以上, FA制御装置のオープン化に関して, オープン化の視点およびオープン化にかかわる各種活動状況を簡単に述べた.ところで, オープン化に関しては, その開発や標準化に加えて, その活用方法も重要な課題である.オープン化は可能性の提供であり, それ自体が何か新しい機能を与えてくれるわけではない.実現したいことがユーザ側にあって初めてオープン化は大きな意義を持つ.
このような観点では, 今後どのような工作機械を実現していくべきかの議論が重要であろう.このためには, 例えば工作機械のインテリジェント化といったテーマでこれまで行われてきた研究をサーベイしてみると参考になる.これまで無数の研究が実用に至らないままで終わっているが, その原因の一つに, 制御装置への実装の難しさがあったと思われる.オープン化の進展は, これらの成果を実現に移すための環境の整備とも見なせるのである.要は, オープン化の問題を, 単なるパソコン化といった形で表面的にとらえるだけではなく, オープン化のもたらす可能性を展望して, 次世代のFAシステムの在り方に関する議論と結び付けて考えていくことが重要と考えられる.
抄録全体を表示