市民参加は, 提案型市民活動の活発化, 自治体運営のローカルガバナンス志向, ステークホルダー間の合意形成の重要性が増したことなどにより, 公共政策全般に取り入れられるようになった。
しかし廃棄物関連の計画やシステム形成にあたり市民参加を取り入れる場合には, 住民と行政の認識ギャップをどう解消するかなど, いくつかの留意点が存在する。そこで, 東京都日野市の「ごみ改革」をケーススタディし, 環境コミュニケーションの導入状況の検証を通じて, 市民参加型地域リサイクルシステム構築にあたり, 効果的なプロセス設計を行うための課題を整理した。環境コミュニケーションにおける事前の戦略と体制づくり, 構築されたシステムの維持管理に対する市民参加の確保などを, とくに重要な課題として指摘しておきたい。ただし, リサイクル施設整備や地域内での再生資源の受け皿確保という課題に対しては, より慎重なアプローチが必要である。
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