日本化粧品技術者会誌
Online ISSN : 1884-4146
Print ISSN : 0387-5253
ISSN-L : 0387-5253
44 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集総説 乳化技術の基礎と進化 (2)
報文
  • 山口 あゆみ, 大西 一禎, 栗山 健一
    2010 年 44 巻 2 号 p. 118-126
    発行日: 2010/06/20
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    男性顔面上で「ギラつき」と表現される現象は,一般的に皮脂量の多さに関係すると考えられている。しかし,加齢に伴い皮脂量は徐々に減少することに反し,ギラつきは中高年男性に顕著である。そこで男性顔面の前額部において,ギラつきとさまざまな皮膚特性との相関を解析した。ギラつきに対する重回帰分析を行ったところ,皮脂量で0.490,キメ細かさで—0.370,皮膚色の明度で—0.314の標準偏回帰係数が得られた。皮脂量の要因が最大であったが,他ニ者もギラつきに関与する重要な因子であることが示された。また,画像解析によって得られる前額部の表面反射光および内部反射光の光学的特性値を用いて重回帰分析を行い,ギラつき度予測式を導いた。表面反射光の光学的特性値は,皮膚上に存在する皮脂量とキメの状態によって決定されると推測できた。紫外線対策が不十分な男性特有の生活習慣は,キメの不明瞭化や顔面色の暗化を引き起こし,男性顔面に特徴的な「ギラつき現象」を発生させていると考えられる。ギラつきを低減するには洗顔等による皮脂の除去が基本となるが,スキンケアによる皮膚色やキメの改善も重要であると考えられた。
  • 大江 昌彦, 白髭 由恵, 窪田 泰夫, 乾 まどか, 村上 有美, 松中 浩, 森岡 恒男
    2010 年 44 巻 2 号 p. 127-132
    発行日: 2010/06/20
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    近年のにきび用化粧品は,毛包漏斗部を閉塞するような成分を除きpHを弱酸性にするなど,処方面での工夫がなされており,にきび患者が使用試験して問題となることは少ない。反面,化粧品の使い方(スキンケア)については,人によって方法が異なるのが現状である。そこで,〓瘡患者を対象として,化粧品の使用実態調査を行った結果,〓瘡患者は健常者に比べ,洗顔回数や洗顔料の使用量が多いことなどが明らかとなり,〓瘡の予防や改善のためには,化粧指導とスキンケアが重要であることがわかった。今回われわれは,女性〓瘡患者31名を対象として,皮膚科専門医による化粧指導とともにスキンケア製品を2カ月間使用し,皮膚生理機能および患者のQOLを調べた。その結果,皮膚の生理機能や患者のQOLの改善が確認され,皮膚科医によるスキンケア指導は,〓瘡患者の治療補助として役立つことが確認できた。
  • 柿澤 みのり, 清水 秀樹, 川副 智行
    2010 年 44 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 2010/06/20
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    毛髪のダメージ実感は主に触動作による表面の感触により認識されるため,キューティクルの表面状態は感触に大きく影響すると考えられる。これまで毛髪表面状態の感触への影響については毛髪を用いた研究が行われていたが,毛髪は個人により特性・履歴が異なるため精査な検討が困難であった。本研究では個々の毛髪状態のばらつきを制御し,毛髪表面の性質・形状を再現した毛髪モデル基板を開発し,毛髪表面の特徴とダメージ実感との関係を調べた。キューティクルの高さ,幅,規則性,親疎水性の異なる4種類の毛髪モデル基板を用いて感触評価を行った結果,キューティクルの間隔が広がるとダメージと認識され,さらに不規則化が進むとダメージの実感がより強く認識され,乾燥状態による評価では形状の違いがよりダメージ実感に影響することがわかった。また,触動作時の基板と指の間の摩擦を測定することによりダメージ実感の定量化が可能なことがわかった。
ノート
  • 津田 愛子, 堀籠 悟, 吉田 泉, 山口 昭弘, 木船 信行, 神部 武重, 渡井 正俊, 小澤 淳, 久米 賢次
    2010 年 44 巻 2 号 p. 139-142
    発行日: 2010/06/20
    公開日: 2012/06/25
    ジャーナル フリー
    抗酸化作用とメラニン産生抑制の関係についてB16メラノーマ細胞を用いて検討した。ポリフェノールの標準品およびシークヮーサーを試料として食品の抗酸化の指標であるORAC(oxygen radical absorbance capacity)と,細胞内の抗酸化を反映するCAA(cellular antioxidant activity)の測定結果がメラニン産生率に及ぼす影響を評価した。その結果,ORACはメラニン産生率との直接の関係は示さなかったが,CAA抗酸化能が高い試料は,メラニン産生抑制作用を持つ可能性が示唆された。また試料のなかでも,シークヮーサー果汁,カフェイン酸においてはチロシナーゼ活性阻害をほとんど示さず,カタラーゼ活性阻害によるメラニン産生の増加を抑制したことから,これらのメラニン産生抑制には抗酸化が関与している可能性が示唆された。
feedback
Top