小学校教員の理科の観察・実験についての知識・技能の修得を目指した講習を教員免許更新講習の1つとして開講した。講習は物質・エネルギー分野に特化し,小学校3・4年向けと5・6年向けのものに内容を分けて各1日開講し,それぞれ20人が受講した。受講生は,授業でよく行われている実験(教科書教材実験)とその準備・後始末を追体験しながらその背景にある基礎的な原理や実験準備方法等を再確認し,授業に取り入れる際の注意事項や教材実験の活用法について学んだ。受講生の大多数は,受講前の段階では各単元の指導に強い自信があったわけではなかったが(5段階評価で平均点3.1点),受講後には少なくとも体験した観察・実験教材の指導については自信をもったと自己評価した(5段階評価で平均点4.0点)。受講後に行った講習の内容・方法ならびに知識技能の修得に際しても4段階評価で3.5点を超えており全員から肯定的な評価を得た。時間超過もなく準備した内容のやり残しもなかった。開講規模,提供内容や所要時間についても今回のような日程に適したものであると判断でき,受講生が十分に満足したものを提供できたと評価できる。その一方で溶液の希釈や試薬調製(濃度計算)に関してや回路の性質についてもっと時間をかけて教えて欲しかったという声もあった。今回は取り扱っていない単元や「生命・地球」領域に関しても同様の講習を希望する声があった。限られた時間の中でこうした声に対してどのように答えるのかは今後の実践で解決しなければならない課題である。
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