生理心理学と精神生理学
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13 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 実平 奈美, 片山 順一
    1995 年 13 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1995/06/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    本研究は, 予測項目数が意味プライミングに及ぼす影響を行動指標及び事象関連脳電位を用いて検討した.大学生10名を被験者とし, 2条件で実験した.反意語条件ではプライム・ターゲット対として, 反意語対を呈示し, カテゴリ条件ではカテゴリ名とその事例を呈示した.ターゲット刺激の語彙判断時間における促進効果と抑制効果は反意語条件で大きかった.N400は非関連, 及び非単語ターゲットに対して大きかった.さらに, どの試行タイプにおいてもカテゴリ条件の方が大きなN400が惹起された.これらの結果から, N400は単語認知における検証過程を反映することが示唆された.
  • 大石 武信, 時田 学, 山岡 淳
    1995 年 13 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1995年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は, 呼吸の随意的瞬時統制が反応時間とSTAI-1に及ぼす影響について, 検討することであった.被験者は, CRT上の刺激に対するボタン押し反応に呼吸の随意的瞬時統制を行った.その結果, 呼吸統制条件の方が自発呼吸条件よりも, 反応時間が短く, また, STAI-1の得点が高かった.これらの結果は, 呼吸の随意的瞬時統制を行うと, 被験者の集中力を高め, パフォーマンスを向上させることを意味している.これらの結果はまた, 呼吸の随意的瞬時統制法が, 運動パフォーマンスを促進する可能性を示唆している.
  • 田中 裕
    1995 年 13 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1995年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    Tanaka & Yamaoka (1993) において, 計算課題下においてのみ課題の困難度に対応した瞬目率の増加傾向が報告された.そして, 平仮名を使用した文字検索課題下ではこの傾向は確認されなかった.この両課題はそれぞれ異なった変動要因と情報処理機構を持つと考えられる.そのため, 瞬目活動と課題の困難度に対してどちらの要因が主に影響を及ぼしているかが不明なままである.本研究では, 仮名文字を使用してはいるが, 比較的計算課題に類似していると考えられる記憶文字検索課題を使用して, 瞬目活動と課題の困難度について検討を行った.課題の困難度は三水準を設け, 困難度は記憶させる平仮名のメモリーセットサイズで統制した.その結果, 一番困難度の高い課題と一番容易な課題の間でのみ, 瞬目率に有意な差が確認された.この結果はTanaka&Yamaoka (1993) の計算課題下の結果と同様であり, 瞬目率と課題の困難度の関係には課題の変動要因が影響しないことを示すものであろう.また, 瞬目振幅の変動には覚醒水準の影響が示唆されたが, 瞬目持続時間には変化は確認されなかった.
  • 吉田 倫幸, 菊本 誠, 松本 和夫
    1995 年 13 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 1995年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    白色雑音下の鼻部皮膚温変化パターン及びその変化と主観的状態との相関を調べた.8名の被験者は, 2分の安静期と2分の白色雑音期を交互に4試行経験し, その間の鼻部皮膚温が測定された.白色雑音は異なる音圧レベル (40, 50, 60, 90dB) から成り, すべてランダムな順序でヘッドホソを通して被験者に提示された.被験者はまた, 安静状態と刺激状態に対して自らの主観的状態 (覚醒感, いらだち, 気分) を評価した.実験結果は, 鼻部皮膚温は安静状態で徐々に増加するが, 白色雑音開始からは一時的に減少することを示していた.騒音暴露が終了した後も, その減少は30秒~1分の間続いた.温度減少は騒音の強さと相関し, 90dBで最も大きかった。また, その減少は覚醒感といらだちの増加と相関した.これらの結果は, 鼻部皮膚温が主観的状態を評価するのによいマーカーであることを示唆する.
  • 澤田 幸展
    1995 年 13 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 1995年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    寒冷昇圧検査 (CPT) 時の, 血圧上昇に関する血行力学的機序が, 痛みおよび寒冷という刺激要素の面から, 検討を加えられた.14名の正常血圧男子学生が, 90sのCPT (4℃および8℃) を, 順序効果を相殺させながら, 2度経験した.そして, 他の10名が, 大変軽度な90sのCPT (14℃) を, 1度経験した.その結果, 4℃および8℃で血圧が上昇したのは, 末梢血管抵抗の主たる増加, および, 心拍数の副次的な増加によっていたが, 14℃の場合は, 末梢血管抵抗の増加だけが, 血圧上昇に効いていた.したがって, 痛みおよび寒冷という刺激要素の双方が, 前者の血圧上昇には影響していたが, 後者にあっては, 寒冷のみが主たる役割を演じている, と示唆された.圧受容体反射感度は, いずれのCPTでも変化を認めず, 血圧上昇に対して, リセット現象のみ生じている, と示唆された.心臓血管系研究におけるストレス・テストにとって, こうした結果がどのような意味を含むかについて, 考察がなされる.
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