生理心理学と精神生理学
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37 巻, 3 号
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短報
  • 宇野 智己, 河西 哲子, 関 あゆみ
    2019 年 37 巻 3 号 p. 157-165
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2020/04/28
    ジャーナル フリー

    文字刺激に対する早い処理は事象関連電位(event-related potential, ERP)の左半球優勢なN170に反映される。ただし,ほとんどのERP研究では文字列に焦点が当てられており,単一文字の処理は視覚単語認知過程や読み発達の初期に位置づけられるにもかかわらず,僅かな研究が透明性の低いアルファベット言語の単文字について検討しているのみであった。そこで我々は書記素と音素の対応関係の良い,透明性の高い日本語平仮名の単文字に対するERPを検討した。我々は平仮名の単文字と統制刺激(実験1:記号,実験2:外国語文字)を高速で連続して提示した。参加者は刺激の色を判断するよう求められたため,文字の言語的な特徴は課題非関連であった。どちらの実験においても,平仮名単文字は左半球でのみ統制刺激よりも陰性に増強し,不透明なアルファベット単文字が示す両側性の増強とは異なるパターンを示した。本研究は日本語平仮名の潜在的な音韻活性化の自動性を示唆し,N170の左側性化に関する「音韻マッピング仮説」を単文字に拡張する。

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