CNVは初期成分 (O波 : orineting response) と後期成分 (E波 : expectancy) からなる.本研究は, (1) これら二成分の数理モデルを構築し, (2) 時間弁別課題下のCNVに適用することを目的とした.O波は, ボアソン過程の確率密度関数とした.自然界の減衰過程はこのような減衰関数で表現される.しかし, 期待 (本実験ではカウンティソグによる時間弁別) は目標指向過程と考えられるので, E波のモデルとしては, O波モデルの時間軸を逆転した「逆ポアソン過程関数」を採用した.課題に熟練した1名の被験者のCzより脳波を導出した.実験課題は, テスト刺激の時間間隔が標準刺激と同じかどうかを弁別することであった.標準刺激 (CUE) は, 800ms間隔の5音, テスト刺激は2音で, 時間間隔は2400 (T-), 3200 (TZ), 4000ms (T+) の3種類とした.運動反応は, 時間弁別時点から2s後になされた.加算平均からモデルを減算した波形は, CUE, TZ, T+条件では, 周期が約800msの成分が観察され, カウンティング成分であることが示唆された.モデルを決定するパラメータ数は, O波が1個, E波で2個である可能性が示唆され, これらのパラメータを推測する外部要因について考察が行われた.
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