日本看護研究学会雑誌
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24 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • -ストレス・職務満足度・自我状態相互の関連-
    石松 直子, 大塚 邦子, 坂本 洋子
    2001 年 24 巻 4 号 p. 4_11-4_20
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     看護職のメンタルヘルス対策を検討するための資料を得ることを目的として,質問紙を用いストレス・職務満足度・エゴグラムの実態と3調査相互の関連について検討した。 調査対象は,A病院看護婦333名であり,解析対象は回答を得た252名 (75.7%) である。
     全対象者の72.2%がストレス発生条件をもち,50.4%がストレス状態であった。 特に20~29歳と55~59歳にストレス状態である者が多かった。 職務満足度は平均50%であり,30~34歳で委員会活動をしている者の満足度が低かった。 エゴグラムは看護婦特有のパターンがあり,若い人はACが高く,年齢や役割が増えるとCP・Aが高くなっていた。 解析の結果,ストレスは職務満足度を低減し,エゴグラムはストレスの増加を予測するてがかりとなり,また職務満足度に影響することなど,3者は相互に関連することが明らかになった。
     本研究結果から,看護婦のメンタルヘルス対策を考えていく上で,ストレス・職務満足度・エゴグラムから対象の特性を理解し,関わっていくことは有用であることがわかった。
  • 山田 紀代美, 佐藤 和佳子, 鈴木 みずえ, 野村 千文
    2001 年 24 巻 4 号 p. 4_21-4_31
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,在宅での介護を終了した介護者の主観的な疲労感の回復と死別期間との関連及び介護満足感を明らかにする目的で行った。 調査対象者は,平成5年静岡市の特別養護老人ホームの在宅サービスを利用していた介護者82人の内,平成11年に介護を終了していた39人である。 その結果は以下の通りであった。
    1) 介護を終了していた介護者は,調査票が回収できた55人の内,39人 (70.9%) であった。
    2) 介護終了後 「1年未満」 の介護者は,介護中に比べ,イライラの状態のみが5%で有意に低下していた。 「1年以上3年未満」 の介護者は,不安感は1%で,抑うつ感,一般的疲労感,慢性疲労,イライラの状態は5%で有意に低下していた。 「3年以上」 の介護者は,不安感,一般的疲労感,慢性疲労,イライラの状態は0.1%で,抑うつ感は1%,身体不調は5%で有意に低下していた。
    3) 介護に対する満足感については,全体の32人 (82.1%) が満足と答えており,心残りがあると答えたのは7人 (17.9%) であった。 これらは,介護終了年数による違いは認められなかった。
  • -養護性の指標として-
    喜多 淳子
    2001 年 24 巻 4 号 p. 4_33-4_44
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究では思春期男女を対象に,養護性における共感の一部をなすと考えられる対児感情の良否に影響する要因を明らかにすることを目的とし,数量化Ⅰ類により分析した。
     調査方法は,大阪府下にある公・私立の中学生564名 (男子290名,女子274名),高校生613名 (男子315名,女子298名) を対象とした無記名自記式アンケート法であり,調査期間は1996年10月15日から1997年3月10日であった。 調査項目は,「性的アイデンティティー」,「信頼・親密性をもたらす人間関係」,及び 「養育・養護の機会」 に関する質問項目で構成した。 対児感情は花沢の 『対児感情評定尺度』 により評価した。
     その結果,高校生では,「信頼・親密性をもたらす人間関係」 などに対する肯定的な回答・状態は,児に対する接近感情が高まる方向に影響するのに対して,中学生ではそれらへ否定的な回答・状態が回避感情の高まる方向で影響するという特徴が分かった。
  • 佐藤 紀久江, 風岡 たま代, 大塚 邦子
    2001 年 24 巻 4 号 p. 4_45-4_55
