応用統計学
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31 巻, 2 号
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  • 黒木 学, 宮川 雅巳
    2002 年 31 巻 2 号 p. 107-121
    発行日: 2002/11/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    本論文では,変数間の因果関係が線形構造方程式モデルと因果ダイアグラムで記述できる場合に,いくつかの処理変量に対して外的操作をおこなったときの反応変量への因果的効果を同時介入効果と呼び,これを推測する問題を考える.Pearl and Robins(1995)によって定義された同時介入効果はノンパラメトリックな分布として与えられている.そこで,本論文では,その平均と分散に着目し,線形構造方程式モデルの下でこれらの特徴量の明示的表現を与える.次に,この同時介入効果の平均と分散を線形回帰モデルを用いて推定するためにはどのような回帰モデルを設定すべきかを考え,同時介入効果の平均と分散がその回帰モデルの母数によってどのように表現されるかを明らかにする.
  • 安道 知寛, 島内 順一郎, 小西 貞則
    2002 年 31 巻 2 号 p. 123-139
    発行日: 2002/11/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    現在の高度に発展したコンピュータの利用環境の下で,様々なモデリング手法が開発され,これまでは十分な解析が難しかった複雑な非線形構造を内在する現象の分析が可能となりつつある.本稿では,階層型ニューラルネットワークの一つである動径基底関数ネットワークに基づく非線形判別問題について検討し,モデルの複雑さの程度を調整するパラメータを基底関数に導入した非線形識別・判別関数を提案する.モデル構築に当たっては,基底関数の個数,正則化パラメータ等の選択が本質的となるが,これらの選択を情報量,及びベイズ理論の観点から考察したモデル評価規準をそれぞれ導出する.また,諸分野で蓄積されつつある実データおよび人工データの解析を通して,提案する手法の有効性を検証する.
  • 竹本 康彦, 有薗 育生
    2002 年 31 巻 2 号 p. 141-162
    発行日: 2002/11/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    複数のパラメータにより定義される帰無仮説に関する一般的な検定方法に尤度比検定がある.この尤度比検定に関する一般理論において,帰無仮説のもとでの検定統計量の大サンプルを前提とした漸近的性質が明らかにされている.一方,対立仮説のもとでの検定統計量の漸近展開に基づく近似分布についても考察されている.ただし,サンプル・サイズの増加に対して大サンプルを前提とする漸近分布への収束の速度は必ずしも速くなく,これより有限サンプル・サイズのもとでの検定統計量の分布を漸近分布で与えることには近似精度上の問題があるということが知られている.すなわち,現実的な状況下でのこのような検定の設計問題や検出力特性の評価法については多くの課題が残されている.そこで本研究では,このような複数のパラメータにより定義される帰無仮説に関する問題の一つとして,2つの正規母集団分布の同等性に関する検定問題として正規2標本同時検定問題を考える.この正規2標本同時検定問題に関しては先に有薗らの成果により,尤度比検定における検定統計量の帰無仮説のもとでのより精度のよい近似分布が任意のサンプル・サイズに対応する形で与えられ,これにより精度のよい検定が設計されるに至った.ただし,これまでに有限サンプル・サイズのもとでの尤度比検定における正規2標本同時検定問題に関する対立仮説のもとでの検定統計量の近似分布やその近似分布に基づく検定における検出力特性の評価法について十分言及されてはいない.そこで,われわれはこの検定問題において,検定統計量の任意の仮説および任意のサンプル・サイズのもとでの近似分布に関して考察し,その近似分布に基づき検出力特性の評価にまで考察を広げるものとする.
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