生理心理学と精神生理学
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31 巻, 3 号
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原著
  • 中川 紗江, 鈴木 直人
    原稿種別: 原著
    2013 年 31 巻 3 号 p. 181-191
    発行日: 2013/12/31
    公開日: 2014/10/29
    [早期公開] 公開日: 2014/03/04
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,不快感情が喚起されている時に意図的に笑顔を表出することによって生じる主観的な感情と表情の違いが,心臓血管系反応に及ぼす影響を検討することである。
    42名の実験参加者が2本の短い映像を視聴した。それぞれの群ごとに嫌悪映像(不快刺激群),楽しい映像(快刺激群),中性映像(中性刺激群)を2本ずつ使用した。
    実験参加者は,一方の映像は意図的に笑顔を表出しながら視聴するよう求められ(笑顔条件),もう一方の映像は自然な表出で視聴するよう求められた(自然条件)。実験参加者が映像を視聴している間,心臓血管系反応測定した。さらに,実験参加者が視聴し終わった後も心臓血管系反応を継続して測定した。
    その結果,笑顔条件において全ての群の収縮期血圧および拡張期血圧の値が上昇した。しかしながら,心拍数は快群において上昇した一方,不快群では減少した。不快群の心臓血管系反応パターンは,α-アドレナリン作動性収縮によって引き起こされるパターンII反応に類似している。心臓血管系の活動に関する研究において,このパターンはしばしば不適応な反応の指標としてみなされる。
    したがって,これらの結果は,感情価のズレが不適応的な生理反応を引き起こす可能性を示唆している。
短報
  • 守谷 大樹, 武市 淳, 入戸野 宏
    原稿種別: 短報
    2013 年 31 巻 3 号 p. 193-201
    発行日: 2013/12/31
    公開日: 2014/10/29
    [早期公開] 公開日: 2013/12/10
    ジャーナル フリー
    ポジティブ気分は意味表象の活性を促進させると考えられている。近年の研究から,認知機能に気分が及ぼす効果は気分の覚醒度に影響されることが示されているが,覚醒度の異なるポジティブ気分が語彙判断過程に異なる影響を及ぼすかは明らかでない。本研究では,24名の大学生に音刺激を提示することで高覚醒ポジティブ・低覚醒ポジティブ・中性気分を誘導し,それぞれの気分の下で語彙判断課題を行ってもらった。単語と偽単語に惹起されたN400の振幅は,高覚醒ポジティブ気分のときの方が中性気分のときよりも増大した。低覚醒ポジティブ気分と中性気分の間に差はなかった。これらの結果は,ポジティブ気分による意味処理の促進は,覚醒度に依存することを示唆している。
テクニカルノート
  • 山口 健治, 櫻井 芳雄
    原稿種別: テクニカルノート
    2013 年 31 巻 3 号 p. 203-212
    発行日: 2013/12/31
    公開日: 2014/10/29
    [早期公開] 公開日: 2014/02/10
    ジャーナル フリー
    本稿では,Arduinoマイコンを用いたリアルタイムでのオペラント箱制御方法およびデータロギングの方法について解説する。Arduinoマイコンは廉価で扱い易いマイコンであるが,神経科学の様々な行動実験で使用するためには十分な性能を持っている。本稿ではまずArduinoマイコンについて解説し,デジタル入出力装置としての使い方を説明する。加えて,Arduinoマイコンを用いた行動データのロギング方法を紹介する。この方法は外部記憶装置を用いる方法よりも優れた点を持っている。最後に,Arduinoマイコンを用いた行動神経科学の実験例として,我々の研究における方法を紹介する。
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