生理心理学と精神生理学
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11 巻, 1 号
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  • 赤井 俊幸
    1993 年 11 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    12名の成人から, 聴覚刺激を選択的に聴取している事態, および無視している事態での事象関連電位 (ERP) を記録した.ピッチの異なる両耳分離聴覚刺激と, 色および呈示時間の異なる視覚刺激とを短い刺激間間隔 (ISI, 200-500ms) あるいは長い刺激間間隔 (600-1500ms) で呈示した.聴覚刺激および視覚刺激は, 時間的関係をもたないように呈示した.被験者には, 一方の耳に注意を向け, 標準刺激よりもピッチの高い標的刺激を検出すること, あるいは視覚刺激に注意を向け, 全ての聴覚刺激を無視することを求めた.その結果, 視覚刺激注意条件における聴覚ERPに比べて, 聴覚刺激注意条件における非関連刺激ERPには, 両ISI条件で類似した陽性シフトが200-300ms潜時帯でみられた.このことは, 非関連刺激ERPにおける陽性シフトが, 先行刺激に対するERPの重畳によるものではなく, 非関連刺激の排除と関連した内因性陽性電位であることを示唆する
  • Shigeru WATANABE
    1993 年 11 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    ハトに4種類の餌 (穀物) と4種類の食べられないもの (石, ネジなど) の弁別をオペラント条件づけにより訓練した後, 視床経由視覚系のWulst, 視蓋経由視覚系の外線状体を両側破壊した.しかし, どちらの場合も顕著な認知障害は見られなかった.次に, Wulst, 外線状体をふくむ大脳半球摘除を一側性に行った.その結果, 摘除半球と対側単眼を使用させた場合にのみ顕著な食物の認知障害が認められた.このことは視覚的食物弁別が2つの視覚系の両方で処理されており, その障害は両方ともが損傷を受けた時にのみ発現することを示唆する
  • 村田 祥子, 諸冨 隆
    1993 年 11 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1993年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    意味プライミング課題繰り返しの効果を検討するために事象関連電位 (ERPs) を記録した意味的関連、非関連の2種類のプライムを用いた、1ブロックは76試行で2ブロック行った。被験者は迅速にターゲット画の音節数に対応した弁別キー押しを行うよう求められた。ブロック2ではプロヅク1に比較して反応時間は短縮したが、両ブロックにおいても刺激条件による有意な反応時間差は一貫して認められた。非関連のターゲットのERPsから関連ターゲットERPsを引算して、陰性差波形を得た。差波形の頂点潜時はおよそ400msであった。前頭、中心、頭頂において、差波形の振幅はブロック2においてブロック1よりも増大した。しかし、後頭においては振幅の変化は認められなかった。これらの結果は意味プライミング課題の遂行に脳の異なる領域が特異的に関与することを示唆した
  • Kazumi MICHIHIRO
    1993 年 11 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1993/06/30
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    本研究は, 定位性の皮膚コンダクタンス反応の生起に関わる認知的構えの効果を検討することを目的とした.皮膚コンダクタンス反応を誘発する刺激として, ハ長調音階のド (C), ミ (E), ソ (G) にあたる音を用いた.28名の女子短大生全員に, まずドの音を1秒間提示, 100ミリ秒の間隔をおいてミの音を1秒間提示する刺激対をハビチュエーション基準に達するまで反復提示し, 引き続いてドとソの刺激対を同じくハビチュエーション基準に達するまで反復提示した.これらの被験者を, 実験終了後の質問の回答によって, 音が音階と符号していることに気づいて音階名をあてはめて聞いていた音階群 (N=13) 音階群と, 音階に気づかずに聞いていた音群 (N=15) とに分けた.その結果, 音階群で刺激対の変化に対して有意に大きな定位性皮膚コソダクタンス反応の生起とハビチュエーションの遅れが認められた.
  • 小山 幸子, 投石 保広, 下河内 稔
    1993 年 11 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 1993年
    公開日: 2012/11/27
    ジャーナル フリー
    記憶探索課題中に20名の被検者から事象関連電位 (ERP) を測定した.各試行では, 5個の記憶項目一覧を提示した後にテスト項目1個を提示し, 被検者はテスト項目が記憶項目中に含まれていたものか否かボタン押し判断をした.用いた項目は全て単語とし, 5個の記憶項目は全て同じ意味カテゴリに属するものとした (例, “玄関”, “階段”, “寝室”, “車庫”, “食堂”).テスト項目として, 記憶項目である標的項目 (例, “食堂”, “yes” 反応), 記憶項目と同じ意味カテゴリに属する関連項目 (例, “居間”, “no” 反応), 記憶項目とは異なる意味カテゴリに属する非関連項目 (例, “改札”, “no” 反応) の3種類を用意した.関連項目に対する反応時間は非関連項目に対する反応時間よりも延長していたが, 関連項目に対するN400振幅は非関連項目と比較して減少していた.
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