従来から, 重度四肢麻痺者の日常生活を自立させるための装具, 機器が開発されてはいるが, 実用化するものは少ない. 我々は約25年をかけ, 腕保持用装具の開発を行っている. 1981年からの4年間は機能性を高めるために電動化を試みたが, 高価で故障が多く, 実用化に至らなかった. 1985年以降は簡便で故障のない腕保持用装具を目指し, 腕の牽引力をスプリングにしたポータブルスプリングバランサー (PSB) の開発と実用化に努めた. その結果, 重度四肢麻痺者の机上動作を自立させる機器として, 現在, 広く活用されるようなった. 近年はPSBの機能向上を目指し, スプリングの腕牽引力調整を利用者自らが行える, 電動モータを使用した電動式ポータブルスプリングバランサー (EPSB) の実用化を目指している.
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