本研究では,理科学習における子どもの思考の内化を促進するため,ブルーナー(Bruner, J.)が提起する知識の表象形式(活動的→映像的→記号的)を踏まえた対話的な理科学習プログラムを構想し,それを高等学校の化学の授業を事例に検証した。その結果,観察・実験を起点として,事象に対する考えを子ども自身によるモデル作製を通じて表現する学習を一貫して行うことによって,知識の表象レベルの高次化が促進された。この際,心理学的アセスメントの視点を踏まえた教師による子どもの内言の読み取りと学習活動への介入および支援が,学習の内化と外化の往復運動を促進するために不可欠な要素であることが明らかとなった。加えて,電子黒板を利用して子どもの理科学習の内化と外化の過程をシミュレーション化することで,子どもの考えの価値付けと時宜に適した足場づくりが実現され,教師は子どもの思考に即したモデルの導入や支援が可能となった。
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