日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
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16 巻, 4 号
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  • 土江 淳子, 中村 弥生
    1993 年 16 巻 4 号 p. 4_9-4_20
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究は看護婦976名を対象として,質問紙調査法で,仕事上よく遭遇するストレス要因を分析し,職務意識とストレス要因,職務意識とバーンアウトの関係を調査したものである。職務意識は部署,病院,看護婦に対するそれぞれの継続の意志を調べた。
     その結果,看護婦が日常よく遭遇するストレス要因は「医師に対する不満」,「上司に対する不満」,「同僚に対する不満」,「同僚間の伝達不全」,「患者への看護」,「患者の死」,「労働過多」,「教育環境の不備」であった。
     職務意識はI:部署,病院,看護婦いずれも続けたい人,II:部署だけ移りたい人,III:部署,病院を変わりたいが看護婦は続けたい人,IV:部署,病院,看護婦いずれもやめたい人,の4グループに分類した。I,II,III,IVと進行するにつれて職務意識は低下すると思われた。
     バーンアウト得点(MBI)はI,II,III,IVの順に高くなった。しかし,ストレス要因の得点はI,II,IIIの順に高くなったが,IVでは一部のストレス要因においてIIIと差がなかった。
     以上から,バーンアウトの程度が強まるにつれて職務意識は低下するが,ストレスの程度は看護婦は続けたいが,部署,病院を辞めたいと思うIIIの段階で,一部のストレスをもっとも強く感じていた。このことにより,看護婦の離職,転職の予防には部署や病院を変わりたいと思う段階での対策の重要性が示唆された。特に婦長の教育や同僚のサポートが必要と思われた。
  • 波多野 梗子, 小野寺 杜紀
    1993 年 16 巻 4 号 p. 4_21-4_28
    発行日: 1993/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     看護婦の職業的社会化を知るために,同一看護短大の看護学生および卒業生(看護婦)の看護職へのアイデンティティを調べた。
     まずそのために,看護学生,卒業生計936名を対象に,因子分析およびGood-Poor分析を用いて,12項目からなる簡便なアイデンティティ尺度を作成した。それを用いて,S県立看護短大の在学生228名(1年~3年,回収率98%)と昭和53年から13年間の卒業生442名(回収率65%)を対象に,看護職へのアイデンティティを測定した。その結果以下のことが明らかとなった。
    1) 看護学校に入学後の1年生が最も高い。 2) 2年生で大きく低下する。しかし3年生は(卒業直前)再び高くなる。 3) 就職直後が全体のうちで最低である。 4) その後は徐々に高くなる。卒業生で就業,非就業,就業職種による違いはない。
     これらの結果は,看護職アイデンティティの発達は3つの特徴的な段階をとることが明らかとなった。すなわち,看護職の現実を知らないロマンチィックな職業への憧れの段階,現実を知って職業への失望の段階,そして看護職へのアイデンティティを確立し,安定する段階である。
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