日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
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46 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 橋本 晴美, 今井 洋子, 本多 昌子, 京田 亜由美, 藤本 桂子, 神田 清子
    2023 年 46 巻 2 号 p. 2_153-2_164
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/11
    ジャーナル フリー

    目的:がん患者の呼吸困難感に影響する要因を明らかにする。方法:279名に質問紙調査を実施,241名の回答を得た(有効回答率92.3%)。呼吸困難感(TDSC)と,身体状態要因(PS・Stage・呼吸器質変化・その他症状等),心理社会的要因(BCWI・FACT-G),対処基盤要因(対処行動・対処方法に関する指導を受けた経験・相談相手)との関連を重回帰分析および共分散構造分析により解析した。結果:重回帰分析の結果,TDSC総得点においてPS・Stage・呼吸器質変化・心配・QOL・対処方法に関する指導を受けた経験の6項目と有意差を認め,共分散構造分析では,Stage を除く5項目が適合した。結論:がん患者の呼吸困難感の発生や増悪には,PS,呼吸器質変化,心配,QOL,対処方法に関する指導を受けた経験が影響し,特に心配との関連が最も強いため心身両側面からの包括的な看護支援の必要性が示唆された。

  • 姫野 雄太, 北池 正, 池崎 澄江
    2023 年 46 巻 2 号 p. 2_165-2_175
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/11
    ジャーナル フリー

    目的:開発した周術期外来における術前不安と術前管理に着目したケアガイドの効果を明らかにすること。方法:A県内の既に周術期外来を実施しており,研究協力が得られた1施設において,非無作為化比較試験を行った。協力施設の手術室看護師に,対照群17名に対して協力施設の従来の方法で周術期外来を実施してもらった。その後,介入群17名にケアガイドを使用した周術期外来を実施してもらった。 結果:術前不安(STAI状態不安尺度)は,周術期外来時と入院時で比較し,介入群において有意な減少が認められた。加えて,インタビュー調査から,【安心感の提供】などにつながっていた。また,【手術に向けた準備行動の獲得】など,術前管理についても効果が得られた。結論:本ケアガイドは周術期外来における看護実践を補助するためのツールとして活用できることが示唆された。

  • 森嶋 道子, 久米 弥寿子
    2023 年 46 巻 2 号 p. 2_177-2_188
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/11
    ジャーナル フリー

    目的:通算20年以上勤務する役職に就いていない看護師(以下,スタッフナース)の語りから,長期職務継続するスタッフナースの職業的アイデンティティの構成要素を明らかにする。方法:通算20年以上勤務するスタッフナース9名に半構成的面接を行った。得られたデータを逐語録にし,「長期職務継続するスタッフナースとしての私」として自覚される主観的な感覚や,職務に伴う活動や役割,価値・信念に関する記述をコードとし,カテゴリー化した。結果:【仕事は続ける】【プライベートを大切にしたい】【仕事を続けるための環境を整える】【今の立場・役割に満足している】など7カテゴリーで構成された。結論:長期職務継続するスタッフナースは【仕事は続ける】という信念と【プライベートを大切にしたい】思いから,自らの立場・役割を主体的に選択し,周囲の環境を主導的に調整して職務を継続した結果,【今の立場・役割に満足している】。

  • 中山 登志子, 舟島 なをみ
    2023 年 46 巻 2 号 p. 2_189-2_199
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/11
    ジャーナル フリー

    目的:看護系大学院の修士論文指導に携わる教員の研究指導経験を表す概念を創出する。方法:研究方法論に看護概念創出法を適用した。看護系大学院の修士課程の指導教員10名を対象に半構造化面接を行い,飽和化の確認によりデータ収集を終了した。収集したデータを質的帰納的に分析した。研究者間の合意が得られるまで分析を繰り返し研究の信用性を高めた。結果:対象者10名は女性であり,修士課程の指導経験年数は平均7.7年(SD=5.3),輩出した修了者数は1名から15名であった。分析の結果,修士論文指導に携わる教員の研究指導経験を表す26概念が創出された。26概念とは,【論文完成に向けた授業時間内指導と個人教授】,【研究各段階への移行効率化に向けた学生への準備情報提供と助力者配置】等である。結論:26概念は,修士論文の指導教員が自身の指導を客観的に理解し,指導の質向上に向けた基礎資料として活用できる。

  • 松本 有希
    2023 年 46 巻 2 号 p. 2_201-2_211
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/11
    ジャーナル フリー

    目的:術後の痛みを体験する患者に対する,看護師の臨床判断の要素とその構造を明らかにすること。方法:外科系病棟で2年以上の勤務経験がある看護師15名に半構造的面接調査を行い,M-GTAを使用して分析を行った。結果:看護師は【術後痛緩和ケアを提供する看護師としての基盤がある】ことが示された。その基盤をもとに【患者の術後痛の体験を理解する】ことにより,【患者と共に術後痛に立ち向かう体制をつくる】ようにしていた。患者と他の医療者と看護師の意見を統合し【術後痛緩和ケアを決定する】ことを通して,【術後痛緩和ケアを実行する】に至り,術後痛緩和ケア実行後は【術後痛緩和ケアの効果を知る】という臨床判断の構造が導き出された。結論:【術後痛緩和ケアを提供する看護師としての基盤がある】ことは,術後痛緩和ケアの質に影響すると考えられ,このような看護師としての基盤の形成に向けた看護師教育が今後の課題である。

  • 青木 恵美子, 荒木田 美香子, 松田 有子
    2023 年 46 巻 2 号 p. 2_213-2_227
    発行日: 2023/07/20
    公開日: 2023/07/20
    [早期公開] 公開日: 2023/07/11
    ジャーナル フリー

    目的:演習に携わる教員に求められるファシリテーションスキル(以下,FS)を明らかにし,評価ツール開発に向けた基礎資料とする。方法:看護系大学教員12名に対し半構造的インタビューを行った。教員がファシリテーションを取り入れた演習の組み立てと進行について,語りの関係性を考慮しながら教員に求められるFSに関係する語りを抽出し質的帰納的に分析した。結果:演習において教員には,演習計画の段階から【学習の動機づけ方法の検討】,【興味を引き付ける課題設定】が求められ,演習実施では【学生同士の相互理解の促進】,【多様な観点からの考察を支援】等や,振り返りでは【演習体験から看護観の育成につなげる支援】等の15カテゴリのFSが抽出された。結論:演習に携わる教員に求められるFSは,演習を通して主体的な学びを促進し,思考できる場を作り,演習後も学習者が自ら学ぶための支援であることが示された。

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