本研究は看護婦976名を対象として,質問紙調査法で,仕事上よく遭遇するストレス要因を分析し,職務意識とストレス要因,職務意識とバーンアウトの関係を調査したものである。職務意識は部署,病院,看護婦に対するそれぞれの継続の意志を調べた。
その結果,看護婦が日常よく遭遇するストレス要因は「医師に対する不満」,「上司に対する不満」,「同僚に対する不満」,「同僚間の伝達不全」,「患者への看護」,「患者の死」,「労働過多」,「教育環境の不備」であった。
職務意識はI:部署,病院,看護婦いずれも続けたい人,II:部署だけ移りたい人,III:部署,病院を変わりたいが看護婦は続けたい人,IV:部署,病院,看護婦いずれもやめたい人,の4グループに分類した。I,II,III,IVと進行するにつれて職務意識は低下すると思われた。
バーンアウト得点(MBI)はI,II,III,IVの順に高くなった。しかし,ストレス要因の得点はI,II,IIIの順に高くなったが,IVでは一部のストレス要因においてIIIと差がなかった。
以上から,バーンアウトの程度が強まるにつれて職務意識は低下するが,ストレスの程度は看護婦は続けたいが,部署,病院を辞めたいと思うIIIの段階で,一部のストレスをもっとも強く感じていた。このことにより,看護婦の離職,転職の予防には部署や病院を変わりたいと思う段階での対策の重要性が示唆された。特に婦長の教育や同僚のサポートが必要と思われた。
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