日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
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46 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 岡田 紗羅, 加藤 真紀, 竹田 裕子, 原 祥子
    2023 年 46 巻 1 号 p. 1_9-1_19
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    [早期公開] 公開日: 2023/04/14
    ジャーナル フリー

    目的:末期心不全のため入院している後期高齢患者に対する緩和ケアおよび慢性心不全看護認定看護師の緩和ケア実践を明らかにする。方法:4名の認定看護師を対象に半構造化面接を実施し,データを質的に分析した。結果:【療養生活に伴う酸素消費量を調整する】,【呼吸苦を和らげるために非薬物的アプローチを取り入れる】,【持続する苦痛から心地よいひとときを創り出す】,【苦痛緩和のために周囲を巻き込むという策を講じる】,【過負荷がかからない療養生活を継続できるように周囲の支援を得ていく】,【制限ある療養生活に心がおれそうな患者の頑張りを承認する】,【長きに渡った療養生活の制限を少しずつ緩める】,【残りの時間を意識しながら本人の望みの実現をサポートする】という8つのカテゴリーに集約された。結論:人生の最期に近づくなかで,心負荷の程度と療養生活の制限のバランスを図りながらケアを行っていく必要性が示唆された。

  • 菊地 麻里, 佐々木 真紀子
    2023 年 46 巻 1 号 p. 1_21-1_31
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    [早期公開] 公開日: 2023/04/05
    ジャーナル フリー

    目的:産科を含む複数の診療科を有する病院に勤務する助産師のキャリアデザインの実態と影響を及ぼす要因を明らかにする。方法:63施設の助産師844人を対象に,質問紙調査を行った。キャリアデザインの影響要因を検討するために順序ロジスティック回帰分析を行った。結果:回答は436人から得られた。約9割の助産師がキャリアデザインをしていた。順序ロジスティック回帰分析の結果,キャリアデザインには仕事満足感,仕事意欲,過去受容,目標指向性が正に関連していた。結論:助産師のキャリアデザインには,仕事満足感と仕事意欲,自分の過去を受容すること,目標を定めて将来を計画することが重要であると考えられた。

  • 岩﨑 優子, 山﨑 不二子
    2023 年 46 巻 1 号 p. 1_33-1_42
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    [早期公開] 公開日: 2023/03/15
    ジャーナル フリー

    目的:地域生活を送る統合失調症者に訪問看護師が休息入院が必要と判断した状態,入院へのかかわりと入院による利用者の変化を明らかにする。方法:精神科病棟・精神科訪問看護に各3年以上の経験を持ち,休息入院に導いた経験を持つ11名の看護師に半構成的面接を行い,8事例を質的に分析した。結果:訪問看護師は利用者の【睡眠】【生活空間】【日常生活動作】の変化,【身体症状の出現】等から休息入院の必要性を判断していた。また訪問看護師主導で他の支援者と【協議できるシステム】による総合的な判断と,利用者が担う家族介護への支援等により【自らの意思による受診・休息入院に導】き,入院中も【地域生活再開時の準備】のためのかかわりを継続し,その結果利用者は【精神症状の改善と疾病理解の深まり】等を得ていた。結論:休息入院の判断指標や,他の支援者との協働,同居する家族を含めた介入など特徴的なカテゴリが抽出された。

  • 近藤 由香, 上山 真美, 塚越 徳子, 堀 美佐子
    2023 年 46 巻 1 号 p. 1_43-1_53
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    [早期公開] 公開日: 2023/04/14
    ジャーナル フリー

    目的:在宅療養中の認知症高齢者の主介護者に対する呼吸法による睡眠の質改善の評価を主観的指標より明らかにする。方法:呼吸法を3日間,対照日を3日間介入した。評価項目は,ピッツバーグ睡眠質問票日本語版(PSQI),OSA睡眠調査票MA版(OSA),インタビューであった。フリードマン検定とマン・ホイットニー検定,また内容分析を行った。結果:分析対象者は6名であり,主介護者のPSQI総合得点の中央値は7点であった。OSAの入眠と睡眠維持は,1日目と3日目の得点差において,呼吸法実施日と対照日で有意差がみられた (p<.001)。内容分析の結果,5カテゴリ【睡眠の質が改善する】【リラックスの感覚がある】【呼吸法は睡眠への効果があると感じる】【自分自身を休めることの重要性を認識する】【睡眠の変化を感じない】が抽出された。結論:呼吸法は,主介護者の入眠と睡眠の維持をもたらす可能性があることが示唆された。

  • 那須 明美
    2023 年 46 巻 1 号 p. 1_55-1_61
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    [早期公開] 公開日: 2023/04/05
    ジャーナル フリー

    目的:出生前診断後の胎児異常の障がい受容過程での思いと支援に関して整理すること。方法:医学中央雑誌web版を用い,「出生前/AL」「(“受容(心理学)”/TH or 障がい受容/AL)」をキーワードとして検索し,文献検討を除く,看護分野の原著論文12件を分析対象とした。結果:文献を整理した結果,衝撃からの悲嘆と葛藤や破壊された人との繋がりの苦悩を体験し,出産の肯定的経験からの受容を経て,児の最善を考える愛情と日常を再構築していた。充分な情報提供と向き合う時間を確保することと家族の繋がりを考慮した児の最善への継続した支援が重要であった。結論:出生前診断における胎児異常の障がい受容の過程では,家族や社会との関係性が大きく関連し,充分な情報と時間軸の中で受容されることを念頭に児の最善を支える看護をしていく重要性が示唆された。

