生理心理学と精神生理学
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29 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 藤原 修治, 余語 真夫
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 29 巻 3 号 p. 193-203
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2012/06/27
    [早期公開] 公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    本研究では,実験室での急性ストレス課題に対する唾液中の免疫グロブリンA(s-IgA)の反応について,時系列的な変化を検討した。29名の実験参加者が,1 週間おきに三つの課題-能動的対処を要するストレス課題として暗算,受動的対処を要するストレス課題として寒冷昇圧,統制課題として中性映像の視聴-に取り組んだ。各実験条件について,安静期,課題期,回復期にわたって計5回唾液検体を採取した。実験の結果,暗算条件においてs-IgA分泌量は,統制条件に比べて課題の前半に有意に減少し,課題終了直後に有意に増加した。これに対して,寒冷昇圧条件においてs-IgA分泌量は,統制条件に比べて課題終了直後に有意に減少した。これらの結果は,能動的対処課題と受動的対処課題を実施した際のs-IgAの測定値が,唾液採取のタイミングにより影響を受けることを示している。
  • 小林 孝寛
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 29 巻 3 号 p. 205-216
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2012/06/27
    [早期公開] 公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    呼吸反応の時間的変化が,実務場面で行われた113の隠匿情報検査(CIT)において調査された。すべてのCIT被検査者の有罪知識は,検査後の捜査活動によって確かめられた。呼吸振幅(RA),呼吸数(RR),サイクル毎の呼吸速度(RScyc)が,刺激呈示後25秒間について1秒毎に計測された。RA,RR,RScycは,刺激呈示後1-18 s,9-25 s,2-25 sの期間において,非裁決項目と比較して,裁決項目に対して有意に減少する結果を示した。検出率の結果は,RAとRR間の時間特性の更なる顕著な違いを示した。さらに,RScycの検出率はRA・RRのものより優れた。
  • 田中 豪一, 前田 貴美人, 加藤 有一, 松村 健太, 三浦 哲嗣, 小池 城司, 大黒 浩
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 29 巻 3 号 p. 217-226
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2012/06/27
    [早期公開] 公開日: 2012/02/29
    ジャーナル フリー
    細小動脈硬化は動脈硬化の最も初期の徴候であるかもしれない。光電指尖容積脈波から導出され,血圧には依存しない指動脈スティフネス指標(FSI)が,指部動脈における圧-容積関係の指数関数モデルに基づいて開発されてきた。本研究では,細動脈の成分により一層関連する新しい指標として高経壁圧範囲におけるFSI(FSIH)を考案し,糖尿病患者において検査された。研究協力者は中年の眼科患者31名で,糖尿病を有する7 名の糖尿病群(DM), 糖尿病と高血圧を合併する12名の高血圧合併群(DH), 基礎疾患のない12 名の統制群(CT)の3群に割り振られた。FSIとFSIHは,健常青年集団では50 ± 10となるようにすでに標準化されていた。FSIはCT 群(54.7 ± 11.8)に比べてDH群(73.8 ± 11.3)で有意に高く,DM 群(65.0 ± 14.6)はその中間であった。FSIHはCT 群(61.0 ± 12.1)に比べ,DM群(91.2 ± 22.9)とDH群(83.8 ± 31.1)の患者で有意に高かった。FSI とFSIH はそれぞれ指の小動脈と細動脈のスティフネスと関連することが示唆される。
  • 尾形 明子, 宮谷 真人
    原稿種別: 原著論文
    2011 年 29 巻 3 号 p. 227-236
    発行日: 2011/12/31
    公開日: 2012/06/27
    [早期公開] 公開日: 2012/03/08
    ジャーナル フリー
    この論文では,ミスマッチ陰性電位(MMN)に反映される言語特異的な長期的語音痕跡と音韻ループで用いられる言語表象との関連を調べるために,MMNに及ぼす無声のリハーサルと無関連スピーチの影響について調べた。実験1では,8名の成人実験参加者から,純音および語音に対するMMNを記録した。参加者はその記録中,無意味語を繰り返しリハーサルすることを求められるか,ただビデオの映像を見ているかであった。無意味語のリハーサル,つまり構音コントロール過程への負荷は,どのMMNにも影響しなかった。実験2では,12名の実験参加者からMMNを記録した。その記録中に2種類の背景音(ピアノの音,男性の声)を呈示した。無関連スピーチ,すなわち音韻ストアへの妨害によって,背景音なしで記録したMMNに比べて,語音に対するMMNの振幅は減衰したが,純音のMMNは変化しなかった。これらの結果から,言語音に対するMMNの基礎となる神経過程は,言語知覚に密接に関連する音韻ストアにも関与することが示唆された。
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