周囲温度の変化による光走査型センサの走査位置検知精度の低下防止と, センサの極限までの小型化を目的として, 小型2次元光走査機構の板ばね部に生じる応力を利用して走査位置を検知する方法を提案し, そのためのピエゾ抵抗素子と反射光検知用のフォトダイオードを2自由度板ばね振動子上にシリコンマイクロマシニングによって一体形成した機能集積化マイクロスキャナを試作し, 基本的な特性について実験により検証した.その結果, 以下のことが明らかとなった.
(1) 振動子板ばね上に一体形成したひとつのピエゾ抵抗素子により, 板ばね表面に発生する曲げとねじりの応力を同時に検出し, 直角2方向の光走査位置を検知する方法を試みた.この方法により位置検知精度の低下は, ±10℃の環境温度変化に対して1%以下となり, 前報で報告した板ばねの共振駆動周波数を利用する方法に比べて, 50倍改善することができた.
(2) 板ばねにピエゾ抵抗素子を一体形成することにより, 曲げ方向26mV/°, ねじり方向21mV/°, の走査位置検知感度と, 0.02°の走査位置検知分解能が得られた.
(3) 試作した外形7mm×7mmのマイクロスキャナは, 最大検出距離200mmまでの物体からの反射光検知, 直角2方向への光走査, および走査位置検知が同時に可能であり, 本スキャナを用いることにより光走査型センサが大幅に小型化できる.
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