本小論では, ここ数年のうちに主要な話題に上がってきた環境監査について, 具体的に解かりやすく解説を試みた。
現在, 環境監査は発展途上にあり, その理念, 方法, 効用などについて, 具体的に明確な一致点や定義が存在するわけではない。このことが環境監査を解かりづらくしている。ただし, 一般的な表現としては「企業などの組織体が, 地球環境を保護するために, その行動をいかに果たしているかの実態を, 系統的に評価, 公表, 改善するための手法である」といえる。
まず, 環境監査のこれまでと現状を簡単に述べた後, 「系」と「環境」の理念を提示した。次に, 「系」と「環境」との関係として, 導入部, 加工・生産部, 送出部の各区分の重要性を示した。さらに, 「系」=「社会システム」と「環境」との間でやりとりされる項目を綿密に記帳する物質とエネルギーの収支計算書, すなわち, 環境収支簿記を提案した。最後に具体例として, スイスの製造企業と東京にある企業の事務所を取り上げ, 環境収支簿記を例示し, その解かりやすさ, 地球環境保全への有効性, 実効性を示した。
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