日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
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45 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 新谷 理恵子, 佐藤 三穂, 大友 里奈, 佐藤 靖, 佐藤 隆太, 中山 瑛里, 大萱生 一馬, 奥村 美灯, 逸見 奈緒, 矢野 理香, ...
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1_3-1_11
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/01/24
    ジャーナル フリー

    目的:北海道の高度急性期医療を担う病棟看護師がCOVID-19患者の受け入れを開始してからどのような体験をして,どのような心理状況にあったかを明らかにする。方法:病棟看護師13名を対象にフォーカス・グループインタビューを行い質的に分析した。結果:【患者の受け入れ決定に対する葛藤】,【未知で新規の感染症であることに由来するつらさ】,【自分や家族の感染に対する不安】などを経験し,【看護を続ける中で生じるジレンマ】,【患者の看取りに関わる中での複雑な思い】を持っていた。一方で【病院が体制を整えようとしてくれていることへの安心感】,【協働しながら実践できているという思い】,【看護への責任と成長】を感じていた。結論:病棟看護師はつらさや葛藤といった心理状況があった一方で,看護を継続できている思いも持っていた。これらの経験の理解がより良い看護に向けた看護管理体制の整備に重要である。

  • 雑子 侑里, 門間 晶子, 尾﨑 伊都子
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1_15-1_27
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/03/23
    ジャーナル フリー

    目的:労働者を対象とした生活習慣病予防に向けた保健指導の初回面接における,相談者と支援者の相互作用を明らかにする。方法:初回面接を受ける相談者と保健指導をする支援者4組8名に保健指導場面の参加観察と半構造化面接を行い,質的記述的に分析した。結果:相互作用は【支援者が相談者に関心を持っていることを言葉と態度で伝えることで,相談者はわかってもらえたことを実感し自己開示を始める】【支援者が相談者の反応に対して気おくれすることで,次のやり取りに踏み込めない】【相談者が支援者のペースに合わせることで,支援者主体の会話になり,相談者は正直な気持ちや考えを伝えるのを控える】等の7表題で表された。結論:相互作用には,行動変容に向けて相談者と支援者が互いの立場で力を発揮できるものと,互いの遠慮や食い違いにより対話を育てられないものがあり,初回面接の中で複数の相互作用が組み合わさって起こっていた。

  • ─職場適応行動と職場適応状態─
    北島 洋子, 細田 泰子
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1_29-1_40
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/01/24
    ジャーナル フリー

    目的:学生から看護師へのトランジションの時期における,新人看護師の職場適応行動尺度と職場適応状態尺度の信頼性と妥当性を検討する。方法:先行研究において質的帰納的に抽出し,表面妥当性と内容妥当性を検討された職場適応行動尺度原案82項目,職場適応状態尺度原案51項目について,新人看護師1,284名を対象に無記名自記式の質問紙調査を行った。結果:回収335名(回収率26.1%)であった。探索的因子分析により,職場適応行動尺度は5因子34項目,職場適応状態尺度は4因子26項目が抽出され,Cronbach’s α係数による内的一貫性,職務満足測定尺度との基準関連妥当性,再テスト法により安定性が確認された。結論:新人看護師の職場適応行動尺度と職場適応状態尺度は,信頼性と妥当性を有する尺度であることが確認された。

  • 松下 由美子, 菱田 知代
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1_41-1_50
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/03/23
    ジャーナル フリー

    目的:在宅看護学実習指導者の実習指導における「やりがい」を創出するためのニーズを明らかにすることである。方法:質的記述的デザインで,在宅看護学実習の実習指導者として3年以上の経験を持つ訪問看護師10名に半構成的面接を実施し,語られたインタビュー内容の類似性,相違性に基づいてカテゴリー化を行った。結果:「やりがい」を創出するためのニーズとして【在宅看護学実習に対する学生からの肯定的フィードバック】【実習指導に対する指導者自身の教育観の育成】【実習指導における担当教員との納得のいく関係性】【実習指導に対する事業所の前向きな姿勢とスタッフからのあたたかなまなざし】の4つのカテゴリーが抽出できた。結論:実習指導者が「やりがい」を創出するには学生からの反応が重要であることが示唆された。さらに教員やスタッフとの関係性,また事業所の実習指導に対する考え方も重要な鍵となっていることが示された。

  • 鈴木 佳奈, 大釜 恵, 渡部 節子
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1_51-1_58
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/02/04
    ジャーナル フリー

    目的:血液培養検体採取時のコンタミに対する泡洗浄剤の効果を検証する。方法:単施設の準実験研究である。調査1では救急外来の患者300名を,80%エタノール+10%ポビドンヨード(PVI群),80%エタノール+1%クロルヘキシジン(CHG群),泡洗浄剤+80%エタノール+1%クロルヘキシジン(泡洗浄群)に,調査2では病棟・外来の患者3,265名をCHG群と泡洗浄群に振り分け,両調査でコンタミ率とコンタミ菌を比較した。結果:コンタミ率は,調査1ではPVI群:12.5%,CHG群:6.5%,泡洗浄群:1.5%,調査2ではCHG群:7.2%,泡洗浄群:1.6%で,各調査において泡洗浄群は優位に低かった(p<.01)。コンタミ菌は,両調査でCNSが最も多く検出された。結論:皮膚消毒前に泡洗浄剤を使用したことで,皮膚の有機物や汚れが落ち,より消毒効果が得られ,コンタミ率が低下したと考える。

