産業廃棄物や都市ごみの焼却処分に際し, ダイオキシンなど環境ホルモンが発生するという問題が生じ, これを解決するため, 約1, 300℃以上の高温で溶融するガス化溶融炉などが開発された。廃棄物・ごみには, CaO, Na
2O, K
2Oなどが含まれ高温で溶融されるので, 炉内内張り耐火物は苛酷な侵食作用を受け, まだ十分なものでなく, 一層優れた耐火物が求められている。現今では, Al
2O
3-Cr
2O
3系のような酸化クロム含有耐火物が, 最も多く使用されており, 種々の耐火物の中では, 優れた耐食性を有する耐火物であるが, 反面, 操業中に溶融スラグと反応し, 6価クロム化合物を生成し易いという問題がある。本稿では, さらに優れた耐火物開発の基礎として, 主にクロム系耐火物の問題を取り上げ, クロム含有耐火物の耐食性に優れる理由, 6価クロムを生成する条件, 6価クロム生成を抑制する方法, クロム含有耐火物を使用しないとすれば, どのような耐火物があり得るかなどを述べている。
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