ダイオキシン, 環境ホルモンに代表される有害化学物質による環境汚染は, 地球規模にまで拡大し, あらゆる生命体と生態系の存亡と破壊に関わる重大な影響をおよぼすことが懸念されている。化学物質の環境影響評価は, 人の健康におよぼす影響と生態系におよぼす影響とが区別されて論じられることが多いが, 共通の問題として認識されることが重要である。
有害化学物質の生態毒性を論じる場合, 学問的には生態系の構造と機能に関わるところでの評価がなされねばならない。実際に環境に放出された化学物質の環境影響評価には対象とする化学物質の化学分析とバイオアッセイとが並行して行われることが必要である。しかし市場に出ているすべての化学物質を化学分析によって検出することは事実上不可能である。そこで先ずバイオアッセイによって有害化学物質の存在を確認した上で, 物質の測定を行って, そのリスクの大きさを評価するのが望ましい。本稿では化学物質の生態影響評価におけるエンドポイント, バイオアッセイの方法, 考え方について述べた後, 最後に事例として, 産業廃棄物埋め立て地からの浸出水の生態毒性評価について述べる。
抄録全体を表示