日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
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46 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 松本 亜矢子, 堀口 智美
    2023 年 46 巻 4 号 p. 4_621-4_631
    発行日: 2023/10/20
    公開日: 2023/10/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019;COVID-19)重症患者を亡くした家族の体験を明らかにする事例研究である。方法:研究参加者はCOVID-19重症患者2名の家族で,調査方法は非構造化面接法によりデータ収集を行い,質的記述的に分析した。結果:COVID-19重症患者を亡くした家族の体験として12個のカテゴリが導き出された。2事例に共通していたことは,家族は限られた情報による想定と現実の中で疲弊し,医療従事者や周囲から距離を置き苦悩していたことであった。各事例に特徴的であったことは,事例1の家族がCOVID-19による患者の死をどうにか受け入れようと藻掻いていた一方で,事例2の家族はCOVID-19による患者の死を受け止めていたことであった。結論:医療従事者は家族の体験を十分理解し支援していくことが重要である。

  • 佐藤 幸子, 塩飽 仁, 今田 志保, 種吉 啓子, 今 陽子
    2023 年 46 巻 4 号 p. 4_635-4_645
    発行日: 2023/10/20
    公開日: 2023/10/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
    ジャーナル フリー

    目的:小児看護専門看護師(小児CNS)が子どもの意思決定を支援するプロセスを明らかにすること。方法:小児CNS8名を対象に修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより調査を行った。結果:【子どもに合った説明・方法への調整の循環】と【支援の基盤となる小児CNSの認識】の2カテゴリと7のサブカテゴリが生成された。小児CNSは〈支援の必要性の認知〉から〈子どもの受け止めの理解〉を行い,〈子どもの状況を踏まえた説明・提案〉を行い,[子どもが自分で決めるのを待つ]という【子どもに合った説明・方法への調整の循環】が生じていた。【支援の基盤となる小児CNSの認識】カテゴリは〈支援の判断の基準となる倫理観〉と〈支援方法を決めるための子どもの力や状況の見極め〉のサブカテゴリからなり,支援の基盤となっていた。結論:子どもの意思決定の支援のために【支援の基盤となる小児CNSの認識】が必要であると示唆された。

  • 永田 絵理香, 佐野 元洋, 眞嶋 朋子
    2023 年 46 巻 4 号 p. 4_647-4_655
    発行日: 2023/10/20
    公開日: 2023/10/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/27
    ジャーナル フリー

    目的:慢性心不全看護認定看護師による意思決定支援について明らかにし,心不全患者の意思決定支援に関する示唆を得ること。方法:慢性心不全看護認定看護師12名に半構造化面接を行い,得られたデータを質的帰納的に分析した。結果:慢性心不全患者が意思決定をするための慢性心不全看護認定看護師の実践として【意思決定に繋がる信頼関係を構築する】,【ありのままの患者や家族を理解する】,【病状と療養方法の理解を促進する】,【患者の意思を引き出し,患者が望む生き方の実現につなげる】,【患者の今後を予測し,患者が自分の意思を表出できる時期に,はたらきかける】の5つのコアカテゴリーが抽出された。結論:認定看護師は,患者の望む生き方とつながるように意識しながら,病状や療養生活の指導を行っていた。また,日々患者と接する中で,患者の意思の表出に関心を持ち,状況に合わせたタイミングで意思確認や意思表出の支援を実践していた。

  • 赤羽根 章子, 部谷 知佐恵, 岡田 摩理, 叶谷 由佳, 遠渡 絹代, 市川 百香里, 濵田 裕子, 泊 祐子
    2023 年 46 巻 4 号 p. 4_657-4_670
    発行日: 2023/10/20
    公開日: 2023/10/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/27
    ジャーナル フリー

