急性散在性脳脊髄炎の疑いで経過中に発症した25歳男子の両側内因性
Candida 性眼内炎の1剖検例を報告した. 剖検時発見された肋間膿瘍からのみ
Candida albicans が培養された. 組織学的に眼病変は, 急性化膿性炎から肉芽腫性炎への移行ないし混在する像を呈し, ごく少数の酵母様真菌要素が壊死層内に散見された. それらは, PAS 反応および抗
albicans 抗体を用いた免疫染色により,
Candida であることを証明し得た. 以上の組織像は, 真菌性眼内炎では, 最も多い型であるが, 本例では, 脈絡膜病変がみられなかつた.
Candida の侵入経路は, 明確にはできなかつたが, 静脈内留置カテーテルの使用や大量の抗生物質および副腎皮質ホルモンの投与が発症に関与したことは, 推測される.
Candida 性眼内炎の本邦報告例は, 腹部手術および術後の抗生物質大量投与に引き続いて発症するものが多く, 自験例のごとく, 手術や外傷の既応がない症例は稀なものである.
また, 肋間筋内に真菌性膿瘍を形成していた症例は, 自験例を含め内外に5例ある. このことは, 眼球転移が比較的多い肺癌や乳癌を念頭に入れて考える時, 非常に興味ある事実といえよう.
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