本研究では, 心臓活動の知覚能力と, ストレスに対する心拍数, 呼吸数, 不安水準の変化との関係を検討した.被験者は大学生女子14名で, 2セッションからなる実験に参加した.第一セッションでは, 拍動検出課題を用いて, 心臓活動の知覚能力を測定した.拍動検出課題では, 心電図のR波から遅延時間の異なる6種類の, 連続した8拍分の刺激音と自分自身が感じている拍動が一致しているかどうかを判断するように求められた.第ニセッションでは安静時とカウントダウソ期の心拍数, 呼吸数, 不安水準が測定された.カウソトダウン期に入る直前に被験者は, カウソトダウンが終わると, 弱い電気ショックと強いフラッシュが提示される場合があると教示された.第一セッションの結果から, 心臓活動の知覚能力が高い群と低い群を構成した.心臓活動の知覚能力とストレス刺激に対する生理的反応性および不安水準との関連はみとめられなかった.この結果を, 情動の覚醒調整モデルの観点から考察した.
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