    目的:小児の訪問看護の実態を分析し課題を明らかにする。方法:小児慢性特定疾病(以下,小慢とする)の指定医療機関として掲載があった訪問看護ステーション(以下,訪問St.とする)2,500か所に質問紙を送付し分析した。結果:実際に小慢の指定を受けていたのは71.7%,小児利用者がいる訪問St.(以下,小児有訪問St.)は60.7%であった。小児の訪問をしていない理由は「依頼がない」が最も多かった。小児有訪問St.は看護師数や利用者数が多く,訪問St.ごとの小児利用者数は1人が多かった。人工呼吸器装着の割合は58.2%であった。小児訪問看護を広げるための対策や制度として,教育的支援の充実や連携がとりやすい体制づくり等の要望があった。結論:小児訪問看護の経験をもつ訪問St.と協働し,経験の不足を補う教育的支援と多職種連携体制およびそれに伴う報酬の整備,社会へのさらなる周知の必要性といった課題が見出された。

  • 近藤 考朗, 稲垣 美智子, 多崎 恵子, 堀口 智美
    2023 年 46 巻 4 号 p. 4_671-4_681
    発行日: 2023/10/20
    公開日: 2023/10/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/27
    ジャーナル フリー

    目的:インスリン療法中の高齢糖尿病患者を支える家族のモニタリング力の構成要素と獲得するまでのプロセスを明らかにする。方法:インスリン注射の介助を行いながら在宅で療養している高齢糖尿病患者の家族13名に半構成的面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ法を参考に分析した。結果:モニタリング力は【低血糖,高血糖におののく】【自分のものさしで血糖変動をモニタリングする】【助けが必要な食事と注射を自然に引き受け見張る】【注射ができなくなっている老化をみつける】【年を重ねてきた家族への愛おしさと敬意】【医療者のお墨付きをもらう】【自分のものさしに自負を持ち慣れた感じで注射を打つ】の7つのカテゴリーから構成され,7つのカテゴリーによってモニタリング力を獲得していくプロセスを描くことができた。結論:本研究結果によりモニタリング力を踏まえた家族ケアを指導することが可能であると示唆された。

  • 大﨏 美樹
    2023 年 46 巻 4 号 p. 4_683-4_691
    発行日: 2023/10/20
    公開日: 2023/10/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/27
    ジャーナル フリー

    目的:家族から介護を受ける進行がん患者のSelf-perceived burden(SPB)とSPBへの対処方略との関係を明らかにする。方法:家族から介護を受けている進行がん患者150名を対象に質問紙調査を実施した。対処方略とSPB,属性の関係はMann-Whitneyの検定またはχ2検定を行った。結果:有効回答者数84名であった。多くの患者がSPBを軽減しようとさまざまな対処方略を用いていた。12項目の対処方略のうち7項目で用いている者の方がSPBは強かった。「自分で動く努力をする」「反省してよりよい方法に変える」を用いている者は全身状態が良好であり,介護者は女性が多かった。「感謝の気持ちを家族に言葉で伝える」「判断は家族に任せる」を用いている者は女性が多かった。結論:SPBに対処する患者の努力を支援するだけでなく,患者と家族で共に状況に取り組めるように支援する必要性が示唆された。

  • 佐々木 真紀子, 菊地 由紀子, 工藤 由紀子, 長谷部 真木子, 杉山 令子
    2023 年 46 巻 4 号 p. 4_693-4_702
    発行日: 2023/10/20
    公開日: 2023/10/20
    [早期公開] 公開日: 2023/10/13
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,病院に勤務する看護職のアレルギーの状況と職場のアレルギーに関する健康管理状況を明らかにすることである。方法:病院に勤務する看護職430名に横断的調査を行った。調査内容はアレルギーの有無,発症時期,職場のアレルゲン物質への接触頻度や職場の健康管理などであった。結果:有効回答者は264名,いずれかのアレルギーがある者は82.6%で,最も多かったのはアレルギー性鼻炎の41.7%であった。入職後にアレルギー症状が強くなった者は32.2%で,強くなった要因にはゴム製品アレルギー,洗剤・石鹸アレルギー,アレルギー性鼻炎があることが有意に関連していた。しかし,アレルギーに関する入職後の健康管理は個人に委ねられていた。結論:大部分の看護職にいずれかのアレルギーがあったが,職場の健康管理は不十分であった。今後は看護職のアレルギーに関する詳細な把握と職場の組織的な健康管理が必要である。

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