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     近年,リハビリテーション看護教育の重要性が増しつつある。 しかし,日本でのリハビリテーション看護はいまだ定義も役割も明確ではない。 本研究では,まずリハビリテーション看護の役割を試案した。 リハビリテーション看護の役割は,過去の研究論文から16項目の具体的役割を抽出し,働きかける対象によって患者への援助・家族への援助・他職種との連絡調整に分類した。 次に,看護学生が1日の見学実習で学んだリハビリテーション看護の役割をレポートから抽出した。 それと今回作成した 「リハビリテーション看護の役割」 とを比較した。 その結果,患者の ADL の拡大や自立への援助,精神的側面への援助はよく理解されていたが,社会的側面の援助は全く認識されていなかった。 他職種との連絡調整は具体的内容に乏しかった。 1日の見学実習で学生が学ぶことができた内容は限られたものであった。 教育方法の工夫が必要であり,リハビリテーション看護教育の制度上の改善が望まれた。
  • 遠藤 芳子, 塩飽 仁, 福井 里佳
    2001 年 24 巻 4 号 p. 4_57-4_68
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     本研究は,入院中の子どもたちに対して遊びによる看護介入を行うことが,子どもたちの不安や健康問題解決に関する考え方,自己効力感などの変容に関与するかどうかを検証する目的で実施した。
     対象は入院中の子どもで,尺度測定にこたえられ,研究の目的に同意し,協力が得られたもの10名とした。
     方法は,遊びの時間を一日一回約30分間とし,合計4回連続して遊び,経時的に不安や保健行動統制,自己効力感などを,既存の尺度を用いて測定した。
     遊びによる看護介入の効果を分析した結果,子どもたちの不安はもともと強くはなく,介入後不安はより弱くなり,健康問題解決における他者統制が高かったが,介入後一旦統制は低くなり,一週間後はもとにもどる傾向が認められた。 効力感はもともと高い傾向にあったが,介入後学業達成と自己に対する効力感はより高くなり,友人関係に対しての効力感は介入後高くなり,運動に対しての効力感は低くなった。
  • -千葉県の調査より-
    田中 里香, 叶谷 由佳, 中山 栄純, 佐藤 千史
    2001 年 24 巻 4 号 p. 4_69-4_76
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     千葉県内にある150~200床の一般病院15病院の看護管理責任者とそこに従事する看護職全員 (1,381名) を対象として看護職が着用するユニフォームの交換頻度と看護管理者の指導内容がどのように影響するのかを明らかにすることを目的として調査を行なった。
     その結果,看護職のユニフォームについての概念的な指導はその交換頻度に影響を及ぼさず,具体的なユニフォームの交換日数を指導している病院では,支給されるユニフォームの枚数が平均的であってもユニフォームの着用日数が短い,また,看護衣,エプロン・予防衣に所持枚数や病院が実施している洗濯回数は影響しないが,ナースキャップの着用日数には影響することが明らかとなった。
  • -健側配置と患側配置による比較-
    髙栁 智子, 川西 千恵美, 西田 直子, 田澤 賢次
    2001 年 24 巻 4 号 p. 4_77-4_86
    発行日: 2001/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
     脳卒中後の片麻痺患者6名を被験者に,目的物を健側に置く健側配置と患側に置く患側配置の移乗動作の動作経済性および安定性について,三次元動作解析装置を用いて比較した。 動作経済性は,動作時間と重心の変位を,安定性は,重心の軌跡および目視による動作観察,主観的情報を評価した。
    1) 動作経済性では,健側配置,患側配置における左右方向の重心変位の中央値は,それぞれ35.0cm,52.3cmと患側配置で有意に大きかった。 前後方向の重心の軌跡長の中央値は,それぞれ130.82cm,120.17cmと健側配置で有意に長かった。 また,下肢 Brunnstrom StageⅡの被験者における健側配置,患側配置での動作時間の中央値は,それぞれ8.8秒,12.3秒と健側配置で有意に短かったが,下肢 Brunnstrom StageⅢの被験者では,有意差は認められなかった。
    2) 安定性では,下肢 Brunnstrom StageⅡの被験者は,重心の軌跡をみると,患側配置での移乗においてバランスを崩しており,動作観察でも患側の膝折れがみられた。 下肢 Brunnstrom StageⅢの被験者では,どちらの配置でも移乗動作は安定していた。
     これらより,患側下肢に支持性がある者は,患側配置でも安全・安楽であることが示唆された。
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