寒冷昇圧検査 (CPT) 時の, 血圧上昇に関する血行力学的機序が, 痛みおよび寒冷という刺激要素の面から, 検討を加えられた.14名の正常血圧男子学生が, 90sのCPT (4℃および8℃) を, 順序効果を相殺させながら, 2度経験した.そして, 他の10名が, 大変軽度な90sのCPT (14℃) を, 1度経験した.その結果, 4℃および8℃で血圧が上昇したのは, 末梢血管抵抗の主たる増加, および, 心拍数の副次的な増加によっていたが, 14℃の場合は, 末梢血管抵抗の増加だけが, 血圧上昇に効いていた.したがって, 痛みおよび寒冷という刺激要素の双方が, 前者の血圧上昇には影響していたが, 後者にあっては, 寒冷のみが主たる役割を演じている, と示唆された.圧受容体反射感度は, いずれのCPTでも変化を認めず, 血圧上昇に対して, リセット現象のみ生じている, と示唆された.心臓血管系研究におけるストレス・テストにとって, こうした結果がどのような意味を含むかについて, 考察がなされる.
抄録全体を表示