  • 新村 洋未, 佐藤 政枝
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1_59-1_70
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/03/23
    ジャーナル フリー

    目的:概念分析により「看護学生の気づき」のプロセスを明らかにし,概念を定義することである。方法:2000〜2018年公表の国内文献31件を対象に,Walker & Avantの手法で分析した。結果:3つの属性,6つの先行要件,3つの帰結が抽出され,「看護学生の気づき」は,「対象となる現象ならびに自己の内面に触れる経験を通じて,感情の変化を自覚すること,既知との対比から違いを見つけ出すことである。これらは対象と自己への理解を深め,看護学生としての自己や行動に能動的な変化をもたらす」と定義された。 結論:「看護学生の気づき」は,気づくための感度や精度の洗練といった自己の内面での変化が,自ら意味ある気づきを獲得できるようになる「気づきの循環」を成す連鎖的なプロセスであり,この循環を促す意図的な仕掛けが理解の深化や新たな気づきの促進,他の場面での応用に不可欠であることが示唆された。

  • 不妊治療経験者男女と不妊治療経験のない女性の比較
    岸田 泰子, 山口 雅子, 森岡 郁晴
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1_71-1_80
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/04/11
    ジャーナル フリー

    目的:第三者の関与によるARTの現状とその意識を明らかにする。方法:国内の調査会社を利用したウェブ調査を実施した。対象者の年齢は30歳代〜40歳代で,不妊治療経験のある男女と不妊治療経験のない女性各309名から協力が得られた。調査内容は属性,不妊治療内容,第三者が関与するARTに対する意識とした。結果:海外でARTを利用した者は男性21名(6.8%),女性4名(1.3%)であった。不妊治療経験のある男女では,第三者が関与するARTについて一般論として容認する者は概ね40〜50%,利用したい者は数%であった。利用したくない者は,不妊治療経験あり男性が有意に少なく,不妊治療経験あり女性が有意に多かった。結論:海外で不妊治療を受ける男女は少数だが存在した。第三者が関与するARTについて一般論としては容認しても自分のこととしては利用したいと思わない者が多く,また男女差が認められた。

  • 仲下 祐美子
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1_81-1_91
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/03/23
    ジャーナル フリー

    目的:わが国の看護学生へのたばこに関連する教育において,教育方法の違いによる教育効果を明らかにする。方法:文献検索は医中誌WebとCiNiiを用い,検索語は「たばこ」「禁煙」「看護学生」等とした。選択・除外基準に基づき論文を選択した。結果:14件を採択した。教育目標はいずれの研究も看護学生の喫煙防止や禁煙であった。禁煙支援の実践を教育目標に挙げ,その評価をした研究は1件であった。教育効果は,教育直後のたばこに関する知識や禁煙支援の意欲の向上,喫煙への寛容度の低下の報告が多数あった。教育効果の維持は,禁煙支援の意欲は1ヶ月,たばこに関する知識はアクティブ・ラーニング型の教育では6ヶ月であった。結論:どのような教育方法が効果的であるかについては結論を導くことは難しく,さらなる検証が必要である。今後の教育目標では,看護学生の喫煙防止・禁煙のみならず禁煙支援の実践能力向上に重点を置くことが重要である。

  • 神田 希子, 中障子 和泉, 山崎 綾夏, 岡田 祐来, 鹿野 楓, 後藤 美里, 関 瑞穂, 古川 真菜, 水島 彩, 栁原 清子, 稲垣 ...
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1_93-1_104
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/04/11
    ジャーナル フリー

    目的:A県内の病院に勤務する看護師を対象にセクシュアル・マイノリティに関する認識を調査法にて実態を明らかにした。方法:回答数1,017名,有効回答数1,009名(有効回答率99.2%)だった。結果:セクシュアル・マイノリティに関する言葉の認知度は最も高いLGBTが5割以下,関心がある者は2割に満たなかった。情報源はテレビやインターネットが6割程度であった。教育・研修受講経験者は2割以下,病院が開催する研修があると答えた者は1割以下であった。またLGBT法連合会の困難リストをもとに医療現場で医療者が直面すると考えられる5つの状況設定に対する看護師の判断は,セクシュアル・マイノリティに寄り添った思考に基づく判断を選択する者が多かった。結論:看護師はセクシュアル・マイノリティが権利擁護を要するとの認識を持っているが,深い知識や理解に基づくものではないと推察され,知識や理解を深めるための教育の必要性が示唆された。

  • 田中 聡美, 布施 淳子
    2022 年 45 巻 1 号 p. 1_105-1_120
    発行日: 2022/04/20
    公開日: 2022/04/20
    [早期公開] 公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー

    目的:病院に勤務している看護師の職務に対する幸福感に影響を及ぼす要因について調査し,リテンションマネジメントに関する示唆を得ることを目的とした。方法:看護師41名に対して自記式質問紙調査を,13名に対しては半構造化面接を実施しデータを収集しテキストマイニング分析を行った。結果:職務に対して幸福と回答した看護師は,患者から感謝されることで自分のしていることに心理的報酬を得ながら自信を持ち,家族や患者との社会的な人間関係を築きながら就業継続のモチベーションを高めていた。職務に対して不幸と回答した看護師の認識は,幸福に関する記述数の少ない外部変数を主要因とせず,上司の部下に対する態度や言動が関連していることが示唆された。結論:今後は,日本の看護師に焦点をあてつつ,幸福感に影響を及ぼす要因の構成要素に対して量的研究による信頼性妥当性の検証,実証調査が一層求められる。

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