  • 本谷 久美子, 荒木田 美香子
    2023 年 46 巻 1 号 p. 1_63-1_72
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    [早期公開] 公開日: 2023/04/14
    ジャーナル フリー

    目的:看護学教師の病態教授活動に関する海外文献を概観し,学生の病態理解に効果的な教授のあり方について示唆を得る。方法:文献検索データベースはCINAHL Plus with Full Text,MEDLINE,PubMedを用いて,出版年の制限はかけずに,「Pathophysiology」「Nursing faculty」「Teaching」「Education」をキーワードに検索を行った。結果:対象文献の13件を分析した結果,病態の題目は結核,糖尿病,妊娠高血圧症候群,循環性ショックなどがあり,【学生の能動的学修の実践】【授業後の学習支援】【病態生理学と看護学の統合】【授業に対する準備性】の4テーマが生成された。結論:アクティブ・ラーニングとメディアを活用した教授活動,学習成果につながる教授方法の検討,病態と看護の連動性を意識したカリキュラムや科目の再考,教師の病態教授活動を強化するための教育システムの必要性が示唆された。

  • 看護系大学の感染看護に関する教育の現状に焦点をあてた全国調査
    勝野 絵梨奈
    2023 年 46 巻 1 号 p. 1_73-1_82
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    [早期公開] 公開日: 2023/03/15
    ジャーナル フリー

    目的:国内の看護系大学における感染看護に関する教育の現状から,既存カリキュラムにおける位置づけや課題を明らかにする。方法:看護系大学283校で感染看護に関する講義・演習を担当している教員を対象にアンケート調査を行い,記述統計量の算出および,自由記述内容の質的帰納的分析を行った。結果:アンケートの回収率は38.9%。感染看護に関する独立した科目をもつ大学は3割で,担当領域において感染看護に関する教育が占める時間には大学間でばらつきがみられた。感染症患者への看護や倫理的諸問題に関し,卒業時までの学修が必要だと捉える意見が多かった。感染看護に関する教育上の課題は【学生の到達レベルに関する課題】【カリキュラム上の課題】【教員自身の課題】に集約され,〈微生物学に関する基礎知識への理解不足〉〈関連科目の連携不足〉〈感染看護に関する看護実践能力の不足〉等が抽出された。結論:体系的な教育の実現に向け,科目間連携の必要性等が示唆された。

  • 国内文献の推移と概要の検討
    加藤 まり, 門間 晶子
    2023 年 46 巻 1 号 p. 1_83-1_98
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    [早期公開] 公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー

    目的:保健医療福祉等の対人支援領域における「ダイアローグ」に関する研究論文や解説の推移と概要を捉え,ダイアローグの成果と課題を明らかにする。方法:医学中央雑誌web(Ver. 5),CiNii Articlesを用いた。結果:研究論文は精神科領域の事例検討が5件,実践を記載した解説が34件であった。内容から整理された成果は,【当事者の健やかさや主体性の尊重と発見】【対等な立場としてつながる関係性への変化】【支援者の視座が変化】【臨床や地域における健康や生活を守るリソースの醸成】であり,課題は【実践を後押しする体制づくり】【実践や研究における立ち位置の模索】【早期からの健康への予防的取り組み】【有用性の検証】であった。ダイアローグの有用性は,支援を要す人々と支援者相互の「関係性」を生み出すことと考えた。結論:ダイアローグの理論や技術の研修,実践を後押しする体制づくり,事例の積み重ねによる研究や実践の充実が望まれる。

  • 関 恵子, 伊丹 君和, 米田 照美
    2023 年 46 巻 1 号 p. 1_99-1_114
    発行日: 2023/04/20
    公開日: 2023/04/20
    [早期公開] 公開日: 2023/03/15
    ジャーナル フリー

    目的:文献検討を行い,腰痛予防・改善のための今後の看護研究課題を明確にし,看護実践への示唆を得る。 方法:過去20年間の看護師の腰痛に関する90件の文献を対象とし,帰納的分類と腰痛有訴率の算出を行った。 結果:分析対象文献は,「腰痛の実態・腰痛(腰部負担)因子」,「腰痛予防・改善(教育)」,「福祉器具,腰痛予防着衣・機器の活用」,「腰痛予防・改善(治療・ケア)」,「腰痛による身体・精神・社会的影響」,「腰痛に対する思い・認識」の6つに分類された。腰痛有訴率の中央値は62.5(32.0-100)%であった。結論:看護師の腰痛有訴率は過去20年間大きな変動がなく,60%を超えていた。先行研究では,実態調査,腰痛教育,運動による介入効果の検証が行われていた。運動による介入では,主観的・客観的な腰痛評価を行っている研究が数件あったが,大半の研究は,主観的評価のみを使用していた。今後,生理学的指標による客観的評価を取り入れた腰痛評価方法および看護師の腰痛予防・改善のための身体ケア方法を確立する必要がある。

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