乳酸菌Latobacillus gasseriおよびLactobacillus paragasseriにはバクテリオシン(ガセリシンA, T, S:GA, GT, GS)生産株が存在し,Lb. gasseri JCM 1017, JCM 1019,およびJCM 5814にも抗菌物質の生産が認められている。本研究では,上記3菌株が生産する抗菌物質のプロテアーゼ感受性試験,熱・pH耐性試験,SDS-PAGE後のin situ抗菌活性試験を行い,既知の3種のガセリシンも含めて,各温度・pH環境下における長期保存性について検討した。その結果,3種の抗菌物質は供試プロテアーゼにより失活し,SDS-PAGE後のin situ抗菌活性測定によりガセリシンと分子量が異なるペプチド(バクテリオシン様抗菌物質:BLIS)であると推定された。また,全BLISは広域なpH安定性と,121℃, 15 minの条件でも活性が残存する耐熱性を有していた。長期保存性試験では,酸性(約pH 3.8),中性に関係なく,37℃保存で全ガセリシン(GAのpH 3.7を除く)とBLISは21週以内に失活したものの,4℃および-20℃下では130週経過後も抗菌活性が検出された。以上より,GA, GT, GS,および3種のBLISは食品保存剤としての高い利用性を有すると考えられた。
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