生理心理学と精神生理学
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26 巻, 3 号
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  • 伊藤 史, 赤嶺 亜紀, 木田 光郎
    2008 年 26 巻 3 号 p. 205-215
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    タイプA群とタイプB群の課題に配分される処理資源量の違いが, P3の2つの下位成分を測定することによって査定された : 初期P3 (ピーク潜時380ms) と後期P3 (ピーク潜時520ms) 。タイプA群 (N=18) とタイプB群 (N=19) は, stoP/Nostopパラダイムを用いた弁別反応 (反応時間) 課題を遂行した。単一課題条件では, 参加者は反応時間課題のみを遂行した。二重課、題条件では, 彼らは反応時間課題とカウント課題を同時に遂行した。二重課題条件には2つの課題条件があり, 2つの課題条件は課題の困難さが異なっていた。両参加者群のNoStop刺激に対するRTは, 二重課題条件下で遅延した。しかし, 二重課題条件下における初期P3振幅の減衰は, タイプB群にのみ認められ, タイプA群には認められなかった。両参加者群のNoStop刺激に対する後期P3振幅は, 二重課題条件下で増大した。これらの結果は多重資源モデルの枠組みで考察された。
  • 土田 幸男, 片山 順一, 室橋 春光
    2008 年 26 巻 3 号 p. 217-228
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    リーディングスパンテストで測定されるワーキングメモリ (WM) 容量の個人差はスパンテスト遂行中の課題非関連情報に対する注意を抑制する注意制御機能が関わっていると考えられている。この注意制御機能が領域固有なのかどうか, 視覚3刺激オドボール課題遂行中の事象関連脳電位 (ERP) を検討した。リーディングスパンテストを用いて52人の大学生・大学院生のWM容量を評価した。実験参加者は標的刺激 (15%) に対して反応をすることと, 非標的刺激 (15%) と標準刺激 (70%) の両方を無視することが要求された。ある条件では同じ幾何学図形が非標的として繰り返し呈示されたが, もう1つの条件では新奇な認識できない視覚刺激が非標的として呈示された。WM容量低群 (n=13) は高群 (n=13) よりも繰り返し呈示された非標的に対して大きな非標的P300振幅を惹起した。このことは, 課題非関連情報によってWM容量低群の方が高群よりも注意が捕捉されたと考えられる。WM容量は言語領域だけでなく, 視覚刺激の処理においても課題非関連情報に対する注意の抑制に依存することが示唆された
  • 小野田 慶一, 岡本 泰昌, 国里 愛彦, 山脇 成人
    2008 年 26 巻 3 号 p. 229-235
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    我々は機能的磁気共鳴画像法を用いて, 不快予期と快予期を比較することで情動画像の予期に関連した脳活動を検討した。脳活動測定中において, 参加者は警告刺激後に情動刺激を提示された。警告刺激の種類によって不快予期条件, 快予期条件, 予期不可能条件を設定した。快画像よりも不快画像の予期において, 背外側前頭前野, 前帯状回, 島, 扁桃体, 視床, 視覚皮質の活動が亢進していた。この結果はこれらの領域が情動画像の予期に関与していることを示している。さらにパス解析は不快事象の予期場面において, 扁桃体の活動が前帯状回を介して背外側前頭前野に影響を及ぼしていることを示した。この結果は情動予期において, 大脳辺縁系の予期的活動が背外側前頭前野の準備的プロセスを促進している可能性を示唆している
  • 入戸野 宏, 小野田 慶一
    2008 年 26 巻 3 号 p. 237-246
    発行日: 2008/12/31
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    アナログフィルタやディジタルフィルタは, 事象関連電位 (event-related potential : ERP) の測定・分析によく使われる。しかし, 不用意にフィルタをかけるとERP波形が大きく歪んでしまうこともある。本稿では, フィルタがどのように作用し, 時間領域に表現された信号にどう影響するかについての基礎知識を提供する。アナログフィルタとディジタルフィルタの簡単な紹介に続き, フィルタについての3つのよくある誤解について述べる。 (1) フィルタを適用した波形には遮断した周波数の信号は含まれない。 (2) ハイパスフィルタはいつも時定数として表現できる。 (3) ゼロフェーズフィルタは波形を歪めない。これら3つの命題はどれも正しくない。最後に, ERP研究におけるフィルタの使用についていくつか提案する
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