオブパイプテクノロジー的なレベルから経営管理に環境配慮を組み込み, 例えば製品設計段階からの上流管理対策にシフトする契機を与えるとともにそのための手法基準を提供したからである.本稿では, ISO 14000規格シリーズを中心に最近の環境マネジメント手法に関する情報を加え, 環境マネジメント規格発行の経緯, 各規格の概要, 規格利用の状況等を述べることとする.
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