2002年度から中学校で新学習指導要領が実施されている。本学習指導要領には従来の基本方針に加え「自然に親しみ,目的意識をもった観察,実験を行う」という趣旨の文言が付け加えられた。この部分を達成するためには野外観察も必要となるため,野外科学である地学領域や生物領域を背景に持つ教員の果たす役割は今まで以上に大きくなると考えられる。しかしながら,中学校の場合は数学・理科の教諭という教科の枠で採用されるため,中学校における理科教諭がどのような割合で物理・化学・生物・地学の4領域のどれを背景としてもっているかが知られていない。そこで,本研究では,大阪市立の全中学校134 校(教諭総数3,095 人)を対象とするアンケート調査(郵送法)により,理科・数学を背景に持つ教諭が全教諭に対してどの程度の割合で所属しているか,および理科の各領域の割合がどれだけであるかを明らかにすることを目的とした。アンケート調査用紙は,大阪市立の全中学校134 校に送付し,回収率は27.1 %であった。その結果,全教諭に対する数学・理科教諭の割合はそれぞれ, 8.2%. 11.9 %であり,これは教科数や授業数から考えるとかろうじて必要な割合と思われる。一方,物理・化学・生物・地学の4領域に分けて見ると,それぞれ1.8, 2.0, 1.6. 0.6 %と不均衡な結果となり,そのなかでも特に地学を背景に持つ教諭の割合の低いことが判明した。
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