本研究では随伴陰性変動 (contingent negative variation : CNV) パラダイム [警告刺激 (WS)-命令刺激 (IS)-運動反応 (MR)] 遂行事態における時間間隔検索に関する情報処理と運動情報処理の関係を検討した。実験では試行間間隔 (inter-trial interval : ITI) を操作し (3s/10s), ISに対する正確かつ迅速な反応課題を遂行した。反応時間 (reaction time : RT), CNV偏側性準備電位 (the lateralized readiness potential : LRP), 予備時間 (foreperiod : FP) 中に観察されるLRP (theforeperiod-LRP : FP-LRP) を測定した。また, 3次元脳内電流源密度分析 (low resolution brainelectro-magnetic tomography : LORETA) を用いて2条件間におけるCNVの差の発生源を推定した。
その結果, 前期CNVではITI3s条件よりもITI10s条件の方が前頭部で相対的に振幅増大し, 前期CNVが時間間隔の記憶痕跡残存の関数として変動することが示唆された。逆に後期CNVではITI10s条件よりもITI3s条件の方が中心部で相対的に振幅増大した。FP-LRPの立ち上がり潜時はITI3s条件よりもITI10s条件で遅延した。FP-LRPの振幅は時間間隔の記憶検索が再構築されるに従って振幅増大することが推察され, ITI10s条件の振幅増大はITI3s条件のそれよりも遅延した。LRPの立ち上がり潜時とRTはITI3s条件よりもITI10s条件で遅延した。
本研究では, 時間間隔の検索に関連する情報処理が前頭部の前期CNV区間に反映するものと考えられた。この前頭部の活動が大であると運動準備開始は早期化し, その結果, 反応が速く遂行されることが推測された。また, LORETAでは前期CNVに補足運動野, 後期CNVに楔前部と帯状回前部が推定された。
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