目的:新人看護師が複数患者を同時に受け持つ体制下で直面する多重課題対応不全を生み出す主要因子を看護管理者の視点で抽出した。方法:管理者7名に半構造化面接を行い,KJ法で構造化した。結果:新人は【チームの中で段階的に育つ存在】ではあるが,【基礎教育と臨床現場のギャップ】が放つ過酷な看護実践の現実は,新人の【主体性が欠如した表面的学習】【対人関係力の弱さ】【自分本位さ】という実践以前の個人的な課題を露呈させていた。特に,【主体性が欠如した表面的学習】は【医学的知識と看護実践がつながらない状況】を招き,実践レベルでの【報告にも個別指導を要する難儀な状況】【柔軟に対応できる軸がない状況】を惹起し,複数患者の看護と多重課題対応の弊害となった。これには新人自身の【対人関係力の弱さ】【自分本位さ】が複雑に絡み,新人教育において【先輩による教育・指導の限界】にまで発展していた。結論:新人の学び方を精錬させることが不可欠と考えられた。
目的:看護職のプラトーの影響要因及びキャリア開発への影響を明らかにする。方法:全国400床以上の一般病院194施設776名に調査をした。質問項目は,個人的・組織的背景,階層プラトー化,内容プラトー化,看護職者の職業キャリア成熟測定尺度を使用した。これらの関連性を検討するために重回帰分析を行った。結果:階層プラトー化を有意に促進する項目は年齢であり,昇進願望や昇進機会の満足感は抑制する項目であった。内容プラトー化では促進する項目はなかった。抑制する項目は上司との人間関係の満足感,昇進機会の満足感,キャリア相談部門などであった。またプラトーの得点が低いほど,職業キャリア成熟測定尺度の各下位尺度の得点が有意に高かった。結論:組織的には年齢の影響を考慮し,昇進機会を公平にすることや,各看護師がキャリアの方向性を見出せるような職場環境を整備することが重要であると考えられた。