水環境学会誌
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39 巻, 3 号
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研究論文
  • 八木 聡, 川上 北斗, 藤原 拓真, 石川 奈緒, 伊藤 歩, 笹本 誠, 海田 輝之
    原稿種別: 研究論文
    2016 年 39 巻 3 号 p. 63-70
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    10種類の抗菌性物質 (セファゾリン, アモキシシリン, オキシテトラサイクリン, ドキシサイクリン, タイロシン, リンコマイシン塩酸塩, オキソリン酸, スルファモノメトリキシン, エンロフロキサシン, トリメトプリム) に対する緑藻Pseudokirchneriella subcapitataへの短期毒性試験を行い, EC50を求めた。既存の研究から他の種等により求められたEC50と本研究で求めたEC50から, 各抗菌性物質の作用機序とP. subcapitataに対する生長阻害との関係について検討した。また, エンロフロキサシンとスルファモノメトキシン, およびエンロフロキサシンとリンコマイシンとの混合液について同様の短期毒性試験を行い, 各抗菌性物質のEC50の濃度をToxic Unit (TU) 1とし, 二種類の抗菌性物質の混合TU比を数段階設定して毒性試験を行い, それぞれの生長阻害率を求めた。その結果, 上記の2つの混合系においては, 毒性は相加作用を示すことが明らかとなった。
  • 新矢 将尚, 西尾 孝之
    原稿種別: 研究論文
    2016 年 39 巻 3 号 p. 71-78
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    下水処理水の流入や海水の遡上にともない複雑な水質挙動を示している淀川水系下流域において, 亜鉛の存在形態, 分布および挙動について解析した。全亜鉛の49~89%は溶存態であり, 溶存態比率は下水処理水放流量の多い第二寝屋川と平野川分水路でとりわけ高く, 80%を超えていた。一方, 溶存態に占めるフリーイオン態の比率は下水処理水放流域で小さかった。亜鉛負荷量は大川と寝屋川水域で概ね全量が2:3, 溶存態が1:2であり, 寝屋川水域の寄与が大きかった。汽水域の安治川では上流側の負荷量から推計される亜鉛負荷量の87% (全量) , 78% (溶存態) であり, 鉄負荷量とともに減少していた。汽水域ではpHの上昇にともなう溶存鉄の水酸化鉄共沈により, 溶存態亜鉛が凝集し, 水中負荷量が減少していたことが認められた。その一方で, 汽水域の底泥に蓄積される亜鉛の再溶解はほとんど認められなかった。
  • 大石 京子, 前畑 有吾
    原稿種別: 研究論文
    2016 年 39 巻 3 号 p. 79-83
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    ホウ素は高濃度のCaが存在し, かつ高pH条件下でCaH2BO3+とB (OH) 4-のイオン対を形成する。前者はAl (OH) 4-と共沈し, 後者はグルコマンナンのジオール基と錯体を形成することができる。そこで本研究では, 石炭灰を0.25 N塩酸で処理した浸出液中でイオン対を形成していると考えられるホウ素の除去特性を明らかにするために, 除去率に影響する因子としてpHとAlの影響を検討した。その結果, CaH2BO3+をAl (OH) 4-と共沈させて回収する場合, pHを10付近に調整し, AlをAl/B = 50程度添加することでホウ素との共沈が促進され, 同時にAlもほぼ全量を回収できた。CaH2BO3+とAl (OH) 4-の沈殿物を回収した後, pHを12に調整してB (OH) 4-をグルコマンナンによる吸着除去が可能であった。以上の方法を組み合わせることで全体の78%のホウ素が除去された。
調査論文
  • 宮西 萌, 德田 理奈子, 佐川 志朗, 江崎 保男, 細谷 和海
    原稿種別: 調査論文
    2016 年 39 巻 3 号 p. 85-90
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/10
    ジャーナル フリー
    円山川水系鎌谷川において2014年6月と8月に魚類の採集調査を行なった。4調査地点で6科22種 (亜種を含む) の魚類が採集された。コウノトリの良好な採餌場所の条件として, 生物量と生物多様度が高いことが挙げられる。コウノトリの有用な餌生物は個体数が多く, 止水域を好むことからフナ類と推定した。鎌谷川内の魚種構成は抽水植物が繁茂している環境である中流と上流で大きく異なり, 中流は上流よりも生物多様度が高かった。鎌谷川の魚類個体数の増加をはかるには魚類が自由に移動できる河川の連続性を確保する必要がある。
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