流通研究
Online ISSN : 2186-0939
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27 巻, 4 号
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巻頭言
特集論文
  • 西 大輔, 西川 みな美
    原稿種別: 特集論文
    2025 年27 巻4 号 p. 5-19
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/17
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    本研究の目的は,企業が環境配慮情報を伝達する手段の1つとして製品パッケージ上の環境ラベルに注目し,それが消費者の態度に与える影響を明らかにすることである。従来の環境ラベルは,第三者機関による認証マーク型および企業による独自マーク型が主流であり,これらの有効性について学術的な知見が蓄積されてきた。これに対して昨今,主に低関与製品のパッケージにおいては,新たにQRコードが環境ラベルに利用されている。しかしながら,QRコード型環境ラベルの有効性については十分な検討が行われていない。そこで本研究は,従来の環境ラベルとの有効性を比較するべく,消費者が知覚する「情報の透明性」の概念に着目して,理論仮説の構築と,オンライン実験による分析を行った。分析結果から,QRコード型の環境ラベルは,認証マーク型や独自マーク型よりも消費者の環境配慮情報の透明性の知覚が高まり,その結果として購買意向やブランド態度が向上する可能性が示唆された。

  • 山崎 義広, 庄司 義弘
    原稿種別: 特集論文
    2025 年27 巻4 号 p. 21-35
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/17
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    本研究は日本の地域企業によるプレイス・ブランディングの取り組みに着目し,プレイス・ブランディングにおける主要なアクターとしての地域企業の役割を中心に精緻化する。具体的には,山形県の清酒製造企業を事例として,地域(高等学校)との協働による新たなものづくりの取り組みを分析対象とした。分析手法としては事例研究とSCAT(Steps for Coding and Theorization)を用いた。その結果,地域プラットフォーム上のアクターとして地域企業のダイナミック・ケイパビリティと,持続可能な開発のための教育(ESD)における役割が明らかになった。

一般論文
  • 山下 貴子, 成生 達彦
    原稿種別: 一般論文
    2025 年27 巻4 号 p. 37-48
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/17
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    小売企業は,ポイントを利用しない消費者には表示価格で販売し,ポイントを利用する消費者には実質的に低い価格で販売している。つまりポイント制は第3級の価格差別である。また小売企業はポイントを付与する販売額の一定割合の手数料を支払っている。この手数料は売上税と同等の効果を持つ。それゆえポイント制導入の効果は価格差別効果と手数料効果を併せたものとなる。価格差別効果では,ポイント利用者の消費者余剰が増えて,ポイントを利用しない消費者の余剰は減る。また小売企業の総利潤は増えるが,総消費者余剰は減る。手数料効果では,ポイント利用者の実質価格が上がり,彼らの厚生水準を低下させると同時に,小売企業の利潤を減少させる。これら2つの効果を踏まえればポイントを利用しない消費者の厚生および総消費者余剰は減少する。また,ポイント利用者の割合が高くかつ手数料が高い場合には,すべての消費者の厚生が悪化する可能性がある。

編集後記
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