コンピュータを使っているときの認知過程を事象関連電位 (event-related brain potential: ERP) によって検討することができる。本研究では,ユーザーの操作に対してコンピュータが応答しなかったときに生じるERP成分に及ぼす課題教示の効果を検討した。16名の大学生に自分で決めた一定間隔 (1-2秒) でマウスボタンを押すように求めた。ボタン押しの直後に反応フィードバック刺激 (黒いコンピュータ画面上の白い円) が提示されたが,提示されないこともあった (
p = .15)。刺激が提示されないと,その200-250ms後に陰性の欠落刺激電位が側頭部優勢に生じた。これに加えて,参加者のパフォーマンスによって刺激提示の有無が決まる (つまり,ボタン押し間隔が一定でないと刺激欠落が生じる) と教示したときには同じ潜時帯において前頭部にフィードバック関連陰性電位が生じた。これらの知見はコンピュータ事象に惹起されたERPがその事象に対するユーザーの解釈を反映することを示唆している。
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