活力ある地方都市を再び創造するために,地方都市における交通システムの在り方を検討する.望ましい交通システムとは清一色の交通機関が支配する世界ではない.それぞれの交通機関が持ち分を発揮して,地域住民の生活を支えると共に,未来に対してもきめ細かい配慮のなされた,環境に優しい,エネルギ効率のよい役割分担が望まれる.そして,その交通機関に求められるものが,安全で強靱,そして性能向上が期待できる広義の信頼性の保障である.

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コンピュータ制御の安全を対象とする機能安全の関心が高まっている.鉄道の列車制御システムにはSIL4に相当する高い安全レベルが要求され,このような列車制御システムに対するリスクベースの安全管理の取組みを機能安全の視点から述べる.具体的には,列車制御システムの社会リスク指標値としての許容リスク水準,および設計指標値であるSILとその関係,鉄道の輸送条件のみによる設計リスク指標値の決定,EU内鉄道の安全管理CSMs(Common Safety Methods)について述べる.

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航空交通管理(ATM)は航空機の安全や効率性,定時性の実現を目的とした機能の集合体として定義される.今後の航空輸送のさらなる発展には,ATMの信頼性の向上は不可欠である.ATMの信頼性には,さまざまな評価指標が存在するが,想定値通りの所要時間による運航を実現する能力,すなわち航空機の運航時間の予測性は,特に重要な指標の一つである.本稿では実データの解析による,航空機の運航時間の予測性の検討例を示す.検討例においては,出発から到着までの航空機の運航をいくつかの局面に分割し,予測性が低くなる局面の特定を試みた.同時に,記録期間による指標値の推移から季節などによる予測性の変動を検討した.

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日本の航空会社には航空法により安全管理システムの構築が求められている.航空事故ゼロを目指して航空会社が取り組んでいる安全を守る為のしくみ,特に予防的措置としての航空機運航のリスクマネジメントをどのようにおこなっているか,またシステムの構成員であるグループ社員一人ひとりが安全優先の誠実な行動をとるために,会社はどのような教育・啓発活動を行っているのか,全日本空輸株式会社(ANA)の場合について述べる.

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我が国の内航海運の活性化を実現するために新技術を導入するということで,国土交通省の主導の下に2001〜2005年にかけて「次世代内航船の開発」プロジェクトが実施された.環境に優しい(Ecology)と経済的にも成立する(Economy)とをかけて,スーパーエコシップ(SES:Super Eco-Ship)という愛称で呼ばれている.環境に優しい省エネ,有害排出ガス削減を目指した技術開発に加えて,人に優しいことを目指して,船上作業の省力化を支援するシステムの開発が実施された.本稿では,後者の省力化支援システムについて,基本的な考え方と,開発目標,実現された技術について紹介する.

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交通の分野でも信頼性は重要なテーマであり,3.11の東日本大震災や阪神淡路大震災等もあり,近年,特にその重要性は増している.本稿では,交通工学の分野での特に道路交通についての信頼性研究を概説する.まず,道路交通の信頼性として求められる機能によって3つに分類できる連結信頼性・時間信頼性・走行信頼性に分類する.日常の道路の所要時間・旅行時間の変動を扱う時間信頼性及び災害や事故等により通行することが出来なくなることを扱う連結信頼性について述べる.これまでに提案された時間信頼性指標を解説し,次に,連結信頼性研究についてまとめ,そして,ネットワークレベルでの信頼性評価について説明する.最後に今後の課題等についてまとめる.

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車両間で位置情報等を交換することにより衝突事故防止への貢献をめざす車々間通信システムの研究開発と実用化が進められている.本稿では,将来のより多くの車両端末による高密度な通信トラフィック環境でも十分な性能を維持することを想定して考案された車々間通信方式について紹介する.この方式は,マルチホップ通信と組み合わせた新しい自律分散型のCDMA(符号分割多重アクセス方式)によるもので,高密度通信トラフィック環境下において隠れ端末問題を回避し,従来方式と比べ,車々間通信アプリケーション上で高いレスポンス性能をもちつつ100%近いパケット到達率の実現を可能としている.また歩行者事故を防ぐための歩車間通信におけるアクセス方式に関する最近の検討状況にも触れる.

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自動車電子制御システムの機能安全規格ISO26262が発行される.この規格は,機能安全規格IEC61508を基本安全規格とする自動車の電子制御に関する製品安全規格として位置づけられる.本稿では,IEC61508とISO26262との用語法,フレームワーク,要求事項等について校合している.そして,ISO26262はIEC61508の考え方を的確に反映して当該分野の機能安全要求事項を構成していることを示している.すなわち,ISO26262はIEC61508におけるSIL/リスク軽減,決定論的能力,安全側故障割合(SFF)を夫々ASIL/リスク軽減,ASIL具現化のための分解,フォールトメットリクスなどとして当該分野用に仕立て直して具体化している.今後は,ISO26262の実施により自動車電子制御における機能安全のさらなる向上が期待できよう.

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