生理心理学と精神生理学
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32 巻, 1 号
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原著
  • 三木 盛登, 入戸野 宏
    原稿種別: 原著
    2014 年 32 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2014/04/30
    公開日: 2015/03/19
    [早期公開] 公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    視聴者が動画に注意を向けるほど,動画とは無関係なプローブ刺激に対する事象関連電位のP3 (P300)成分の振幅が減衰する。本研究では,短い動画に対する主観的興味と脳波測度との相関を求めることにより,この知見を追試・拡張した。15名の大学生・大学院生が映画の予告編12本(M=143 s)を視聴した。視聴中に,痛みのない電気プローブ刺激(0.2 ms)を左手中指に5–7 s間隔で提示し,左手親指によるボタン押し反応を求めた。それぞれの予告編について印象評定を行った。6項目(興味ある,注意を引く,好き,快,目が覚めた,本編が見たい)のヴィジュアルアナログスケールの合成得点を“興味”得点として使用した。ステップワイズ回帰分析により,プローブ誘発P3振幅(β=-.20)と刺激が提示されない区間の後頭部アルファ帯域パワー(β=-.29)はどちらも興味得点を説明することが分かった。本研究により,単一電気プローブ刺激法が視聴者の興味を客観的に測る実験プロトコルとして有望であることが示された。
  • 竹谷 隆司, 奥村 安寿子, 河西 哲子
    原稿種別: 原著
    2014 年 32 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2014/04/30
    公開日: 2015/03/19
    [早期公開] 公開日: 2014/08/12
    ジャーナル フリー
    錯視的輪郭(illusory contour: IC)図形は統制図形と比較して,刺激提示後約90—200 msに特異的な電気生理学的反応を惹起する。このIC効果は,視覚皮質におけるICの自動的な知覚的処理を反映すると考えられているが,十分に検証されているとはいえない。本研究では,事象関連電位(event-related potential: ERP)におけるIC効果が認知課題の負荷により異なるかどうかを検討した。実験において17名の参加者は,IC図形とその統制図形,および数字からなるランダムな刺激系列に対し,低負荷条件では数字刺激のカウンティング課題,高負荷条件では計算課題を行った。その結果,低負荷条件でのみIC図形に対するより陰性のERPが,刺激提示後110—160 ms区間に右後頭側頭部において観察された。この結果は計算に伴う認知的負荷が,IC知覚処理に干渉したことを示唆するため,IC知覚処理は完全に自動的とはいえないだろう。
  • 杉本 史惠, 片山 順一
    原稿種別: 原著
    2014 年 32 巻 1 号 p. 18-28
    発行日: 2014/04/30
    公開日: 2015/03/19
    [早期公開] 公開日: 2014/10/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,体性感覚プローブ刺激と聴覚プローブ刺激に対するP300の振幅がトラッキング課題の難度を反映するか検討し,この難度の効果がプローブ刺激のモダリティによって異なるかを調べた。実験参加者はトラッキング課題中に,体性感覚または聴覚オドボール課題を二次課題として行った。手首と指への電気刺激と,2種類の音刺激を標準(呈示確率.80)または標的(.20)プローブ刺激として呈示した。参加者は標的プローブ刺激に対してマウスのボタン押し反応を行った。標的刺激に対するP300振幅は体性感覚と聴覚プローブどちらに対しても,トラッキング課題の難度が低い場合に比べて高い場合に減衰した。本研究はプローブ刺激に対して二次課題を行う手続きにおいて,体性感覚プローブ刺激と聴覚プローブ刺激に対するP300が主課題への注意配分量に対して同程度の感度を持つことを示す。
  • 丸尾 祐矢, 正木 宏明
    原稿種別: 原著
    2014 年 32 巻 1 号 p. 29-40
    発行日: 2014/04/30
    公開日: 2015/03/19
    [早期公開] 公開日: 2014/11/13
    ジャーナル フリー
    本研究では,パフォーマンスモニタリングに及ぼす罰の効果を検討した。実験参加者は,罰条件と無罰条件下で空間ストループ課題を遂行した。罰条件では,エラー反応の1秒後に不快音(爪による黒板の擦過音,90 dB)が提示された。ERNとPeについて条件間で比較を行った。さらに報酬や罰への反応性をBIS/BAS尺度で測定し,行動指標,ERN振幅値,Pe振幅値との相関関係を調べた。その結果,ERNは条件間で差がなかったものの,Pe振幅値は罰条件で大きかった。さらに,BAS得点とPe振幅値との間には中程度の負の相関関係が認められ,BAS得点の高い者ほどPe振幅値は低下した。本研究の結果は,罰として不快音を随伴させるとエラーに対する気づきが高まることを示唆しており,Peがエラー評価を反映した成分であるという考えを支持したものである。
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